知的障害の方は就職できない?強みを活かす方法はあるか

知的障害とは

知的障害について知りたい男性
知的障害とは、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)に現れ、日常生活に支障が生じ何らかの援助を必要とする状態にある」に該当する方をいいます。知能指数(IQ)を基準に測定され、IQ70未満であることが判断基準の一つです。

知的障害には併発しやすい疾患がある

この知的障害ですが、症状の程度や年齢などにより状態がさまざま異なります。一般的には、幼少期までに脳になんらかの障害を受けたことで知的発達が遅れると考えられています。以下に挙げた疾患も脳の障害が原因で起こると考えられており、知的障害と併せて発症することがあります。

【知的障害と併発しやすい主な疾患】
・脳性麻痺
・てんかん
・発達障害
・抑うつ症候群
双極性障害
不安障害

関連記事:精神障害と発達障害の種類。2つの違いや共通点とはどんなこと?

知的障害の程度別の分類

次に知的障害の症状の分類ですが、これらは程度により「軽度」「中等度」「重度」「最重度」の4段階に分類されます。厚生労働省の基準が、IQの値と、適応能力の基準である「日常生活能力水準」の両方を考慮してあります。

参考:厚生労働省 障害者の範囲(参考資料)
参考:知的障害について | メディカルノート

知的障害を持つ原因はあるの?

知的障害の特性に悩む女性
知的障害が起こる原因は特定できないケースが多いです。現時点で解明されている原因は、以下のようになっています。

病理的要因・・先天性の疾患や、出産時の事故などが原因。
生理的要因・・病理的要因の疾患はないが、たまたま知能指数が低く、IQが知的障害とみなされる範囲に入っている。知的障害の大半の要因。
環境要因・・・発育環境が原因。乳幼児期の脳の発達過程において、養育者による虐待や育児放棄などにより脳の発達が遅れ、知的障害の原因となる場合がある。

知的障害は遺伝するの?

知的障害の遺伝について知りたい女性
上記のように知的障害の原因は様々で、明確な原因は解明されていません。まれに遺伝子や染色体の異変などにより知的障害が起きることもありますが、その全てが遺伝的要因が原因ではありませんし、親が知的障害だからといって、子どもも知的障害を持つとは限りません。遺伝に関しては、下記の関連記事も併せてチェックしてみてください。

関連記事:身内に知的障害者がいると子供に遺伝するの?症状や原因から解説

知的障害を持つ方に向いている仕事内容や職場環境とは?

障害者の働き方について調べてみる男性それでは知的障害を持つ方はどのような仕事に就くと良いのでしょうか。これは症状の程度や現れ方、体力などに個人差があるため、適している職種は一概には限定できません。

知的障害を持つ方の仕事選びの基準として重要な点は、働くモチベーションを維持し続けることができる仕事・環境であるということです。そのためには好きな仕事であると同時に、「仕事内容や職場環境が自分のスキルや状態に無理のないもの」という点が大切な要素となります。加えて知的障害を持つ方の中には、急な内容変更や複雑な手順などが苦手な方もいます。このため知的障害を持つほとんどの人は、「手順が決まっている作業が得意な作業である」場合が多いようです。

知的障害を持つ方の就職・仕事を探す方法

知的障害を持つ方の仕事探しは、以下の3つのような支援制度や機関を活用することができます。仕事探しの準備として、まず自分の特性や体調に合った働き方を再認識しておきましょう。そのうえで以下の3通りの就労形態の中で、自分に合っていると考えられる形態へトライしてみましょう。就労形態は大きく分けて3種類あります。

①企業等での一般就労【一般枠】

障害を持たない方と同様の条件で働きます。障害者雇用枠や障害を持つ方が働きやすい環境が整っている特例子会社に比べると、職種や待遇等の選択肢が多く、昇進や昇給の機会にも恵まれている傾向があると言えます。しかし一方で、障害を持つことを予め伝えない(クローズ)状態での就労となるため、体調や得意・不得意への配慮についても、それほど充実しているとは言えない場面もあります。

②企業等での一般就労【障害者雇用枠】

療育手帳を持つ方が応募することができる雇用枠です。障害特性を理解した上で雇用されるため、体調や特性による相談がしやすく、配慮を得やすい傾向があります。業務内容も、障害に配慮した内容になっていて適応しやすいでしょう。ただしその分、応募のある職種が限られていたり、一般就労と比べると給料が低くなる場合があります。

③福祉的就労

障害者総合支援法が定める就労支援サービスの一つです。一般企業や社会福祉法人などが運営する「就労継続支援事業所」で働きます。就労継続支援事業所にはA型とB型があり、A型は事業所と雇用関係を結んで働く一方、B型では体力面などの理由から、雇用契約を結ばずに働きます。

参考:障害者の就労支援について – 厚生労働省

関連記事:就労継続支援とは。A型・B型事業所との違い、利用のメリットを紹介

知的障害を持つ方が利用できる支援

働き始めて支援を受けることができている知的障害を持つ女性
就職後ですが、職場や仕事内容に慣れることが課題となってきます。そのような場合に、以下のような支援が利用可能です。

職場適応援助者(ジョブコーチ)

ジョブコーチは、利用者と就労先企業の双方の同意がある場合に職場に派遣されます。支援機関から職場に派遣され、障害のある人が就職後に円滑に仕事をしていくための直接支援を行う専門家です。障害のある人やその家族の相談に乗ったり、上司や同僚に助言・提案を行うことで職場環境を整えます。ジョブコーチの利用は無料です。

障害者就業・生活支援センター

求職活動だけでなく、就職後の職場定着の支援も行っています。専門的な知識を持つ職員が対応するため、就職後の困りごとを相談することができます。

就労移行支援

就職活動のサポートだけでなく、就職後6か月の間利用者が職場に支障なく定着できるための支援も行っています。就職後に仕事内容や人間関係などについて不安が出てきた際、就労移行支援事業所の定着支援担当者が利用者と企業の間に入って業務環境を調整します。特に入社直後は、支援担当者が知的障害のある人をしっかりサポートすることで、課題に早期に対処することができ、定着率が高まるメリットがあります。

参考:就労移行支援事業

関連記事:就労移行支援事業所 利用のメリット 〜こんなお悩みの方に知って欲しい〜

知的障害を持つ方でも就職できるが、働き方は限定される

働くことについて相談を受ける、知的障害を持つ男性
ここまでで紹介しているように、知的障害を持つ方でも仕事ができるチャンスはあります。ただし、障害の程度によっては仕事はかなり限定的になってしまう現状があります。
上記のような支援体制も一般化してきていますし、働く手段も多様化しています。

カスタマイズ就業という方法もある

最近では、できることに集中し、弱みとなる部分を工夫してもらえるカスタマイズ就業という取り組みも増えてきています。
まだまだ導入している企業は少ないことが現状ですが、saladではカスタマイズ就業を導入する企業や支援者を増やしていけるように活動を続けていきます。

関連記事:ADHDの適職は?カスタマイズ就業で、向いてる仕事を見つけよう

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まとめ

働くことや障害を活かすことについてアドバイスする女性
知的障害を持つ方の就労には、なにがしかの制約があるのは現実です。しかし、自身の持てる力を最大限に発揮し、社会参加し、他者と関わりあいながら充実した生活を実現する為の道があります。前述のような支援を利用し、自身の特性に合った仕事に巡り合い、その仕事を継続できるよう心掛けていきましょう。

(本記事は、KEIPE甲府のメンバーさんが執筆致しました)

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