ASD・アスペルガーの人は受け身が多い?隠れASDの特徴とは

ASD・アスペルガーとは

ASD・アスペルガー症候群(自閉症スペクトラム)は、知的障害や学習障害のない自閉症と呼ばれています。自閉症と似ている症状として、「対人関係が苦手」「コミュニケーションが上手くいかない」などがあります。

コミュニケーションの特徴が分かれる

ASDの方に対しては、どのようなイメージがありますか?

以前はアスペルガーと呼ばれたりもしていましたが、空気が読めない発言が多いなど、積極的なコミュニケーションが多いなかでも空回りしてしまう、、そんな印象を持つ方もいるのではないでしょうか。

ただ、コミュニケーションの傾向も個人差があり、また特徴も分かれます。それではASD・アスペルガー症候群の方のコミュニケーションの特徴にはどういったものがあるのでしょうか?

積極型

積極的にコミュニケーションをとるタイプは、アスペルガーの方の中で最も多いとされています。

積極的にコミュニケーションをとろうとしますが、他人との距離感をうまくつかめず、積極的になりすぎてしまうのが特徴です。

初対面でも馴れ馴れしい態度をとり、親しい人の間でしか話さないような個人的な事柄も平気で話します。空気を読むのも苦手で、その場に関係ないことを話し続けてしまうこともあります。

自己主張が激しく、相手のことは気にしません。流ちょうに話しますが、話の内容が一方的なので「空気の読めないおかしな人だ」と思われることがあります。

受動型

人との関わりを拒否することはないものの、自発的には関わらず受け身なタイプです。

他者の誘いに従順なので、周りに流されてしまうことが多く、嫌なことがあっても「嫌だ」と自己主張することが苦手です。

周囲の人に色々と押し付けられても全て受け入れてしまい、ストレスとなってしまうことがあります。小さい頃は手がかからず、素直で育てやすいとされますが、主体性がないため、悪いことでも人から命令されると従ってしまうこともあります。

孤立型

社会にかかわろうとせず、孤独を好むタイプです。

周囲のことに興味がなく、コミュニケーションをとるのが難しいとされています。一人でいることが多く、自分の中の理想やこだわりを貫きます。アスペルガーの中でもIQが高く、天才肌が多いのがこのタイプです。また、小さい時に孤立型の特徴があっても、成長すると変わることもあります。

受け身な人は受動型かも

ASDの方の中でも、積極的なタイプの方ばかりではありません。受け身な傾向が強く、自己主張が極度に苦手な方は受動型ASDかもしれません。空気を読む、読めない、ということはあまり関係ないのです。

空気を読まない人だけが、アスペルガーではない

人との距離が近すぎて、場の空気の読めない積極型のアスペルガーの方が多いのは事実ですが、アスペルガーの種類はそれだけではありません。

先ほど説明した通り、一見問題なさそうにみえても、周囲に流されやすく、主体性がないという特徴をもつアスペルガーの人もいます。そんな人は受動型のアスペルガーかもしれません。

孤立型や、受動型、積極型と明確に区分できないケースもあります。得意な環境や苦手な環境など、自分がどういう状況に置かれるかで、発現する特性に異なる傾向が生まれることもあります。わかりやすく言うと、苦手な環境では受動型になり、得意な環境では積極型になる、という方もいます。苦手な環境(例えば職場)だと、空気を読もうとしすぎて発言しなくなるタイプの方もいるということです。

受け身なASD・アスペルガーの方とどう付き合う?

それでは、受動型のASDの方とは、どのように付き合っていけばいいのでしょうか。

個別の特性を理解していくことが大切

受け身なASD・アスペルガーの特徴として
・積極的に人と関わらないが、誘われれば従う
・自分で物事を決められず、相手任せ
・話しかけられても、ぼーっとしていて反応が薄い
・周囲に流されやすく、なんでも受け入れてしまう

などがあります。

素直で従順な受動型のアスペルガーは、周りに色々と押し付けられても、全て受け入れてしまいます。また「あれ」「あそこ」をいった指示語を理解できないため、短い返事しかなかったり反応が薄かったりします。見聞きしたことを何でも受け入れ、真に受けてしまうため冗談が通じません。

周囲の人は、そんな受動型のアスペルガーの方の特性を理解することが大切です。従順だからと、物事を押し付けすぎたりしないようにしましょう。自分で決定するのが苦手なので、決め事があるときは周囲が順序だてることでスムーズにいくことがあります。

受動型と積極型、孤立型が入り混じるケースも

コミュニケーション能力が低く、人間関係を築くことが苦手というアスペルガーの特徴は共通するものの、受動型・積極型・孤立型という三種類が入り混じるケースもあります。

「受け身だから受動型だ」と安易に判断しようとせず、個人の特徴をよく捉えるようにしましょう。前述したように、環境によって積極型や孤立型など発現する特性が異なり、いろんなタイプを併せ持っているかも知れません。

苦手な環境に追い込まないように注意

受動型のアスペルガーの方は、基本的に受け身なので自分で物事を決めるのが苦手です。

そのため、自己判断が強いられるような環境に追い込まないよう注意が必要です。また「あれ」「あそこ」といった指示語や、「適当に終わらせて」「無理せず仕事して」など曖昧な表現は理解できません。そのため何かを説明するときは「何が、どこに、どのように、いつまでに」などの情報を具体的に伝えるよう工夫しましょう。

隠れASDとは

隠れASDとは、ASDを自覚しておらずASDの特性を持つ個人を主に指します。この場合は、自己認知に至っていないため、自分の特性を自覚していません。そのため、自分の行うことはいつも正しいと考えてしまう傾向があります。

また、自分がASDであることを自覚していて、事情がありASDの特性をオープンにしていない方を指す場合もあります。この場合は、自分がASDであることを理解しているため、特性上苦手なことや他者と異なる点を理解した振る舞いができることが特徴です。

自覚していない人は、問題を起こしてしまうことが多い

小さいころに正しく診断されないまま大人になってしまい、問題行動を起こしてしまうというケースもあります。

積極的になりすぎてしまい、周りから「おかしな人だ」と思われてしまったり、受動的で他人から悪いことを命令されても従ってしまったり。周囲とコミュニケーションをとろうとせず孤立してしまい、仕事がうまく進まないということもあります。しかし、ASDという自覚をもつことで、自分なりに改善策を模索したり、周囲に配慮してもらうことができます。

ただ、ASDは知的障害がないため周りも気づきにくく、自分でも自覚がないまま成長し、社会にでてから問題が生じてしまうといったことが少なくありません。

自己認知を促すためには

隠れASDの方の中でも、自己認知ができていない方は、周囲も困ってしまいますが、当事者本人も自分の生きづらさの本質が見えず苦しみ続けてしまいます。

原因を見つけることが解決策の一つとなり得ますが、根本的な原因を掴めたとしても、それを完治することを目指さないことも大切です。

なぜならば、ASDは発達障害の一種で「神経発達のズレ」により発現した特性の一部であるためです。精神障害(鬱など)とは異なり、病気ではなく神経発達における違い(少数派の発達)ということを理解し、「本人の強みを活かすヒントを得るため」という前向きなスタンスで自己認知を促すことが肝要です。

相手を貶めるための自己認知であれば、不要です。

困っていると率直に伝える

具体的にどのような伝達方法が効果的であるかというと、具体的に困っていることを率直に伝えた方がいいです。

コミュニケーション上の課題が際立つ方なのであれば、困っていると感じたことの「5W1H」をわかりやすく伝えましょう。後日ではなく、当日伝えた方がいいです。

5W1Hとは、「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ」の5W(When,Where,Who,What,Why)と「どうやって」のH(How)です。あなたが、それぞれどのようなシチュエーションで困っていて、それが客観的に同意を得られる内容なのかどうか、振り返ってみてください。
※あなたが主観的に困っていることでも、客観的に同意が得られにくい内容なのであれば、あなたに課題があるかもしれません。冷静に判断しましょう。

助けを求められたら関わるというスタンスで

客観的に判断しても相手に課題がある場合、また自己認知を促しても改善が期待できないときは、距離を置きましょう。

仕事上どうしてもかかわらなければならないときは、最低限のコミュニケーションにとどめ、なるべく接点を持たないようにした方が、あなたの生産性を落とさずにすみます。

ただ、相手に悪気がない場合が多いので、悪意を持って接することは控えてください。ASDの方は悪気があって迷惑をかけようとしているわけではないのです。助けを求められたら相手を助けるという姿勢を持って接することができるように、コミュニケーションを完全に断つことは踏みとどまってください。

ASDの特徴は様々

アスペルガーにもいろいろな種類があり、受け身な人といっても、環境によって積極的にもなりますし、孤立してしまう人もいます。

個別の特性を理解し、お互いに活かし合える関係性を築いていきましょう。