場面緘黙症によって、職場で十分に働けない問題がある
場面緘黙症とは
「場面緘黙症」とは、職場など特定の場面に直面すると会話ができなくなってしまう疾患です。「選択性緘黙」とも言われます。かつては性格や本人の努力の問題として捉えられがちでしたが、現在は『精神疾患』として問題視されているのです。
自宅やプライベートでは問題なく話せるのに、なぜか職場になると全く話せないなど『場所』によって会話への緊張感や自信の度合いが変わって来ます。
関連記事:落ち着いて話す場所がない『場面緘黙症』のサイン、対処法とは
場面緘黙症の影響で、充分な仕事ができない
業務のほとんどは、コミュニケーションが関わると言ってよいでしょう。ですから満足な会話ができないことが、成果に反映されやすいのも事実ではないでしょうか。
「話せれば仕事はできるのに…悔しい!」と言う気持ちで一杯ということもあるかもしれません。確かに「話せない」というだけで、『仕事ができない』烙印を押されてしまっては勿体ないといえるでしょう。
そのような場面緘黙症(選択性緘黙)に悩んでいるときの『助け船』になるかもしれない、新しい働き方が今、出てきているのです。
そのうちの一つが「ワーケーション」になります。
ワーケーションとはどんなこと?
ワーケーションとは
「ワーケーション」とは、「ワーク(仕事)」と「バケーション(休暇)」を組み合わせた造語です。2000年代にアメリカで誕生した考え方で、文字通り仕事と休暇を組み合わせて行う働き方になります。
日本でも様々な企業が導入しており、企業によって多様な方法でもってワーケーションが行われています。基本的には『有給休暇を取得し旅行を行う→一定期間旅行先で仕事をする』というスタイルが多いです。
参考:ワークスタイル変革 | CSR情報 | JAL企業サイト
参考:新制度!ワーケーション体験記! – 株式会社ジモティー
さて、このような特徴を持つワーケーションですが、場面緘黙症に悩む方にとってどのような効果が期待できるのでしょうか。
ワーケーションでどんな効果が期待できる?
発症の原因から離れつつ仕事を行うことができる
ワーケーションは、主に旅行先でメールやチャットなどの情報通信を用いて仕事を進めていきます。これまでは「職場(オフィス)が耐えられない」場合は『休む』か『辞める』しか選択肢がありませんでした。
もちろん部署や勤務場所を変えることで症状が緩和されるケースもあります。しかし、「建物に入っただけ」「『仕事』という意識が出てきただけ」でも緊張してしまうケースがあるのではないでしょうか。
ワーケーションは、これらの選択肢が増える形になり「異なる場所・環境・条件で働く」ことができる方法です。仕事を意識するような環境から離れて業務を行うことで、本来の落ち着きを取り戻せる可能性があるかもしれません。
緊張を伴わない形で職場とのコミュニケーションが取りやすくなる
場面緘黙症を持っていると、職場での会話に対する緊張感は強いでしょう。これは会話の際の相手や周囲の目線、言葉の語気など「言葉以外の情報」が気になってしまうことが原因の一つです。
ワーケーションは、先ほどお伝えしたように『職場から離れ、メールなどでやり取りをする』方式です。そのため周囲の目はありませんし、緊張を伴いやすい要件が少ないです。
仕事にとって必要な情報のみのやり取りに限定できることによって、本来の力が出せる可能性があるのではないでしょうか。
やり取りの中で、『緊張する必要がない』ことに気づく可能性もある
また、補足としてメールやチャットにてコミュニケーションをしていく中で「相手の人格」が見えてくるケースもあるでしょう。これにより「そこまで緊張するような相手ではなかった」「リラックスして話せる相手だった」と気づき症状が緩和される可能性もあるのです。
仮にオフィスに戻ったとしても、ワーケーション中のやり取りに基づいて話すだけであれば大丈夫という可能性が出てくるかもしれません。
場面緘黙症に悩む方がワーケーションにトライすることでこのような効果が期待されます。では、ワーケーションをするために準備しておくことにはどのようなものがあるのでしょうか。
ワーケーション実施のために準備しておくこと
事前にワーケーション中の流れを確認しておく
ワーケーション中は情報通信でのやり取りになります。そのため同じ部屋にいる時とは異なりコミュニケーションに時間差が生まれるケースが出てきます。
分からないことを聞きたいのに返答がないから何もできない…ということがないように、あらかじめ業務の流れを確認しておきましょう。
メールやチャットなど、情報通信技術を習得する
ワーケーションでのやり取りは情報通信がメインになります。電話などのやり取りも考えられますが、これでは緊張してしまう…というケースも考えられます。したがってメールなどの情報通信によるやり取りがメインになるでしょう。
いざ旅行先に行ってから『チャットのやり方を知りません』という状態ですと、業務の流れが止まってしまう可能性があるのです。ですからあらかじめ情報通信技術について学んでおく必要があります。
もし不安であれば、下記の関連記事もチェックしておきましょう。
関連記事:テレワークで使用する情報通信ツールは?チャットワークなど紹介!
双方のタイムスケジュールを共有する
同じ部屋に居れば、「今日、上司は休みなのか」「今日は午後まで出張なんだな」などの動きが分かります。しかし、離れた場所であればこれが分かりません。もちろん逆の立場からでも同じで、職場は今あなたが何をしているのかすぐには把握できません。
このような状態ですと、コミュニケーションのズレや業務の遅れが生じる問題が出てくるでしょう。コミュニケーションに不安を持つことで、さらに相手に緊張してしまうことにもなりかねません。
ですから事前にお互いのスケジュールを共有し、スムースにやり取りができる状態にしておく必要があるでしょう。
旅行先・宿泊先が緊張を伴わないかどうか確認する
場合によっては、「旅行先の雰囲気や環境で緊張を伴う」という可能性もあります。この時に「せっかくワーケーションを設定してくれたから、無理してでもやらないと…」と続けることで体調を崩してしまっては元も子もありません。
旅行先の雰囲気が自分にとって快適なものであるか、緊張を伴わないものであるかを確認することが必要になって来るでしょう。
また、あらかじめ自分が旅行したことのある場所を指定できれば、希望の旨を伝えるという方法も考えられます。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
これまで、『どうして場所が変わると話せないんだ』『職場になると話せなくなるのが辛い』と感じることがあったかもしれません。場合によっては、普段と職場との態度の違いに、不満を言われたこともあったかもしれません。
ワーケーションは、そのような『場所』に関わる仕事の問題を解決してくれるカギになるかもしれません。今後も発展していくワーケーションに注目していきましょう。
また、ワーケーションのオフは「旅行」ですから、観光やバカンスを満喫することも忘れないでくださいね。