ディスレクシアってそもそも何?
ディスレクシア(英語: dyslexia、ディスレキシアとも)とは、脳の違いによって生じる現象・特徴であり、学習障害の一種です。知的能力及び一般的な理解能力などに特段異常が無いにもかかわらず、”文字を読み書きする学習(読み間違いが多い、読むのが遅い、書き間違いが多い)”に対しては著しい困難を抱える障害です。
ディスレクシアは、失読症、難読症、識字障害、(特異的)読字障害、読み書き障害、とも訳されます。ちなみにですが遺伝の可能性が高いという報告があります。
発達性読字障害(DRD; Developmental reading disorder)とも呼ばれ、1884年にドイツの眼科医ルドルフ・ベルリン(ドイツ語版)によって報告され命名されました。
弱点はあるが、独創性が際立つ個性となり得る
ディスレクシアには、弱点がありますが、「とても独創的である」という強み=個性があります。
その強みですが以下のようなものがあります。
まず視覚的に全体を捉える力に優れていることから、より広く「注意、注目」を行き渡らせることが可能だと分かっています。そしてその傾向は視覚だけでなく、聴覚にも見られると言われています。さらに物語などを読み終わった時には、内容をとても深く掘り下げて理解していたりします。
また、ちょっとやそっとでは倒れこまないので、「こうだ!」と決めたら、ブルドーザーのように突き進めます。
また、エピソード記憶が意味的記憶より強いため、独創的です。一般的な発想等とはかなり違う創造性や、奇想天外なアイデアを生み出す事が出来ます。それは異なる物事や概念、出来事の相互関係を見抜く力があるからです。
そしてさまざまな領域のアプローチやテクニックを使い、物事を多角的な視点から見る力から、空間把握能力、関係を把握する能力、物語る能力、未来を予測する能力に長けています。
以下で詳しく説明しますが、これらがディスクレシアを持つ人々の強み・特別な個性と言えるでしょう。
ディスレクシアの優位性
それではディスレクシアの優位性にはどんなものがあるのでしょうか?以下の通りになります。
物事を予測する力に長ける
ifを考えるシミュレーション能力に長けているので、物事を予測するのが得意です。それは独創的なシミュレーションを行ったり、想像の産物を構築する能力が有るからです。
ストーリーを構築する力に応用できる
主題に関する細かい情報を組み合わせて壮大な全体像を描き出したり、本質を指摘したりが出来ます。
また、過去・現在をリアルに思い出したり、未来をリアルに思い描いたりが出来、その中で新しい概念を試してみたり構築できる力があります。ですので、物語の形で考え・伝えることが得意です。
論理的思考力が実は高い
過去の個人的経験(エピソード記憶、個人的記憶)の「心的場面」をつむぎ合わせて、過去・現在をリアルに思い出したり、未来をリアルに思い描いたり出来るので、それらを総合してきちんと筋道を立てて考えることが出来る、という高度な論理的思考力を持っています。
空間把握力が高い
『人口のトップ1パーセント以上に入る高さ』という3D空間認知力や、創造力を持っています。
それは”頭中で事・物を3Dで思い浮かべることが出来て、空間の情報(空間での物体の形・大きさ・動き・位置&位置関係)を正確に記憶し、思い起こし、操作することが出来るから”なのだそうです。
ただし、ある分野の空間把握は得意だが、他の分野の空間把握はそうではなかったりする、ということも有るようです。
マーケティングや広報、広告などのビジネスセンスが高いかも
普通の人が気づかないような俯瞰した視点から物事を眺められるので、世間全体を眺めた上でのマーケティング的なニーズやビジネスチャンスなどを読むセンスに長けています。例えて言うなら、木に囚われない為に森を眺められる、そういったことが思考面に見られるのです。
マーケティング事業や広告業界にディスレクシアの人が多いのですが、納得ですよね。
論理的に人々の需要を予測し、ストーリーを組み立てることができる
先述の能力から、抽象的ではなく論理的に人々の需要を予測し、ストーリーを組み立てることが可能です。単なる自由な空想ではなく、抽象的論理とは対極にある「正確」な予測を目指すところがポイントです。
空間把握力を活かしデザインセンスを磨くと、キャリアが磨かれる
前述にもありましたが、高度の3D空間認知力や創造力を持っていますので、それらにデザインセンスを加えまた磨くことで、キャリアも磨かれ、更なる強みを持つことが可能です。
他にもこんな仕事が合うかも
一つの専門性に特化するのではなく領域横断的なアプローチを好むディスレクシアの人達ですので、
さまざまな分野にまたがって活躍する人が多いといわれています。
マーケティングや広告業界以外にも、先に述べました特性を活かすことが出来るエンジニアであったり、建設&建築関係、その他にも医療関係や発明家、作家などなど一例ではありますが、これらの仕事が合っていると考えられます。実際にこの分野で活躍されているディスレクシアの人たちも大勢いらっしゃいます。
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まとめ
これは例としてなのですが、英国政府通信本部のスポークスマンによるこんな記事がありました。
ディスレクシアの人たちについて、
「神経の多様さ(neuro-diverse)を持つ個々人が、この部署で必要となる役割や仕事のスペクトラムに、革新的なアプローチや、付加的な価値をもたらしてくれると、私たちは認めています」
とあります。
この内容からも、ディスレクシアの人々が通常の業務内容ではなく、その優位性を発揮できるポジションに置かれることによって、その能力・個性を認められ、輝かせることが可能である・・のです。ですので、希望する仕事の内容を上記の観点から検討することにより、より良く活躍できる職種等を見つけ出すことが、ディスレクシアの人々に必要不可欠なのではないでしょうか。
逆にこれだけの強みがありますので、先ず現在の自分を一から振り返り、自分の特性や個性を客観的に見極めたり専門の検査を受けてみてはいかがでしょうか。それらの結果をもとに、これからの自分が最も活躍できる仕事や職種のマッチングを図ってゆくことが重要なのではないでしょうか。
以上のことを鑑みて頂き、少しでも今後の職探しや仕事の質の向上に活かして頂ければ幸いです。