境界性パーソナリティ障害とは?
パーソナリティ障害とは
パーソナリティ障害とは、『その場所の文化から著しく偏った内的体験及び行動の持続的パターン』であることに加え、ほかの精神障害には該当しない障害を定義としています。
個性や性格ではなく「疾患」であるため、通院での治療が必要です。ですからもちろん、治療により治る障害です。
参照:パーソナリティ障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
境界性パーソナリティ障害とは
パーソナリティ障害の中に、「境界性パーソナリティ障害」というものがあります。
気分の波が激しく、感情が不安定であることが特徴です。良し悪しの判断が両極端になりやすいことや、強いイライラ感が抑えられないなどの症状を持ちます。別名「境界性人格障害」とも呼ばれています。
「境界」とは、神経症と統合失調症の2つの疾患の境界にある症状を示すことから来ています。
参考:パーソナリティ障害|Personality Disorder in Japanese | Royal College of Psychiatrists
境界性パーソナリティ障害は、怒りっぽい?
怒りっぽさは、「神経症的」な症状に該当する
境界性パーソナリティ障害の「神経症的」な症状に、強いイライラ感があります。
先ほど触れた「良し悪しの判断が両極端である」ことのみを踏まえても、許せないことが増えてしまいます。
折り合いをつけた決断を「中途半端」と見ることや、職場で周囲の人間が適度に取り組んでいるのを「いい加減」「不真面目」ととらえがちです。
境界性パーソナリティ障害を持つ方が怒りっぽいのは、この「許せない項目が多い」こともあります。
「現実が冷静に認識できない」統合失調症的な症状もある
統合失調症の症状として幻覚・幻聴など、現実には起きていないものを感じる症状があります。
境界性パーソナリティ障害の場合幻覚症状までは感じなくても、「本来は誰も思っていないのに、誤解をしたまま周囲を疑ってしまう」などの被害妄想なども現れます。
その疑いの目が、イライラとして映ることがあります。
関連記事:【統合失調症】幻聴が聞こえるのが辛い…職場や病院への伝え方3つ
【境界性パーソナリティ障害】その他主な症状の種類
人に見捨てられることに不安を感じる
通常は何もひどいことをしていなければ、人を見捨てるということはありません。理由なく人を見捨てるような人が、一番周囲に見捨てられやすい人でもあります。
そのような状況にもかかわらず、境界性パーソナリティ障害を持つ方は、常に「人に見捨てられるかもしれない」という不安に悩んでいます。その不安が、ピリピリした雰囲気になり、イライラにもつながります。
ひどい場合は、「見捨てられていない」ことを確認する行動に出ることがあります。わざと迷惑をかけるような行為をしたり、自損行為(アルコールや過食、薬物などに依存するなど)などで動揺させようとしたりすることがあります。
他者を試すことで、自分の存在を確認したいのです。
気分や感情、対人関係の変動が激しい
気分や感情が著しく変わるため、それに伴って対人関係の変動も激しくなりやすいです。
そのため周りから見ると「この前までは仲がよさそうだったのに、今は対立している。」「仲が良いのか悪いのかが分からない」と混乱しやすいです。
もともとの判断が両極端であるため、「密着するか、完全な拒絶か」になりやすいのです。
感情を抑えることが苦手で、傷つきやすい
怒りっぽいことに加えて、傷つきやすいことも挙げられます。自身が強い口調で言うために、相手も強い口調になりがちです。しかし、自分の口調が強くなっている自覚がないと、「傷つけられた」というダメージだけが残ります。
上司に相談するときも完全に「被害者」として申告しやすいため、混乱させてしまいます。
境界性パーソナリティ障害になる原因は?
境界性パーソナリティ障害発症の原因は様々なものが考えられています。
代表的なものとして、
○もともと、人よりも不安を抱きやすい
○集団生活になじめないなどの生活環境
○遺伝も要因の一つして考えられている
ことなどがあります。
特に生活環境に関しては、家庭や学校生活で安心した関係が築けなかったことでのちの人格形成に大きな影響を及ぼしていることがあります。
これにより、このような経験を紐づけるような「ちょっとしたダメージ」でもひどく傷ついてしまう状態になってしまいます。
関連記事:パーソナリティ障害の原因は母親だった!?チェックの方法とは
参考:境界性人格障害(境界性パーソナリティ障害) | 大阪・難波(なんば)日本橋の心療内科・精神科の病院【いちメンタルクリニック】
境界性パーソナリティ障害の治療法
抗うつ薬、抗不安薬
症状である「気分の落ち込み・不安・怒りの感情」などに対しては、抗うつ薬と抗不安薬で対応します。
医師や臨床心理士などのカウンセリング・行動療法
薬物療法に併せて、かかりつけの医師や臨床心理士などのカウンセラーの方と相談することによって、考え方のくせや精神状態を改善させていきます。
当事者が原因となる「過去の体験」と向き合うこと
治療において大切なのは、「治したい」という意思です。これを持つためには発症の原因となった過去の辛い体験などにもきちんと向き合っていく必要が出てきます。
参考:対人関係が築けない人に多い、境界性パーソナリティ障害の治療法 | セラピストプラス | 医療介護・リハビリ・療法士のお役立ち情報【マイナビコメディカル】
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
もっとも、初めに原因になる体験をしたのは、紛れもなく「あなたのせいではない」ことが多いのではないでしょうか。しかしながら、「否定されたこと」として記憶に残ってしまい、現在に至るまで苦しんでいることがあるのではないでしょうか。
境界性パーソナリティ障害の治療は、長期にわたります。辛いことも多いですが、治療を続けることで、のちの生活を豊かに感じられるようになります。
諦めず、ゆっくり向き合っていきましょう。