面接で企業に伝える「自分の障害について」作成ポイント4つ

安心して働くために、企業に自分の障害を正確に伝えよう

企業に障害特性を伝えている様子

1)世間でも精神障害や発達障害が身近になっている

近年、精神障害や発達障害はテレビやインターネットなどで多く取り上げられ、世間にとっても身近な存在になりました。最近では精神科などの医療機関を受診し、子供に障害の検査を依頼する両親もいます。

参考:精神障害(精神疾患)の特性(代表例)|厚生労働省
参考:発達障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
参考:平成 29 年1月 総務省行政評価局調査「発達障害者支援に関する行政評価・監視結果報告書」

伝え方がずれたら、働き方もずれてしまう。

仕事のコミュニケーションに苦労する、アスペルガーを持つ女性

2)障害者雇用の応募書類には、「自分の障害について」も含まれる

精神障害や発達障害を持つ方に対して、企業でも対応が進んでいます。

その中には自身の障害を公開して、企業からサポートを受ける「障害者雇用」があります。この場合、従来の履歴書や職務経歴書に併せて、「ナビゲーションブック」や「自分の障害について」の提出を求める企業が増えています。採用後にあなたに対して職場はどのような支援をするべきか、事前に確認しておくためです。

参考:障害者職業総合センター「ナビゲーションブックの作成と活用」の概要

関連記事:「ナビゲーションブック」とは?就職活動で精神障害の特性を伝えよう

【体験事例】障害者雇用で企業に伝える、「自身の障害について」作成ポイント

ポイントを説明する男性

「障害者雇用求人に応募したい。でも改めて『自分の障害について』と言われても、作り方が分からない・・。」「そもそも自分の特徴が分からない・・」と不安に感じていませんか?

筆者もはじめはそうでした。今回は「あなたの障害について」作成のポイントを、発達障害を持つ筆者が作成したケースをもとにご紹介します。あなたの特徴を説明できる参考になりましたら幸いです。

【筆者が作成前に感じていた大まかな特徴】

診断名:広汎性発達障害(ASD(自閉症スペクトラム)
特徴:聴覚が過敏な特徴がある。ただし、音の大きさには過敏ではない。
前の職場では、周囲の方のひそひそ話やパソコンのキーボードを荒く打つ音など、この人怒っているのかな、と感じる音で具合が悪くなったことがある。

この筆者の「障害について」の作り方に沿ってポイントを見ていきましょう。

1)自分の悩みや経験を大切にする。

当たり前のことかも知れません。それでも「障害について」を作成するうえで一番難しい、大切なポイントです。

自分の障害を伝えるために、本やインターネットなどで調べる方がいます。同じ発達障害でも特性には個人差があります。調べたものを鵜呑みして、そのまま伝えないようにしましょう。

【もし、調べたものをそのまま職場に伝えてしまうと・・】
発達障害の特徴、聴覚過敏について調べた。自分も同じ聴覚過敏なので、それをそのまま書いて「私の障害について」として提出した。職場の上司は内線電話の着信音や工事作業など、外からの大きな音がしないフロアの真ん中の席を用意してくれた。でも仕事をしてみたら、周りの方のひそひそ話が聞こえて不安になり、体調を崩してしまった。

このように筆者は当初、企業に正確な特徴を伝えていませんでした。

本来自分が持っている特徴と別の原因で問題が起きても、職場の方は対処法が分かりません。「採用されるため」でなく、「仕事をするため」にあなたの悩みや経験を振り返って作ることが大切です。

2)症状や周囲への要望は具体的に伝える。

あなたの苦手な部分を周囲の方にカバーしてもらうために、あなたの症状や周囲の方への要望を伝えることは大切です。

今回の筆者のケースですと「聴覚が過敏なこと」が特徴ですが、「聴覚が過敏です。周囲の音の影響で具合が悪くなります。」だけを伝えたとします。職場の方は「何の音が不快なのか分からないし、結局私たちはどうすればいいのかな・・?」と困ってしまいます。

この場合は、
◎具体的な事例「周囲の音」⇒「周囲のひそひそ話や パソコンのキーボードを荒く打っている音など、この人怒っているのかな?と感じる音が苦手」
◎要望「周囲の影響が少ない、フロアの隅の座席を希望します。」
とします。

このように、周囲への要望はできる限り具体的に伝えていきましょう。事例があるとさらに分かりやすくなります。

3)障害に対しての自分なりの対処も伝える。

「~が苦手です。」「~してください。」といった、自分の状況や周囲への要望のみになってしまうケースがあります。

苦手なことに対して、あなたなりの対処法も伝えましょう。その対処でどんな効果があるかも伝えると、なお良いでしょう。今回の筆者のケースでは、
◎自分なりの対処⇒「ヘッドフォンや耳栓を着用しています。」
◎対処したことでの効果⇒「症状が軽くなり、不調になりにくいです。」

このように、よりお互いが「職場で実際に仕事したとき」をイメージしやすい伝え方を心がけてください。

4)自分をよく知る、家族や医療機関の方などと相談してみる。

これまでに整理した特徴を、あなたをよく知る家族や医療機関に相談しながら確認していきましょう。

あなたが気づかなかった他の方から見た「あなたの特徴」が分かるかも知れません。客観的な視点を取り入れることで、職場の方にも分かりやすく伝えられます。

5)相手の役に立てることを伝える。

仕事とは、お客様や組織の役に立つことです。企業の課題を確認し、活かし合える関係かどうか確認してみましょう。

関連記事:【障害者枠での面接・選考】企業の事業課題について質問してみよう

就労移行支援事業所を利用して相談することもできる。

就労移行支援事業所では、履歴書や職務経歴書など、応募書類の書き方を学ぶこともできます。「あなたの障害について」の作成についてもアドバイスを受けられます。就労移行支援事業所について詳しくは下記の参考リンクや関連記事をご覧ください。その他、事業所の利用について分からない点があれば、このまま下記のご案内をご覧ください。

参考:就労移行支援について – 厚生労働省

関連記事:就労移行支援事業所 利用のメリット 〜こんなお悩みの方に知って欲しい〜

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まとめ

障害を持つ方が社会で成長していくステップ

いかがでしたでしょうか。

今回の筆者の「自分の障害について」をまとめると、このようになります。

【筆者作成の「自分の障害について」】
診断名:広汎性発達障害
特徴:聴覚が過敏です。

周囲のひそひそ話やパソコンのキーボードを荒く打つ音など、「この人怒っているのかな・・?」という感情が伝わる音が苦手で、体調が悪くなります。具体的には、血の気が引いて、気が遠くなるような感覚になります。

周囲への要望:周囲の影響が少ない、フロアの隅の座席を希望します。
私なりの対処・その効果:ヘッドフォンや耳栓を着用しています。つけていると不調になりにくいです。

自分の経験を振り返り、人に伝わる言葉に変えることは難しいことです。しかしながら、あなたの特徴を正確に伝えることができれば、お互いが安心して仕事をすることができます。あなたもこのポイントから、職場で活躍するための良いスタートが切れたら幸いです。

【筆者紹介】
Salad編集部員。1980年生まれの男性。大人になってから広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)と診断されている。公務員として10年間勤務、うつ病を経験し民間企業の障害者枠の事務職として4年間勤務。自分を生かした働き方を求めて、会社を辞め就労移行支援事業所に1年間通所し、就職が決定した。過去に障害特徴を伝える訓練は受けていたが、就労移行支援のカリキュラムの中でも改めて「私の障害について」の作り方のアドバイスを受けた。

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