【大人の発達障害】『助けて』と言えない…職場でSOSを出す対策は

職場で辛いのに、『助けて』の言い方がわからない

助けてと切り出すタイミングを見失っている男性

自分の意思を伝える、理解してもらうことに苦労しやすい

発達障害は先天的な脳機能の障害で、生活の様々な場面において苦労をするケースがあります。その中でも職場など、他者とのかかわりの中で困難やトラブルを招いてしまうこともあるのです。

これは障害特性から、『自分の意思を正確に伝えることが苦手』『周囲には理解されにくい苦手な作業や行動がある』などの問題を抱えていることなどから起こりやすいのではないでしょうか。

自分の中に溜め込んでしまい、心身を崩してしまう

発達障害を持つ方は、過去にも他者との意思の疎通がうまくいかなかった経験を持っていることがあります。そのため、同じ思いをしたくないために他者とのかかわりを避けてしまうケースも考えられるのです。

「辛いのはわかっているのに、伝えても分かってもらえない…」このような感情を抱えてしまい、辛さやストレスをため込んでしまうことがあります。

周囲からは「自分たちを必要としていない」「一人で何でもしようとしている」ように見えてしまい、かえって関係が悪くなってしまうなどの問題も生ずるおそれがあるでしょう。

このようなことから職場定着ができず、悩んでいることがあるのではないでしょうか。

参考:発達障害者の職業生活への満足度と 職場の実態に関する調査研究
参考:就業経験のある発達障害者の 職業上のストレスに関する研究

さて、今回は
○発達障害を持つ方が、なぜSOSを出しにくいのか
○SOSを出すために普段から心掛けておくことはあるのか

こちらについて紹介致します。

【大人の発達障害】職場で『SOS』を出せない理由

自信を失いSOSを伝えるタイミングを見失っている女性

①自分の感情をうまく伝えられず、『他者への不満』として辛さを訴えてしまう

自分の感情をどう伝えたらよいか分からず、困るケースがあります。

本来は「自分が辛い」ことを言わなければいけません。しかし、心情をうまく話せないために「上司が適切なサポートをしてくれない」「誰も助けてくれない」など他者を対象とした言葉として話してしまうことがあります。こうして本人が自覚していないところで、他者を傷つけている事態を起こしてしまうのです。

『助けて』ではなく『他者の助けが足りない』という表現で伝えることでサポートどころか、関係が悪化してしまうことにもなりかねません。

関連記事:【発達障害】自己評価が低いと横柄に見える時も!?理由と改善法4つ

②普段は全く話していないため、伝えるときのハードルが高い

コミュニケーションが苦手なゆえに、「普段は全く話さない」「挨拶や事務的な報告だけ」ということはありませんか?このようなときに起こりうる問題は以下の2つです。

・いざ話さなければならないときに、プレッシャーを感じてしまう。
・相手に「問題がない」と思われている可能性が高く、いきなり伝えたことで驚かれてしまう。

このような「会話のウォーミングアップ」がされていない状態で大事な話をしようとすることで通じないケースが起きてしまいます。

③辛さを言葉に変えられず、ヒステリックになってしまう

辛い状況が頭の中で漠然としていて、『言葉』という形に変換することに苦しむケースあるのではないでしょうか。

どんな人でも、「なんか辛い」「何となくしんどい」のような言い方では分かってもらえないと知っているでしょう。しかし辛くても具体的な言葉にすることができないことで、いつまでも抱え込んでしまうケースが起きてしまうのです。

最終的に適切な言葉が見つからないために、「キレる」など怒りやヒステリックとして表現してしまうこともあります。これによりトラブルになってしまうケースもあるのです。

参照:発達障害プロジェクト – NHK

このような事情から、正確にSOSを伝えることに苦労していませんか?周囲との対人関係を保ち、長く働き続けるためには「SOS」を出せるように心がけなければなりません。それでは、その対策にはどのようなものがあるのでしょうか。

職場で『SOS』を出せるようにする対策

SOSの出し方についてアドバイスする女性

①辛さを表現するとき、相手や他者を否定しない

辛さを伝えるときに他者のことを話すのは、自分の心情だけでは伝えきれないと感じているケースが多いです。

「自分はこれだけ辛いんだ」とアピールするために他者の事情を付け加えていませんか?相手への批判をすることで、あなたの辛さが十分に伝わらなくなってしまいます。『このような尖った感情は弱さから来ている』と冷静に見られるのは、一部の人間だけです。

相手がどのような方であっても、否定してきた相手を助けたいという気持ちにはなりにくいです。助けてもらいたいのであれば、お願いする相手を否定せず、尊重することを常に意識していなければなりません。

②無理に口頭で伝えようとせず、メモやメールなども活用する

直接言わずにメールやメモで伝えるのは卑怯ではないか?そう感じたかもしれません。

しかし、「大切なのは今の状況を正確に伝えること」ではないでしょうか。ですからもし口頭で伝えることが苦手なのであれば、無理に口頭で伝えようとする必要はありません。メールやメモを活用して伝えることも方法の一つです。

どうしても思いは直接伝えたいという場合は、肝心の「第一声」だけメールやメモを使う方法もあります。

やはり一番の負担は、最初に話しかけることであるケースが多いためです。ここさえクリアすれば後は思いを伝えられるという場合は、最初の声かけのみ口頭以外の方法で伝えることもあるでしょう。

③辛い状況になる前に、定期的に上司と相談する機会を作ってもらう

辛いような状況になるほど大きな問題になってから言おうとすると、どんな方でも伝えることは難しくなります。

ですから定期的に上司と相談する機会を設けてもらいましょう。ここで自分に起きている問題や困難を「小出し」していきましょう。上司や周囲も小さな問題のうちの方が対処しやすくなります。

辛く抱え込んで体調を崩してしまう前に、「SOS」を出しやすい環境を作っていく心がけが大切です。

相談に関して詳しくは、下記の関連記事を参考にしてください。

関連記事:【大人のADHD】仕事で辛い悩みを相談できない…原因と打開策4つ
関連記事:【ASD・アスペルガー】悩み事を相談できない…きっかけの作り方4つ

辛い状況が改善されない時は、職場環境を見直してみよう

新しい環境への挑戦に意欲を見せる女性
今回は、職場でのSOSの出し方・普段の心がけについてお伝えしました。

しかし「相談をしても、十分な回答やアドバイスをもらえない」「どうしても苦手なことを改善できない」と感じたら、職場環境とマッチしていない可能性があります。そのような場合は職場環境を見直し、自分の働き方を見直してみる機会かもしれません。

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まとめ

お互いを認め合う仲間たち
いかがでしたでしょうか。

自分の思いを言葉にするということは、簡単なことではありません。中には恥ずかしさを感じることや「言った時点で負け」と気負っていることもあるかも知れません。

しかし、発達障害を持つ方で職場定着できない人が多いのは、能力が低いからではありません。「人の力を得ないと乗り越えられないところ」で挫けてしまうケースが多いからではないでしょうか。

「辛い」と伝えることは、「恥」でも「悪」でもありません。あなたの身を守るための大切な行動なのです。一つのスキルとして、少しずつ心がけていきましょう。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。頼られることは抵抗がないのに、頼ることにひどく抵抗がある時期があり、うつ病を発症したこともある。

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