ADHDの特性は「物忘れがひどい」ケースになりやすい
特性上、一度にたくさんの物事に触れやすい。
ADHD(注意欠如・多動性障害)を持つ方には、「注意のコントロールが苦手」、「一つの場所にじっとしていられない」「衝動的に動いてしまう」という特徴を持つことが多いです。さらに中には短期記憶が苦手な方もいます。これらの理由から「物忘れが激しい」ことで苦しんでいる方が多いのではないでしょうか。
今お伝えした特徴から、「業務に一点集中できず、あれこれと手を付けてしまう」ことにつながりやすいです。結果管理が難しくなり、「覚えられないことが増えていく」ことが「物忘れ」を招いてしまいます。
参考:注意欠陥・多動性障害(ADHD) | 医療法人東横会 心療内科 精神科 たわらクリニック
参考:忘れもの、忘れごとが多い:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト
関連記事:ADHDとは。原因は脳内物質の働きにあった!?改善策も!
関連記事:【ADHD】『多動性』とはなに?特徴や行動例、活かし方のヒントを紹介
仕事で物忘れがひどいと業務に支障をきたす
仮に短期記憶が強い方でも、「覚えることが多い」ことで忘れてしまうリスクは増えます。ADHDを持つ方は、この状況を作りやすいことで問題を大きくしがちです。覚えきることができなくなり物忘れをしてしまうことで、
〇ミスが増える
〇仕事を覚えられない
〇時間やスケジュールの管理ができない
など、さまざまな支障をきたします。
「分かってはいるけど、どうしたらよいか分からない・・」
とお困りの方のために、今回は
〇物忘れをしてしまう原因
〇物忘れを減らす対策
をお伝えします。
【ADHD】物忘れがひどい原因
1)作業中に別の作業を始める、を繰り返す
ADHDの特徴で、興味が移動しやすい「多動性」、同じ作業を集中できない「注意力の欠如」などがあります。これらの特徴が関係し、たくさんの業務に関心を持ちやすくなります。厳密にいうと、「今の業務は置いておいて、新しく目についた業務に移る」を繰り返してしまいます。結果的に、業務の効率が下がってしまいます。
2)作業の進捗状況を把握しない
「今の業務を置いておいて」しまうため、次の業務に移った時には注意・関心も完全に移ってしまいます。したがって、「置いておいた業務」に関しての状況把握などをしないことが多いです。
3)結果、「覚えておくこと」が増え、物忘れをしてしまう
このように、
〇一度に複数の業務に触れようとする
→別の業務に興味がわきやすい
〇作業が終わる前に別の業務に移る
→覚えることが増える
〇作業の進捗状況を把握しない
→物忘れにつながる
という悪循環を作ってしまっているのです。
このような悪循環を断ち切り、物忘れを改善するにはどのようにすればよいのでしょうか。
【ADHD】仕事で物忘れがひどい場合の対策
1)作業は順番を決めて、その通りに行う。
作業の順番を決めて行っていきましょう。ひとりで行うのが不安な場合は、上司に相談して
〇業務は一つずつ指示をしてもらう
〇作業順序を決めてもらう
などをお願いしましょう。
2)業務の開始と完了だけでなく、途中の状態も記録する
業務のスタートとゴールを報告する方は多いです。しかし、途中経過を報告したり、意識したりする方は少ないのではないでしょうか。「万が一別の業務に移っても、戻ってきたときにすぐに始められる」工夫をしましょう。そのためには、業務開始と完了だけではなく、途中経過も記録することが大切です。
【途中経過の記録例】
〇書類のチェックをしていたが、メールを受信したので確認したい。→書類のチェックしたところに「ここまでチェック済」と書いた付せんを貼る。
※事前に付せんに「ここまでチェック済」を書き溜めておくと、その場ですぐに貼れます。
〇エクセルやワードのファイルは自動保存にしておくか、別の業務に移るときに保存しておく。など
3)必要のない限り、途中段階で別の作業をしない。
必要のない限り、途中段階で別の作業をしないようにしましょう。特に「途中」になりやすい、時間や労力のかかる作業どうしを一度に行うことは危険です。より細部を忘れてしまいやすくなります。できる限り、時間のかかるメインの業務を軸に、細かな雑務を行う程度にとどめましょう。
4)定期的に行った業務を振り返り、記録する
毎日業務が終わった時など、どんな業務をしてどれくらい進んだかを記録しておきましょう。「日誌系統の記録とか、続かなくて・・・」という方は「明日の自分への引継ぎメモ」を作ってデスクにおいておくのがコツです。
【明日の自分への引継ぎメモ】
・書類はあと3人分チェックが残っている。
・データ入力は今日はやっていない。
・〇〇さんから10時に手伝いを頼まれている。
などをメモ書きにして置いておくだけでも効果的です。
デスクワークの場合、自分のパソコンのモニター周りに付せんをたくさん貼っているのを見かけたことはありますか?あれも大切な「自分への引継ぎ」なのです。
集中力の維持のため、医師に従って服薬を続けよう
今回、「覚える物事を増やし過ぎない」方法をお伝えしました。しかし、それだけではADHDの特徴からなる困難は完全には防げません。あくまでも基本は、医師から処方された薬をしっかりと飲み続けることです。服薬をすることで、これらの対策を行える集中力を維持することができます。医師の指示に従って、服薬を続けていくことも立派な対処法です。
関連記事:【医師に要相談】発達障害を持つ方にかかわる、服薬の効果と注意点
ADHDを持つ方へ。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
さて、今回はADHDを持つ方の弱みになりやすい部分について解説してきました。しかしながら、弱みをカバーするだけでは自分らしく働くことにつながりにくいですよね。やはり自分の強みを知り、それを活かすことで活躍できるチャンスも広がります。もっと自分の良さを活かしたい。そう考えていたら、その気持ちをぜひこのサイト『Salad(サラダ)』にも教えてください。
Saladでは、障害や難病を抱えている方が自分らしく働けるための様々なサポートをしております。その内容についてこれから説明していきますね。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
物忘れがひどいと言われて、「自分は頭が悪いのでは」と悩んでいませんか?しかし実際に他の方と比べて、覚える力が極端にないという方は少ないです。
ADHDを持つ方は、「覚えなくてはならないことを抱え込みすぎる」のです。そうなれば当然こぼれる記憶が増え、忘れる可能性も高くなります。この対策を実践すれば、「覚えておかないといけない」プレッシャーが軽くなります。ですから決して「自分は頭が悪い」と自分を責めないでくださいね。