自己理解を深める!発達障害特性に役立つナビゲーションブックとは?

「ナビゲーションブック」は、職場に発達障害を伝えるカギになる

自身の発達障害の特徴を考える男性

発達障害は、注意欠陥多動性障害(ADHD)・自閉症スペクトラム(ASD)・学習障害(LD)に分かれています。さらには同じ障害特性でも一人ひとり特徴の現れ方が異なります。そのため自己理解を深め、自身の特性を理解することはとても大切なことです。

そして、発達障害という概念そのものへの認知が広がってきたのも最近のことです。就職活動などで企業へ説明する際にも、自身のことを正しく伝えることが求められます。ここで伝えることが不足していたり、誤った解釈のまま企業に伝えてしまうことで、就職後の仕事の進め方に支障をきたしてしまうことにもなりかねません。

そのためにも、周囲に分かりやすく自分の障害特徴を伝える工夫が必要になります。この記事では、発達障害を持つ方が周囲に障害について伝える際に便利な「ナビゲーションブック」について、その内容をご紹介します。

参考:発達障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

「ナビゲーションブック」とは?自分の発達障害の特性を記録しよう!

障害特性について医療機関に相談する男性

「ナビゲーションブック」とは

「ナビゲーションブック」とは、障害を持つ方自身のこれまでの体験に基づいて作成される、自己開示のツールです。障害特性や求める配慮事項だけでなく自らの強みや得意分野などについても記載することで、適切な自己理解を相手に伝えることができます。

発達障害の自己理解はなぜ大切?

発達障害を持つ方が社会生活(職業生活含む)の中で感じる困難は、周囲には見えづらい・伝わりづらいという側面があります。どのようなことに困っているのか、どのようなことに苦手意識があるのか、なかなか相手と共通の理解がもてないケースが非常に多いのが現状です。

発達障害を持つ方を採用する企業の立場でみると、学歴や職歴などの情報からは求職者の特性を理解しきれず、自社に貢献してもらえる人かどうか判断が難しいのも事実です。そのため、発達障害のある方の採用が進まない、と感じている企業も多く存在します。

つまり、自身の特性について自己理解ができており、その開示が進めば、企業も採用の判断ができるということになります。ナビゲーションブックは、発達障害を持つ求職者と企業との架け橋となり得るツールといえます。

参考:「ナビゲーションブックの作成と活用」の概要
参考:ナビゲーションブックの作り方

ナビゲーションブックで自己理解が深まるサイクル

相談しながら自己理解を深めていく

ナビゲーションブックには、

・障害特性について
・自分の特徴や強み(得意なこと)
・苦手としていること
・苦手なことに対して自分で工夫している対処
・苦手なことに対しての配慮・サポートをお願いしたいこと
・通院や服薬状況

などを自分の言葉で記載していきます。ここで挙げたものははあくまでも一例ですが、自己理解を深めて自分でも納得のできるナビゲーションブックを作成するために、ぜひ回してみていただきたい「サイクル」があります。

サイクル①:自分の特性に気づく

「発達障害を持つ方には◯◯という特徴がある」という一般的な情報は存在しますが、実際には発達障害の特性は十人十色です。

さまざまな体験を通して、自分はどのような場面で困りごとを感じるのか、あるいは逆に自分はどのような場面で仕事の成果を出せたり人から感謝されたりしてきたのか、自分自身の体験を日々振り返ってみて、特性に気づいていきましょう。

サイクル②:紙に書き出してみる

自分の特性について気づくことがあれば、どんどん紙に書き出していきましょう。

これが、ナビゲーションブックの土台になっていきます。最初は自分用のメモとして書き出していくのも良いですが、ナビゲーションブックは相手(企業など)に見せて説明するという目的のもとに作成するものです。「この用紙をもとに自分で説明できるかな?」ということを考えながら書いてみることをおすすめします。

サイクル③:相手に見せて一緒に活動してみる

現状で書けるかぎりのものが完成したら、就労支援のスタッフや実習に参加できる企業などに見せて説明してみましょう。そのうえで一緒に活動をしてみて、自分の強みを活かした取り組みができるようになったか、そして自分に合った配慮をしてもらえるか、確認してみましょう。

中には人との関わりを通じて、これまで気づいていなかった自分の特性に気づくこともあるかと思います。つまり、サイクル①に戻るのです。新しく気づいたことを、暫定版として完成していたナビゲーションブックに追記して、更新していきましょう。そして更新したナビゲーションブックを再度相手に見せて、認識を合わせていきます。

このようなサイクルを何度か回していくうちに、自分でも納得でき、相手にも伝わるナビゲーションブックが完成していくのです。

関連記事:【障害者枠希望】職歴なしで不安…発達障害の得手不得手を知るヒント
関連記事:【大人の発達障害】障害は本当に「個性」なの?その線引きは何なの?

ナビゲーションブックを作成するには?就労移行支援を活用しよう!

eラーニングでアドバイスを受けている様子

ナビゲーションブックは自分自身の特性について記載していくものですが、一人で自分の特性に気づくことは難しいです。専門的な視点を備えたスタッフの在籍する「就労移行支援事業所」でサポートを受けることをおすすめします。

各事業所によって呼び方が変わることもありますが、ナビゲーションブックの考え方に基づいたプログラムは広く提供されています。就労移行支援の探し方や、就職についてなど困っていることがありましたら、ぜひこのまま下記の案内をご覧ください。

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まとめ

就労移行支援事業所でトレーニングしている様子

「自身の特性について自己理解ができており、その開示が進めば、企業も採用の判断ができる」という点に基づいて、発達障害を持つ方ご自身が、特性や強み、苦手なことや必要な配慮について説明できるように作成する「ナビゲーションブック」をご紹介しました。

作成にあたっては、①自分の特性に気づく、②紙に書き出してみる、③相手に見せて一緒に活動してみる、という「サイクル」を何度か回してみることが大切である点もお伝えしました。

就労移行支援事業所などのサポートを活用しながら、ぜひナビゲーションブックを作ってみて、自分らしい働き方を実現できる人が増えていくことを望んでいます。

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