障害者雇用での就職・転職を考えたとき、どのような就活の仕方を思い浮かべますか?
ハローワークや求人サイトなどで障害者求人を探し、自ら応募する方法。障害者専門の就職・転職エージェントを使い、自分に合った求人を紹介してもらう方法などがあります。
障害者雇用で就活をする方法はさまざまだと思いますが、ここでは筆者の体験に基づき、就職・転職エージェントを使うメリット&デメリットについてご紹介します。
障害者専門の就活・転職エージェントとは?
身体障害者・精神障害者など障害を持つ人に向けて、本人の希望や障害の特性にマッチした求人の紹介、就活サポートなどをしてもらえます。企業との主なやり取りはエージェントを通して行われ、障害者雇用で働きたい人と、障害者を雇用したい企業との仲介役となってくれます。
数多くの障害者専門のエージェントがあり、できれば2、3社登録して自分に合った求人に応募するのがおススメです。筆者も3つのエージェントに登録し、いろいろな求人を紹介してもらった中からより自分の希望に合った求人に応募しました。
就職・転職エージェント以外の就活方法は?
ハローワーク
誰もが知るハローワークには、障害者が就職する為の専門窓口が設けられています。予約しなくても登録すればいつでも利用することが可能です。
障害者専門窓口で支援員に自分の障害について相談しながら求人を探し、気になる求人があれば紹介状を受け取り企業に応募することができます。職業興味検査を受けることができたり、就活に役立つ各種セミナーも定期的に行われています。
求人広告
求人サイトなどに載っている求人広告から応募する方法です。障害者専門の求人サイトに登録し、インターネット上などで応募することができます。最近ではポストに入っている求人広告のチラシにも障害者雇用の求人があったりするので、注意して見てみるといいと思います。
自己応募
企業が自ら作った採用専門サイトから、直接応募する方法です。「この会社で働きたい!」と思う企業があれば、障害者雇用の募集がないか検索してみてみましょう。自己応募は応募した企業に働きたい意思が伝わりやすく、他の方法より自分をアピールしやすくなります。
他にも就労移行事業支援事業所でスキルを学びながら、自分に合った求人を探していくなど障害者の就活の方法はさまざまです。
それでは本題の障害者雇用専門の就職・転職エージェントを使うメリット&デメリットについてそれぞれ紹介していきたいと思います。
就職・転職エージェントを使う5つのメリット
求人サイトには載っていない非公開求人に応募することができる
就職・転職エージェントを利用すると、ハローワークや求人サイトでは見つからなかったような求人を紹介してもらえます。勤務地や給与、仕事内容などより自分の希望に合った求人に応募するためにも、選択肢はより多くあった方がいいように感じます。
大手企業の求人を紹介してもらえる
普通雇用なら正直就職することが難しいような大手企業の求人も、障害者雇用専門の就職・転職エージェントでは多く扱っています。これには筆者も非常に驚きました。誰もが知っているような企業や、実績や歴史のある大手企業は福利厚生などもしっかりしていることが多く、安心して働くことができるのではないでしょうか。
障害者雇用をきっかけに、大手企業への就職にチャレンジすることが可能です。
求人の詳細や応募先の企業の雰囲気などを教えてもらえる
ハローワークや求人サイトには、ざっくりとした企業情報や仕事内容は載っていても、自分が知りたいことや詳しいことが全て載っているとは限りません。
就職・転職エージェントを使うと、エージェントの方から紹介された企業の詳細や仕事内容、時には職場の雰囲気などまで教えてもらうことができます。自分が面接を受ける企業についてはより詳しく知っておきたいもの。
どんなことをやっている会社なのか、給与や福利厚生、自分の障害を理解してもらえるのかなど気になることはたくさんでてきます。
応募したい求人の仕事内容をみて、「これは難しいかもしれない」「こんなことが苦手だが大丈夫か」などの不安要素があれば、エージェントを通して応募先の企業に聞いてもらうこともできます。
もちろん面接で直接聞くこともできますがあらかじめどんな企業か知っておくことで、就職した際、「思っていたのと違った!」というミスマッチを防ぐことができます。
履歴書作成や面接対策などのサポートをしてくれる
履歴書作成や職務経歴書の作成、面接対策などの就活サポートを行ってくれます。
履歴書や職務履歴書のフォーマットも用意されていて、自分では意外と気づかない誤字・脱字も指摘してくれます。自己PRや志望動機などもヒアリングを通して一緒に考えてもうことが可能です。自分の苦手なこと・得意なことをヒアリングしてもらうことで、改めて自分の障害と向き合うことができ、面接対策を行うことで自分の得意・不得意などを整理することができます。
筆者も、履歴書や職務履歴書に誤字があったり、自己PRになんて書けばよいかわからなかったのですが、どこの企業にも提出できる履歴書を作成することができました。面接対策では、正しい入室・退出の仕方から、よく聞かれる質問や受け答えのアドバイスなどを教えてもらうことができ、久しぶりの面接でも落ち着いて臨むことができました。
エージェントの人が面接に同行してくれる
一人では不安な面接も、エージェントの人が一緒に同行してくれます。特に就職活動が久しぶりだったりすると、緊張も強まりますが、同行してくれる人がいるとやはり心強いです。
もちろん面接を受けるのは自分なので、しっかりとした受け答えは必要ですが、「この質問はしづらいな」という質問があれば代わりに面接官に聞いてもらうようお願いすることもできます。また面接が終わった後も手ごたえがあったかなど意見をもらえます。面接場所までは同行してもらい、一人で面接に臨むということも可能です。
就職・転職エージェントを使う際の4つのデメリット
地方での就職に弱い
まず、障害者専門の就職・転職エージェントの事務所の拠点が東京・大阪中心になります。
エージェントの説明会に行くのも面談をするのも大都市圏のみになります。筆者も都内のエージェントに登録しましたが、紹介される求人は都内のものばかり。遠くはないものの都内在住ではないので、通勤の負担は覚悟しなくてはいけないなという感じでした。
紹介される職種の幅が狭い
個人の経験によっても変わってくるのかもしれませんが、紹介される求人のほとんどが一般事務や事務補助業務などのいわゆる「事務職」になります。事務職以外の職種に興味がある場合、紹介される求人数は少なくなります。
登録しても連絡がないことがある
せっかくエージェントに登録しても、連絡がないことがあります。
これは登録したエージェントによっても変わってきますが、筆者もあるエージェントに登録して面談もしたのにその後連絡はなく、求人も紹介してもらえなかったことがあります。もっともその時は「事務職以外の職種を希望する」と面談で伝えてしまったのですが…。紹介できそうな求人がない場合、連絡はないということでしょう。
希望と違う求人を紹介されることがある
就職・転職エージェントは無料で利用することができます。ではどうやって利益を生み出しているのでしょうか?それは企業側から受け取る「紹介料」です。
企業にあう人材を紹介し、面接を経て無事マッチングすれば、その成果報酬として紹介料を受け取れます。つまりエージェントに登録した人たちが企業に採用されればそれがエージェント側の利益につながるわけです。
なので、場合によっては自分の希望に合わない求人をおすすめされることがあります。いわゆる営業をかけてくるということですね。
また「この求人は自分には合わないと思う」と正直に言ったり、採用を蹴ったりした場合、求人を紹介されにくくなることがあるので注意が必要です。
デメリットの解決方法は?
大都市圏への引っ越しや在宅ワークなども視野に入れる
地方に住んでいて、障害者雇用で働きたいと思っている方は、思い切って大都市圏への引っ越しを視野に入れるか、ハローワークなどで地域に密着した求人を探すのも手です。
まだまだ求人数は少ないですが、最近では障害を考慮して在宅で働くことができる在宅ワークの求人も出てきています。在宅ワークは通勤や人間関係が負担になっていた人にも魅力的な働き方かもしれません。興味がある人は在宅ワークの求人も探してみましょう。
地方出身かつ地元で就活したいと考えている人はエージェントを使う以外の就活方法も考えなくてはいけませんね。
事務職以外の職種も扱っているエージェントを探す
接客業や専門職など事務職以外の職種(接客業・Wedデザインなどの専門職・福祉系など)を希望する場合は、障害者専門の求人サイトやハローワークなどに足を運んで求人を探してみるのも良いと思います。
求人サイトやハローワークは事務職以外の障害者雇用求人も比較的見つかりやすい印象でした。また、事務職以外の求人も取り扱っているエージェントを探してみましょう。筆者も障害者雇用で接客の仕事をしたことがありますが、エージェントのサイトの求人ページでみつけて応募しました。
中には事務職以外の求人も扱っているエージェントがあるので探してみましょう。
自分からエージェントに連絡して求人を紹介してもらう
エージェントに登録しても連絡が来なくなることがあります。
せっかく登録したはずなのに連絡が来ないともどかしい気持ちになりますよね。エージェントに登録している障害者の人はたくさんいるはずです。中にはハイスペックな人もいるかもしれません…。そんな中で自分に良い求人を積極的に紹介してくれるとは限りません。「連絡が来ないな」と不安や焦りを感じたら、自分からエージェントに希望する求人が出ていないか連絡してみましょう。
またエージェントのサイトの求人ページをこまめにチェックすると、新しい求人が見つかったりします。気になる求人を見つけたら応募したい旨をエージェントに伝えてみましょう。就職に前向きな人ほど、エージェントの人に力になってもらいやすいです。
少し勇気はいりますが、連絡がないからとあきらめないで自分から積極的に動いてみましょう。
複数のエージェントに登録する
企業側からの「紹介料」を受け取ることで利益につながるエージェントは、自分の希望とは合わない求人も強めにおすすめしてくることがあります。
しかも紹介された求人を断ったり、とりあえず面接を受けてみて採用されたけど「希望する仕事内容と違うな」「この職場の雰囲気は合わないな」と感じ採用を蹴った場合、求人を紹介されにくくなることも。中にはそういうことをしてくるハズレのエージェントもあります。
本来、障害者の特性や希望する仕事内容などを考慮し、エージェントの人と二人三脚で就活を行うはずですが、残念ながらすべてのエージェントがそうとは限りません。アタリのエージェントを見つける為にも、複数のエージェントに登録することがおススメです。
参考:転職エージェントの使い方は?上手に活用して転職を成功させる方法|求人・転職エージェントはマイナビエージェント
仕事・働き方に悩んでいたら。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
まとめ
いかがでしたでしょうか。
障害者専門の就職・転職エージェントを使うメリット&デメリットとその解決方法をご紹介しました。特に、就活に不慣れだったり、初めて障害者雇用での転職を考える人は、エージェントを使うことで就活サポートを受けることができ、スムーズに就職することが可能です。
ただ大都市圏の求人が中心であることや、希望に合わない求人を紹介されたりなどのデメリットも頭に入れておく必要があります。
エージェントを使うのであれば、より自分の就活に親身になってくれるところを探し、自分のやりたい仕事のことや障害のことなどを相談しましょう。筆者も3つのエージェントに登録しましたが、正直アタリハズレはありました。
できる限り積極的に行動することが、希望する就職先で働くことにつながりますよ。
【筆者紹介】
Salad編集部員。20代女性。社会不安障害の診断を受ける。障害者専門の就活・転職エージェントで就活した経験あり。複数のエージェントから良いエージェントを探し、自分の希望する就職先に転職することに成功した。
就職は、ゴールではなくスタート。スタート後にうまく活躍するために、できること
エージェントを通して就職できたとしても、就職はゴールではなくスタートです。就職後の仕事のなかでは毎日が学びの連続です。挫折を経験することも多いことでしょう。ぜひ、自分が仕事をしやすい空間は、自分の手で作るのだという意識をもって取り組んでみましょう。
そのためにできることの一つとして、カスタマイズ就業というやり方があります。詳しくは動画をご覧ください!
【カスタマイズ就業について】ダイジェスト版(1分30秒)
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