中途障害者は、辛い気持ちを抱えている
中途障害者とは
『中途障害』とは障害を持たず生まれてきた「先天性障害」とは異なり、生まれたのちの病気や事故、その他原因不明の事態によって生じた障害をいいます。中途障害者とは、この中途障害を持った方を言います。また、さらに障害が進行しているケースも含まれます。
先天性障害とは異なる、辛い気持ちを抱えている
生まれ持っている先天性の障害とは異なり、一般的にいう「健常者」から障害者になった場合様々な辛い気持ちを抱えていることがあるのです。
今回は、
○中途障害の原因となる疾患や障害については、どのようなものがあるのか
○中途障害を持つ方がどのような辛い気持ちを抱えているか
○中途採用が抱えている困難を乗り越え、職場復帰する方法にはどのようなものがあるのか
こちらに焦点を当てて紹介していきます。
まず、中途障害となりうる疾患や障害の種類にはどのようなものがあるのか紹介します。
中途障害の原因となる疾患・障害の種類
脳血管障害
「脳血管障害」とは脳内出血や脳梗塞による症状で、一般的に「脳卒中」と呼ばれているものです。医学の発展などにより発症による救命率は高くなっていますが、発症後に起こる後遺症が残る問題があります。
後遺症の種類としては
・片麻痺(左右のどちらかが麻痺状態になる)
・言語障害
・失語症
・感覚障害
・記憶障害
・不随意運動
これらの障害を持つことがあるのです。これは発症する脳の部位によって症状が変化してきます。
交通事故を含む各種事故
車やバイクによる交通事故、その他職務上の事故などから生じる障害です。事故により「体の一部を失う」「脊髄損傷で半身まひになる」などのケースが該当します。
事故による中途障害も脳血管障害と同様に「記憶障害」や「注意障害」に加え、対人関係が作れないなどの社会的行動障害を発症するケースなどもあるのです。
参照:弁護士法人ALG&Associates交通事故弁護士 後遺症の種類と症状の一覧 | 交通事故 後遺障害
参照:精神障害(精神疾患)の特性(代表例)|厚生労働省
疾患による障害
糖尿病などを発症した際に起こる失明、足を切断することや大・小腸疾患によるオストメイトなど、他にも様々な中途障害が存在します。
中途障害の原因になる症状については、このようになります。では、このような障害を人生半ばで抱えることになった方は、どのような気持ち・辛さを感じているのでしょうか。
中途障害者が抱えやすい、辛い気持ち
喪失感が強く、障害を受け入れることに苦労しやすい
先天的に障害を持って生まれた方も様々な困難を抱えています。筆者もまた、先天的な障害である「発達障害」を持っています。このような先天的障害を持って生まれてきた方とは違い、中途障害を持つことになった方は、「障害を持っていない頃の自分」があったわけです。
もともとできない時よりも「できていたのにできなくなった時」のほうが、喪失感が強いのではないでしょうか。また、本人はもちろん家族や友人へのショックも大きい場合があります。
このような事態を理解し、自分の障害を受け入れていくことに苦労している方は多いです。
突然、仕事を続けられなくなる事態になり、生活へのダメージが大きい
障害の内容にもよりますが、ほとんどのケースでそれまでの仕事を継続できなくなります。
例えば仕事で自動車を運転する方が交通事故で半身まひをしたら、突然仕事がなくなってしまうわけです。先天性障害とは異なり突然に障害を持つことで、それまで「障害を持っていないこと」前提でできていた生活が大きく変わります。生活をするためのリハビリも辛いものです。
この変化による心身への負担はとても大きなものではないでしょうか。
生きがいや目的を失ってしまう
事故や病気などで治療を受けたのち、退院したあとに生きがいや目的を失ってしまうケースもあります。これにより、自宅に閉じこもってしまう方、心を閉ざしてしまう方がいるのです。
このような事態を防ぐために、支援やリハビリを行える施設もあります。
中途障害の困難を乗り越え、職場復帰するためには?
このような辛い障害に突然遭遇し、それまで描いていた人生を諦めなくてはならなくなったケースがあります。そんな困難を乗り越えるためには、どのようにしていけばよいのでしょうか。
①復職:発症前に勤めていた職場に戻り、配置転換や業務変更をしてもらう
まずは復職の方法です。障害を持ってからも元の職場に戻って仕事をしたい、と言う場合は以下の流れになります。
【障害を発症後、復職までの主な流れ】
1:病床中、本人や家族から復職の意思を確認する
2:主治医に復職可否に関する診断書を書いてもらう
3:復職の許可が下りた場合、企業の産業医などの検診を受ける。
4:試験的な就業措置など実施の上、復職する
5:復職後の困難に感じるところなどの事後措置を検討していく
と言う流れになっています。この際に復帰のためにリハビリを要する場合もあり、状況によっては、復職ができないと判断される場合もあります。
②再就職:自分の特性を踏まえて、障害者雇用に就職する
①で復職ができないと判断した(または判断された)場合、現状の自分で行える仕事を探すことになります。
この場合障害者としての手続きを行い、障害者雇用として応募できることはもちろん就労移行支援事業所などの福祉サービスを利用して、活躍できる仕事を探したり、それに伴うスキルを学んだりすることもできます。
中途障害を持ち、今後の働き方に迷ったらSaladにご相談ください
今回は、中途障害となり得る症状の種類を紹介したのち、職場復帰の方法についてお伝えしました。しかし、実際に中途障害を抱えていると「そんなにすぐ職場復帰なんて見えるわけがない!」と感じるかもしれません。精神的なダメージも大きなものではないでしょうか。
そのような中でも「生活していくために仕事をしなくてはならない、でもできないことばかりだしどうしよう…」と悩んでいることがあるかもしれません。
そのようなときはぜひ、Salad編集部までご相談ください。
Saladでは「カスタマイズ就業」という、障害を持っているからこそ活かせる働き方を応援しています。
「自分のできることが分からない」「何がしたいのか見えてこない」と言うときは、いちどSalad編集部までご連絡ください。
仕事・働き方に悩んでいたら。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
まとめ
いかがでしたでしょうか。
中途障害を持ったとき、「どうしてこんな病気になってしまったのだろう」「あの時気を付けていれば事故なんて起きなかった」と苦しんでいるかもしれません。
不便なくできてきた分、これから適応させていく作業にも苦労を要するかもしれません。しかし、全く輝ける場所がない、というわけではないのです。
少しずつでもいいです。障害と向き合いながら活かし方に意識を向けられるよう、一歩一歩踏み出していきましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。30歳になってから診断により、発達障害(ASD)であることを知る。筆者自身は比較的受け入れが早かったが、家族や周囲の方たちへの衝撃は大きかった。障害者だと分かったことで関係を切られた方もいる中、障害を持っているからこその新たな人間関係を作ってきた。