障害者枠で働く方の多くは、経済的自立ができていない。
1)障害者枠とは
「障害者枠(=障害者雇用)」とは、身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方を対象に、企業・行政が設けている採用枠を指します。
障害者一人ひとりの特性に合理的配慮を行い、職場環境や業務内容を整備します。障害を抱える方が安心して働き、社会生活が安定することを目的としています。
2)障害者枠で働くほとんどの方は、今の給料に満足していない。
近年では発達障害を持つ方の就職件数が増え、障害者枠で働く方も増えました。ただしその一方で課題も出てきています。障害者枠で働く方のおよそ半分の方が「今の給料は少ない」と感じています。
障害者枠の場合正社員は2割ほどで、全体の7割以上が時給制や日給制の非正規社員です。この方の場合、9割以上が「月収平均5万円~15万円未満」のため、経済的に自立が難しい方が多いです。結果単身での生活ができず、「親や兄弟と暮らしている」方がおよそ8割を占めています。
2)発達障害を持つ方の場合、転職せずに賃金が上がる可能性は低い。
また、障害者枠で就職してどんなに成果を挙げても、評価されにくいです。
これは企業の合理的配慮のもと、障害者枠の方の業務が「内容や容量が変わらない」「責任が少ない」ことなどが主な理由です。原因として発達障害を持つ方の特性は個人によって現れ方が異なることにあります。そのため企業側は、当事者に合った仕事の提供を行うことに苦労しやすいのです。
そのため「無難」な業務を任せるというケースが多く、これらの業務は企業の評価をしにくいものが多いです。したがって与えられた環境で努力して担当業務の質を上げても、昇給や賞与を得られる可能性は低いでしょう。結果、早く収入を上げる手段として、転職を考える方が多いです。
参考:発達障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
参考:障害者職業総合センター研究部門 発達障害者の職業生活への満足度と職場の実態に関する調査研究(平成27年)
特定のスキルがあれば、障害者枠の発達障害者でも給料アップが期待できる!
ただし障害者枠でも、自立した生活ができる賃金を得ている方もいます。
今「どんな仕事に就こうか」、「就職のためにどんな準備をすればよいのか」と迷っている方に給料アップのために必要なスキルをご紹介します。
【発達障害】障害者枠の方が、給料アップに必要なスキル
1)Webデザインやホームページ作成などの、IT専門職
マッサージ師などの専門知識やスキルを必要とする仕事は、障害者枠でも求人の需要が多く給料も高いです。
その中でもwebデザインやwebマーケティングなどのIT専門職は、未経験の方でも比較的身に付けやすい専門スキルです。発達障害を持つ方は、得意不得意にムラがあります。しかし専門職であれば、得意なことに絞って仕事ができます。強みを生かせれば、成果も出しやすくなり、給料アップのチャンスが増えます。
【この職につくために必要なスキル】
HTML/CSS、Javascript、PHP、WordPress、その他ホームページ制作ツールの知識など
2)デザインやライティングなど、成果物が明確である仕事
発達障害を持つ方の多くは、独特の感覚を持っています。デザインやライティングなどの業務は専門性の高いスキルを活かす仕事であることであり、感性を活かし有利に仕事ができる業種です。また、あなたの特性を活かせる業務内容であるならば、給料アップも望めます。
この仕事は成果物が明確であるため、プロセスを細かく問われることがなく、仕事のペースがつかめて、かつ成果物の中身が顧客や企業の求める基準をクリアできていれば、すぐ仕事になります。
〇デザイン関連の業務・・・ゲームの背景デザイン、アプリのイラストデザイン、ハーバリウムの制作など
〇ライティング関連の業務・・・WEBサイトの記事ライターなど
【この職につくために必要なスキル】
デザイン関連・・イラストレーターなどの描画ツール、フォトショップなどの画像編集ツールなど
ライティング関連の業務・・・WEBライティングやWEBマーケティングの知識、HTMLタグの知識など
関連記事:障害者枠での給料は一般枠より安い?枠よりスキルの専門性が大事!
3)企業が求める強みを生かせるチャンス「カスタマイズ就業」もある。
従来の福祉的就労ですと、企業はあなたの強みを伸ばすことよりも、あなたの弱みに関わらないように業務を用意します。そのため安定して仕事ができますが、成果が見えにくく、消極的な評価になりやすいです。
その一方で、企業とあなたの双方のニーズを満たす「カスタマイズ就業」という働き方が出てきています。これはあなたの持っている「強み」を企業も求めるスタイルです。あなたの強みを生かして成果を出せば、評価もされ、給料アップはもちろん、「やりがい」を得ることもできます。
関連記事:カスタマイズ就業とは(手段と効果)
障害を持つ方へ。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
「今回の記事にあったスキルは魅力的だけど、セミナーなどに申し込むにはお金がかかる・・」、「自分に合うスキルの探し方や、学び方がわからない・・」という方はいませんか?就労移行支援事業所では、今回ご紹介したスキルを一から学ぶことができます。このサイト『Salad(サラダ』では、就労移行支援事業所に関する情報提供など障害を持つ方が働く為のお手伝いをさせていただきます。下記に主なサービス内容について紹介していきます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
社会や企業に必要とされる仕事につくことが、経済的に自立できる給料を得る近道です。あなたしかできないことを突き詰めていけば、あなたも社会に必要とされる仕事に辿り着けます。自己理解や企業研究を深めて、給料アップできるスキル習得に努めましょう。