苦手克服に追われ、良さを活かすチャンスがない…
発達障害を持ちながらも、社会貢献したい
障害者雇用促進法の改正などで、発達障害を持つ方が働ける機会が増えました。『これまでに職歴がなく、初めて社会人として働く』『一度職場を辞め、リハビリの末再スタートできた』など、他の方よりもモチベーションが高いことが多いのではないでしょうか。
「これから頑張ろう」そう心に決めて仕事に臨む方も多いです。
良さを活かそうと提案すると怒られる
そうして「発達障害の強みを活かしたい」と、日頃の相談やナビゲーションブックなどで職場に提案することもあるでしょう。
しかし、それを受け入れてもらえないことはありませんか?「言われたことだけやっていれば良い」など言われると、落ち込んでしまいますよね。
今回は「職場から『努力が足りない』と言われる原因」を振り返りつつ、同時に「個性を活かしにくい『苦手克服』に追われやすい職場」について紹介します。
職場環境を見直す前に、自分の取り組み方を振り返ってみよう
まずは「職場があなたの努力や提案を認めてもらえない」要因をお伝えします。もし「自分にも原因があるのかな…」と不安がある場合に参考にしてください。
詳しくはこちらの記事「【発達障害】職場で努力が報われないときの、無駄なく仕事を行うコツ
【発達障害】努力を認めてもらえない要因
周囲の要望と関係なく、自分のこだわりだけでやっている
周囲が求めていることとは関係なく、自分の価値観やこだわりの中で仕事をしているケースです。自分の中ではとことんこだわっているため、労力を使います。そのため、『頑張った気』にはなるのです。しかし、本来の業務目的と大きくずれていることもあり、評価が下がることもあります。
何をやっているかを伝えていない
今行っている取り組みや努力が周囲の要望と合っていても、作業状況を伝えないことで十分な理解を得られないケースがあります。独断で行うことで、周囲から「無視されている」と感じてしまうケースがあるのです。
周囲が忙しくても、対応を変えない
中には障害特性として「ルーティーン通りに行う」旨を伝えていることもあるでしょう。しかし、周囲が苦しんでいるのに全く関心を示さないことで不満を持たれてしまうことがあります。
「あなたが辛い時にはカバーしているのに、私たちが辛い時には何もしてくれない」と思われてしまうこともあるのです。
作業レベルは高いが、報連相がない
その他作業レベルも高く周囲の要望と食い違いがなくても、何も報連相がなく一人でやっていると不満に思われる時があります。
するべき努力が見えないなら、上司と相談してみよう
これらのケースに心当たりがあるときは、一度上司に相談してみましょう。お互いの意思をすり合わせることで努力が認められるケースもあります。
下記の関連記事を参考にして、より良い相談ができるように心がけてみましょう。
関連記事:【大人のADHD】仕事で辛い悩みを相談できない…原因と打開策4つ
関連記事:【ASD・アスペルガー】悩み事を相談できない…きっかけの作り方4つ
発達障害を持つ方が成長しにくい環境がある
ここまでは「努力を認められないのが『あなた』である場合」についてご紹介してきました。
しかし、発達障害の強みを活かすことを受け入れていない「成長しにくい環境」があることがあります。
障害者雇用は『サポートの対象』と見られやすい
障害者雇用に対して、「どうサポートしようか」ということに重きを置く職場が多いです。個性を活かし、自由に取り組ませると職場の管理が難しくなります。さらには苦手なことを周囲でカバーすることが大変なこともあるでしょう。この場合、少しでも早く「できるようになってほしい」と思われやすいかもしれません。
『苦手克服』に注目されがち
このような職場ですと、「理想の障害者雇用」も異なります。この場合「サポートの必要がない人」が理想であることが多いです。そのため苦手なことへの対処をせず、別のことをすることがよく思われないケースがあります。
苦手克服に頑張りすぎると、適応障害になってしまう
このような中でも何とか頑張って苦手を克服しようとしている方もいるのではないでしょうか。しかし、無理を続けていると適応障害となり、長期離脱を余儀なくされるリスクが高くなります。これでは元も子もありません。
このような「無理をしない」ために、「苦手克服が多い職場」にはどのような特徴があるのかをご紹介しましょう。
苦手克服を求められやすい職場とは?
指示通り・言われたことだけをしていてほしい
発達障害とはいえ、人により特性はさまざまです。そのためそれぞれの提案や強みを活かすには、多様な対応が取れる体勢がないといけません。
受け入れ側に柔軟な対応を求められるのです。これができない、手が回らない状況の場合、統一見解でまとめるほかありません。考え方をまとめたいために、「指示通り・言われたことだけをしてほしい」という職場も存在します。
この場合は、自分の個性を活かすことは難しいでしょう。仮にできたとしても、苦手なことをすべてクリアしたうえでかつ安心させられることが条件になります。
他の人と同じように仕事をしてほしい
中には、職場全体で足並みを揃えないといけない事態が出てくるでしょう。ですから個性を認めてしまうと、方針や手順、見解も多様になる可能性が高いです。
この場合、個性を活かすことを問題視することがあります。あなた個人として努力できても「頑張り過ぎていることで、他の障害者雇用の方が不安になる」などの理由から、努力を受け入れないケースがあるかもしれません。
努力が活きる環境を探してみよう
周囲が理解不足のときもある
このような理由から、努力や強みを活かせない環境も存在します。このような職場ですと、あなたがどんなに工夫して取り組んでいいても、十分な理解を得られないことがあるでしょう。
「勝手なことをするな」「言われたようにやっていればいい」とよく言われる場合は、あなたの個性を活かせる環境ではないかもしれません。
そのままの努力を受け入れてくれる環境を探す方法もある
あなたの強みを活かせず、苦手なことをどう克服しようかばかりに終始していては、あなたの良さを活かすことは難しいでしょう。障害を持たない方と同じように、またはそれ以上の活躍をするということも大変になります。
ですから無理をせず、あなたらしく活躍をするためには、今持っている強みを活かすことを受け入れる環境を探すことが大切です。
そのヒントとなるのが「カスタマイズ就業」という働き方です。従来の弱みをどうカバーしていくかということではなく、本来持っている強みを活かして成長していく考え方なのです。
まさに、あなたの努力を受け入れてもらえるチャンスなのです。
下記の関連記事を参考にしつつ、詳しくはSalad編集部までお問い合わせください。
関連記事:ADHDの適職は?カスタマイズ就業で、向いてる仕事を見つけよう
関連記事:【発達障害を持つ方の就職】あなたもできる「カスタマイズ就業」とは
仕事・働き方に悩んでいたら。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
まとめ
いかがでしたでしょうか。
障害者雇用自体への周囲の解釈も、人それぞれです。良さを伸ばしてどんどん取り組んでいけるところもあれば、体調不良を懸念してサポートを重視するところもあります。
自分の特性を見直して、どんな職場環境が合うのかを考え直すことも良いかもしれません。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。努力をし、成果を出すことで「罪人」のように見られたことをきっかけに、転職を決意。就労移行支援事業所で1年間トレーニングの末、強みを活かすテレワークに就職した。