普通にしているのに、何もしていないのに「うるさい」と言われたときにできること
「普通にしているつもりなのに、なぜ『うるさい』と言われるのだろう?」そんな疑問を抱えている方も多いはずです。
周囲に気を遣っているつもりなのに、注意されてしまうのはとてもつらいですよね。
「自分は悪くないのに…」「わざとではないのに」そう思ってしまう気持ち、よく分かります。
ここで本当に大切なのは「どうすれば周囲の人と快適に過ごせるか」ということではないでしょうか?
この記事では、周囲の人と良好な関係を築くために、”音”の問題を改善するヒントをご紹介します。
関連記事:ADHDは生活音がうるさい!?職場で迷惑をかける音、対策とは?
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自分の”騒音”を客観的に知る
まずは音の原因を調べましょう。
どの音が周囲に迷惑をかけているのかを特定します。
また、時間帯についても調べましょう。
いつ出す、どの音がうるさいと思われているのかを把握することで、必要な時間を狙って効果的に対策を行うことができます。
家族や同居人、職場の人や支援者などに、どの音が気になるか、どの時間に音が気になるかなどを具体的に聞いてみましょう。
第三者の意見を聞くことで、自分では気づかなかった問題点や原因に気づくことができます。
スマートフォンの録音アプリなどで生活音を録音してきいてみるのも参考になるかもしれません。
障害特性や病気の症状が原因になっている場合は、専門家の力を借りよう
ADHDの特性(多動性、衝動性、不注意など)が生活音に影響している場合や、統合失調症の症状が原因で独り言が多く/大きくなってしまう場合があります。
身体の障害や、発達性協調運動症(DCD)などが原因で大きな音を出さずに身体を動かすことが難しい場合もあります。
このように障害特性や病気の症状が騒音の大きな要因になっていて、自分の努力や工夫だけで解決するのは難しいときは専門家の力を借りましょう。
医師に相談して症状を抑える治療を行ってもらったり、支援者に職場や公共の場で音をコントロールする工夫を教わったりすることができます。
参考:統合失調症|こころの情報サイト(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所)
参考:発達性協調運動症 – 発達障害情報のポータルサイト
「うるさい」と言われた時の具体的な対策
大きく分けて2種類の対策があります。
1つは環境や設備、道具など、モノで音を抑える工夫をするアプローチです。
もう1つは自分の行動を変えて、出す音を抑える工夫をするアプローチです。
それぞれ順番に説明していきます。
環境・道具の改善
防音効果が見込まれる、部屋のインテリアの工夫
カーペット: 防音効果の高い絨毯やラグを敷くことで、足音や物音をやわらげます。
マット: 防音マットを椅子や机の下に敷くことで、振動音を軽減します。
カーテン: 厚手のカーテンや遮音カーテンで、音が漏れるのを防ぎます。
スリッパ、ルームシューズ: 足に合っていないスリッパや重すぎるスリッパなどは、パタパタと騒音が出やすくなります。
足音の静かなスリッパやルームシューズに変えることで、足音をより静かにすることができます。
クッション性のあるスリッパを履くと、床面への衝撃や振動を抑えて足音を和らげることができます。
音の出る原因となる道具・モノの工夫
キーボード、マウスなど: 操作音が静かなタイプのものや、キーボードのタイピング音を抑えるカバー・シートなどの音対策グッズが販売されているので、気になる場合は使ってみるのも良いでしょう。
重いものには要注意: 重いものを落とすように置く、動かすときに手を最後まで添えずに放してしまうときに、大きな騒音が発生しやすいです。
職場で使う道具や動かすもの、家具、扉、書類など、特に重いものには移動の最後の瞬間まで手を添えて放さないようにして移動するように注意しましょう。
壊れているもの: ゆがんだ金属製のデスクの引き出しが開け閉めのたびに不快な音を立てている、古くなった椅子がきしんで体重移動のたびに音が出ている、机や作業台が不安定でガタガタと揺れて音や振動が周囲に伝わるなど、壊れているもの・古いものが原因の場合もあります。
自宅の私物ではなく職場の設備の場合は、交換や修理ができるよう、職場の設備を管理している部署に連絡しましょう。
行動の改善
呼吸法、姿勢、声のトーンなど、行動の面で騒音を改善する方法について解説します。
無理なく始められて続けられることが重要ですので、日常生活の中で簡単に取り入れられるような、小さな習慣から始められる方法を提案します。
歩き方: 足音を立てないように、つま先立ちで歩く、かかとからゆっくりと着地するなど、歩き方を意識してみましょう。
靴が原因の場合もあります。
靴が原因で騒音が出るケースには、靴のサイズがあっていなくてドタバタと足音が大きくなる、底板やヒールなどの部品が壊れていて不快な音が出る、靴の素材の問題(床板にあたってカツカツ大きな音の出る素材、キュッキュッと床にこすれる音が出るゴム底の靴)などが考えられるので、騒音を抑えたい場合は、音の出にくい靴を履くようにしましょう。
物を持つ際の力加減: 物を持つ際に、力を入れないように意識することで、物音が小さくなります。
椅子に座る際の姿勢: 椅子に深く腰かけ、背もたれにもたれることで体が安定し、不用意な動きによる音を減らすことができます。
呼吸: 深呼吸を意識することで、リラックス効果が高まり、落ち着いて行動できるようになり、騒音の発生を抑えられます。
声の大きさ: 話す声の大きさを意識し、必要以上に大きな声を出さないようにしましょう。
急に大きな声を出して人を驚かせてしまう自覚のある人は、声のボリュームを調節する練習をするのも効果があるでしょう。
耳が良く聞こえていなくて自分の声が大きすぎることがわからない場合など、身体的な原因がある場合もあるので、気になる場合は病院で医師に相談しましょう。
参考:最適な声の大きさを教えるSSTのやり方|効果を高めるコツ3つも|RYD
参考:「声が大きすぎる」とよく指摘されます。何が原因でしょうか:日経クロストレンド
周囲とのコミュニケーション
周囲と良好な関係を築き維持できるよう、コミュニケーションの努力をする
騒音の問題を改善したいとき、騒音を出さない工夫、音自体に対する対策を行うことも重要ですが、周囲とのコミュニケーションも同じくらい重要です。
普段から周囲と良好な関係を築けていれば、騒音を出してしまったとき周囲の人もいきなり「うるさい!いい加減にしろ!」と怒鳴ったりせずに、「今度から○○するときの音をもう少し小さくなるように気を付けてくれるかな?」と柔らかい調子で注意してくれるでしょう。
お互いにちょっと困ったことがあるときに気軽に指摘できる関係性でいられれば、注意しにくいせいで我慢を重ね、指摘するときには我慢の限界を超えている…というような状況にもなりにくいです。
日頃から、「ご迷惑をおかけしてすみません、今、本棚の整理で重い書類を移動していたのですが、うるさくありませんでしたか?」「月曜の午前中、デスクの配置換えをするので、もしうるさかったら教えてください」などと声掛けするなど、こまめに丁寧なコミュニケーションをとることは、配慮を伝え、良好な関係を築くために重要です。
参考:「職場での気遣い」デキる人はここまで徹底する ちょっとしたことで超好印象につながってくる | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン
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まとめ
継続するコツは”ご褒美”
わざとではないのに、自分ではわからないのに、意識して行動を変えたり、手間やお金をかけて騒音対策を行ったりするのは大変だと思います。
でもその結果として生活音が改善され、周囲の人も快適に過ごせるようになったら、思い切り自分を褒めてモチベーションを維持しましょう。
例えば、好きなものを買ったり、趣味の時間を作るなどして自分へのご褒美(プレゼント)にするのもいいですし、時には音を気にせず野外でスポーツやアウトドアでの活動を楽しんだり、楽器の演奏やカラオケなどで思い切り、好きなだけ大きな音を出すのもご褒美になるかもしれません。
環境や習慣になっている行動を変えて騒音を改善するのは簡単なことではありません。
無理なく始められて続けられることが重要ですので、日常生活の中で簡単に取り入れられる小さなことから始めて、息抜きをしてストレス解消をしながら、取り組みを継続できるよう工夫しましょう。