※この記事は2022年8月現在の情報に基づいて執筆されました。
※処方箋医薬品を服用した感想等は、個人の感想であり、症状や人によって差があります。
処方箋医薬品は主治医に相談のうえ、正規に医師診察を受けて処方された場合のみ服用しましょう。
インチュニブの服用の体験記録
インチュニブとは?
インチュニブはコンサータやストラテラに続く比較的新しいADHDの薬です。
2017年に認可されて6歳以上18歳未満への処方が認められ、2019年に18歳以上への処方が認められるようになりました。
参考:注意欠陥/多動性障害治療剤「インチュニブ® 錠 1mg・3 mg」成人患者に対する適応追加による一部変更の承認について|武田薬品工業株式会社
インチュニブを飲めない人
18歳以上へも処方できるようになったインチュニブですが、別の理由でインチュニブを飲むことができない人もいます。
たとえば妊娠している人や妊娠している可能性のある人、房室ブロック(第二度・第三度)のある人は飲むことができません。
また、副作用で低血圧を起こす可能性があるため、もともとの血圧が低い人も処方されない可能性があるようです。
どのような効果が見込めるか
精神科クリニックのブログ記事などを調べると、18歳未満への効果が高かったことから18歳以上へ処方可能になる前は成人へ処方可能になることが期待されていたようです。
まとめると下記のような効果があるようです。
・多動性・衝動性をおさえ、重要なことに集中することができる
・攻撃的な行動を緩和する
一般人の当事者としての印象だと何を優先したらよいかわからず、いろいろなことに気を取られてしまう特性で困っている場合などに良さそうだと思いました。
どのような副作用があるのか
インチュニブの添付文書によくある副作用として低血圧・傾眠と書かれています。
具体的にはめまいや眠気の副作用への注意が必要になりそうです。
インチュニブを服用した体験談
インチュニブを処方された経緯
私はサラダ編集部で障害者雇用で働く40代前半のASD当事者です。
発達障害の診断を受けたのは成人してからです。二次障害としてうつがあります。
ADHDの傾向もあるとは言われていましたが、コンサータやストラテラ等の処方はされたことがありません。
今回インチュニブが処方された理由は、主治医が説明しなかったのでわかりません。
ミスの多いことや不注意が気になることについての相談はよくしていましたので、それが原因かもしれません。
気分の落ち込みなどについても日ごろの診察で訴えていました。
薬剤師からの注意など
発達障害の薬を処方されるのは初めての経験だったため、薬剤師から何か注意などあるかと身構えましたが「先生(医師のこと)から何か注意点は聞きましたか?」と言われた以外は何もありませんでした。
特に注意点の説明もなくスムーズに処方され、会計を済ませてそのまま翌日朝から服用し始めました。
当時(服用の前)、常に気分が落ち込み、前の夜に良く寝ていても朝から強い眠気を感じることが多かったので眠気の副作用が心配でした。
服用したばかりのころの副作用について
今までに新しい薬に変わった時は眠気の副作用が出ることがほとんどでした。
そのため今回も眠気が心配だったのですが、私の場合はインチュニブの服用で眠くなることはありませんでした。
血圧低下によるふらつきやめまいも特に感じませんでした。
服用開始~数日のあいだのようす
服用を開始して数日たっても特に眠気や低血圧などの副作用が現れて困ることはなく、拍子抜けでしたがラッキーでした。
そして服用開始後まもなく、思ってもみない変化がありました。
朝早く起きて、今までできなかったことができるようになったことです。
具体的には早起きして家事や軽い運動など、やらなければならないのに、いつも調子が悪くてできなかったことを実行できるようになりました。
病院に行けば医師に「他の科で原因がないか見てもらってから来てください」「とにかくがんばって体力をつけてください」と何年も言われて、努力で何とかしないといけないことなんだ、みんなは当たり前にできているんだ、できない自分が怠け者なんだ、と自分の心の弱さと人間性を責め続けていたことが薬で数日で改善しました(と、感じました)。
仕事の準備に間に合うぎりぎりまで寝ていることも多かったのにも関わらず、服薬開始後に急にそのような状態になったので同居家族が不審に思ったほどでした。
服用開始から二週間を過ぎて
服用開始から約2週間が過ぎますが、早起きできる状態は続いています。
また、私が服用前にADHDの薬と聞いて期待していたのは整理整頓や片付けができないことが改善しないかだったのですが
【1】早起きできるので時間に余裕をもって生活できるので片付けに時間が取れる
【2】早起きできると、ゴミ出しの時間にも余裕ができるため、不用品を捨てられる
【3】時間に余裕があるために落ち着いて自分にとって必要なものか不要な物か考えられる
などの理由から(重複しますが)、不要なものを一週間で45リットルゴミ袋2つ分程度と段ボール1箱分程度の古書を処分することができました。
今後、好ましい状況が続くかどうかわからないので様子見です。
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まとめ
主治医と相談して最終的に選択するのは患者本人
服用して二週間の現時点では、服用することを選択してみて良かったと思っています。
ただし、服用することを自分で選択できる状況だったからです。
以前、障害者雇用の勤務先で他の発達障害の人が服薬した話を聞いてきた上司が私にストラテラやコンサータなどの服薬を強くすすめてきました。
私は非常に驚きました。
当然、上司が噂で聞きかじってきた”どこかの発達障害の誰か”と私では障害の種類も程度も全く違いますし、私は主治医に処方されたことも話されたこともなく(当時)、希望してもいなかったので「飲みたい・飲む・主治医にお願いしてみます」などという上司の望むであろう言葉を言いませんでした。
それで嫌味を言われたり、生まれつきの障害特性自体を非難されたりして悔しい思いをしました。
そのような場合、結局は環境(=そのような上司のいる会社、職場)を変えるしかないという、障害者雇用で雇用される側の弱い立場や状況にも非常に憤りを感じました。
私はそこで上司に言われて意思に反して薬を飲むということはしませんでしたが、そうせざるを得なかった人もいるのではないでしょうか。
ADHDの薬、精神科の薬に限らず、すべての薬には程度の差はあっても副作用のリスクはあります。
リスクを知ったうえで薬を飲むかどうかは、私の場合はできるだけ自分で決めたいと思いました。
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