働き方改革により「ワーケーション」が注目されている
アスペルガーは職場環境にストレスを感じやすい
アスペルガー(症候群)は、現在ではASD(自閉症スペクトラム)と言う名称で診断されています。しかし現在も便宜性などの理由から「アスペルガー」として紹介されるケースもあるのです。
アスペルガーを持つ方は、職場のあらゆる環境にストレス感じやすい傾向があります。
その要因としては以下の通りです。
・対人関係が苦手で、暗黙の了解や『当たり前のルール』を理解できず苦労しやすい
・感覚過敏により、視覚や聴覚など不快に感じる要因がある(騒音、照明、室温など)
これらの理由から、ストレスを感じ体調を崩してしまうリスクを持っています。
関連記事:アスペルガー(ASD)は暗黙の了解が苦手…曖昧な表現への対策4つ
環境から離れて仕事をする『ワーケーション』が注目されている
現在、働き方改革の一環で「ワーケーション」というワークスタイルが注目されてきています。これは2000年代にアメリカで生まれた働き方で、『有給休暇を取り、旅行先で仕事をする』という画期的なスタイルなのです。
日本でも試験的に行っている企業もあり、
・テレワークを導入し、浸透するためのノウハウを習得する
・異なる環境で仕事を行うことで、より生産性を高める
・クリエイティブな発想を生みやすい環境で仕事を行う
このような目的を持って様々な企業でワーケーションが実施されているのです。
参考:「働き方改革」を実現させるワーケーションという働き方 | 自治体通信Online
参考:ワークスタイル変革 | CSR情報 | JAL企業サイト
アスペルガーに『ワーケーション』は効果的。しかし不安要素もある
アスペルガーのストレス要素を緩和する効果が期待される
冒頭でお伝えしたように、アスペルガーを持つ方にとって、
・複雑な人間関係やコミュニケーション
・自分と合わないオフィスの環境
これらの要因で不調を招きやすいのです。
ワーケーションは、ストレスを生む環境から離れ、自分にとって必要なコミュニケーションのみに限定できるという点で効果的な方法と言えるでしょう。
不安要素も考えられる
しかし、アスペルガーを持つ方にとって「環境変化」に大きなストレスや不安を持つ場合もあります。
ワーケーションは、旅行先で仕事を行うスタイルです。そのため今までにない場所や環境、仕事の進め方により強い不安を感じてしまうことも考えられます。
関連記事:アスペルガーは変化に弱い?臨機応変な事態があったときの対処法3つ
そこで今回は、アスペルガーを持つ方が「ワーケーションで働きたい!」というときに
・不安に感じやすい要素・実施の上での課題
・ワーケーションを行う上で用意しておきたいこと
この2点についてお伝えしていきます。
【アスペルガー】ワーケーション実施前に不安に感じやすい課題
①実施後のコミュニケーションについて
ワーケーションを行うと、職場の方と離れて仕事をすることになります。
確かにコミュニケーションでのストレスは軽減されますが、代わりに起きる不安として
・メールやチャットなど、コミュニケーションツールをうまく使えるかどうか
・自分がいなくなったあと、職場の方はどう感じるだろうか
このようなことに対して不安を感じてしまう可能性があります。
旅行先での生活について
アスペルガーを持つ方の中には「旅行自体が苦手」という方もいるのではないでしょうか。
・ホテルや旅館など、宿泊先はどうすれば泊まれるのだろう
・旅行先までの交通機関は、どうやって行けばよいのだろう
・旅行先での生活は、どうやって進めていけばよいのだろう
・旅行先には、何を持っていけばよいのだろう
・旅行に関して、職場はどこまで手続きしてくれるのだろう
このような「旅行先での生活についての不安」を持ってしまうケースが考えられます。
③自己判断について
ワーケーションは『有給休暇を取りつつ、業務時間は仕事をする』という、曖昧なスタイルで仕事を進めていくケースになるでしょう。このような「メリハリをつけにくい」環境で、オフィスより自己判断で取り組む機会が多くなります。
そのため、明確な「基準」がなくどう進めたらよいか不安になってしまうおそれが考えられます。
④仕事の進め方について
ワーケーションは仕事の進め方について、段取りやペース、当日に行う業務量などを自分で管理していく必要が増えてきます。
それまで度々上司に聞いていたものが、ワーケーションではしにくくなります。これによりどう業務を進めたらよいか分からず、何もできずに時間が過ぎてしまうなどのリスクも考えられます。
これらの不安を解消したうえで、ワーケーションは初めてアスペルガーを持つ方にとって効果的な働き方となるのではないでしょうか。それでは、この不安を解消するために事前に準備しておくことをお伝えしていきます。
ワーケーション実施前に準備しておくこと
コミュニケーションの方法、タイミングを確認しておく
ワーケーション後、コミュニケーションの方法とタイミングと確認しておきましょう。
・コミュニケーションツールは、メールやチャット、もしくはWeb会議システムなのか事前に限定しておき、すれ違いがないようにする
・いつ連絡をするか事前に確認しておき、待ち時間やメールの見忘れなどを防止するようにしておく
このようなことについて上司と相談し、確認しておくことが必要です。その際「オフィスの状況も踏まえたコミュニケーション」を意識して相手と連絡を取り合うことがポイントです。
旅行先について確認しておく
次に、旅行先について確認しておきましょう。
・旅行に関する手続きはどこまで企業が行い、どこまで自分で行うべきか
・旅行先の環境について、宿泊先に確認しておく(通信環境なども含む)
・宿泊先に連絡し、必要なもの(衣服など)を限定する
・海外などの場合は、日本との時差を確認しておく(下記の参考リンクを参考にしてください)
このような準備を行い、不安を解消させていきましょう。
業務時間内・外の区分けについて相談しておく
何をもって「始業・終業」とするのか、事前に職場や上司に確認しておきましょう。終業のタイミングが分からず、いつまでも仕事をしてしまっては「ワーク」であっても「バケーション」にはなりません。
ですからオフィスで言う「タイムカード」や「勤務時間入力」の代わりとなる方法について確認しておくことが必要です。
業務の進め方について、事前に予定やスケジュールを確認しておく
ワーケーションでもって、「何を行うべきか」目的を確認しておきましょう。オフィスと同様の仕事を行うのか、環境などの原因から別の仕事を請け負う可能性もあります。
そのような場合に備えて、あらかじめワーケーション中の一日の業務の流れを組み立てられるよう、事前に職場と相談しておきましょう。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
ワーケーションは、現在まだ歴史が浅く試験的に進め始めている状態です。しかし浸透する前に情報をキャッチして、いざ導入されたときには万全の体勢でいることで、よりワーケーションや自分の望む働き方に近づいていけるのではないでしょうか。
これからワーケーションがどのような形で実施されていくのか。動向をチェックしていきましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。職場でのストレスに悩むケースが多かったため、現在はテレワークを中心とした仕事についている。旅行に関して、飛行機とホテルの予約の仕方をよく知らないことに不安を感じている。