アスペルガーは、「人の気持ちが分からない」と言われる
他人に対しての共感性が低いケースがある
ASD(自閉症スペクトラム)は発達障害の一種で、かつて「アスペルガー(症候群)」「自閉症」などとも呼ばれていた障害を統合した名称です。
こだわりが強く、相手の表情や語気など「言葉でないコミュニケーションをとることが苦手」なところがあります。
そのため、
・人の気持ちが分からない
・空気が読めない
このような解釈をされてしまうケースがあります。
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人の気持ちを知る力をつける方法に、『アクティブリスニング』がある
アクティブリスニングとは
「アクティブリスニング(Active Listening)」とは、相手の言葉を自ら進んで聴きに行く(=傾聴する)コミュニケーション技法です。「積極的傾聴」とも呼ばれ、相手の話をただ情報として聞くだけではなく、自らも相手の心情や言葉の真実について考えながら聞いていく方法です。
アクティブリスニングを身につけることで、アスペルガーの弱みを改善できる可能性がある
アスペルガーを持つ方がこのアクティブリスニングを身につけることで、「相手の気持ちが分からない」弱みを改善できる可能性があります。
次は、アスペルガーを持つ方が「アクティブリスニングを身につけることで改善できること」は具体的にどんなところなのか紹介していきましょう。
【アスペルガー】アクティブリスニングで改善できる特性
必要な情報をうまく聞き出すことで、空気が読めない弱みをカバーできる
相手の心情を知る方法として表情などで判断することが苦手であれば、相手に聞いて確認する以外ありません。しかしコミュニケーションに自信がないと聞くことをためらったり、ぶっきらぼうな聞き方をして相手を怒らせてしまったりするケースがあるでしょう。
アクティブリスニングは、相手の話をうまく「引き出す」スキルを向上します。「見る・感じ取る」ことができない分、相手に話させることでこれをカバーできるかもしれないのです。
上司からの指示など、目的や理由を意識するようになる
上司からの指示やアドバイスなどを受け身状態で聞いていると、話の意図や本来の目的が分からないケースが出てきます。言葉の額面通りに受け止めてしまうのは、このような受け身姿勢でコミュニケーションをとっていることが原因であるケースがあるのです。
アクティブリスニングは、常に相手がどんなことを言いたいのか負担のかからないように聞き出していきます。
上司の指示の意味などがわからないとき、相手に不満を持たれないようにその意味を確認することができるようになるかもしれません。よって指示とは異なる行動をしてしまうことも少なくなるでしょう。
感情表現で誤解を招くケースが少なくなる
アスペルガーを持つ方は、感情表現が苦手です。そのため、相手の感情にも疎い傾向があります。そのため、コミュニケーションにおいて「ワンテンポ遅れる」ケースがあるのです。他者よりも反応が遅れてしまうことで、気持ちを逆なでしてしまうことや怒らせてしまうケースも出てくるでしょう。
アクティブリスニングは、少しずつ相手の話を引き出しながら相手の心情を想像していく方法です。したがって、アスペルガーを持つ方にとってアクティブリスニングは「ゆっくりと相手の心情を想像していくトレーニング」になる可能性があるのです。
アクティブリスニングを身につけるポイントは?
①相手になり切って考えてみる
よく周囲から「人の立場に立って考えなさい」「相手のことを考えて行動しなさい」と言われてきたかもしれません。しかし、何をもって「相手の立場に立つ」ことになるのか、具体的に教えてくれる人がいないことで困っていませんか?
相手の立場に立つ第一歩は「相手になり切る」ということです。相手が女性であれば女性に、子供であれば子供になり切って考えてみてください。あなたが男性であっても、成人であっても異なる立場の人物に対してできる限り近づけて考えてみて下さい。
「この鉄棒に自分なら手が届くけれど、背の小さい子供だったら届かないだろうな」
このような「相手に近づいていく」イメージを様々な人に向けて考えていきましょう。このとき、相手がどのような人物であるかと言う事実よりも「自分に近づいてくれている」と感じさせることが大切なのです。
②なり切ったうえで想像した感情を言葉にしてみる
①で、相手と同じ感覚を想像しています。この時に感じるであろう言葉や表現を相手にも伝えてみましょう。
上の子供の例でいえば、「自分も目いっぱい鉄棒に手を伸ばしているのに、届かなくて悔しかったよ」と言う形です。自分自身はもう問題なく鉄棒に手が届くわけですが、「今現在手が届かない子供の感覚」をイメージして伝えたわけです。
こうして相手にも「同じ感覚でいるよ」と伝えることで、安心感を与えることができるようになります。
③自ら結論を出そうとはせず、相手に結論に導かせる
アスペルガーの特徴として、見通しが立たない『曖昧な状態』が苦手という面があります。そのため先が見えない会話に対して、早く答えを出して安心しようとする傾向があるのです。
その結論がどんなに相手の問題に関して適切な回答であったとしても、「冷たくされた」「無視された」「見捨てられた」と感じさせるおそれがあります。
例えば小説のストーリーを知らず、これから読もうとしている人に、先に結末を教えたらどうなりますか?「先に言ったら面白くないでしょ!」と怒られてしまうでしょう。これと同じように、ゴールだけ教えても解決することは少ないのです。
「人の気持ちを知る」ことも、このようにゴールにたどり着くまでの道のりを少しずつ伝えていきましょう。ゴールの言葉を言ったり感じたりするのは、あくまで相手だということを覚えておきましょう。
その他コミュニケーションについての問題についてはこちらもチェック!
その他アクティブリスニングに対して詳しく知りたい方はこちらの記事「アクティブリスニングとは?「人の話を聞かない」と言われる時効果的!」も併せてチェックしてみましょう。
また、聞き取り以外にもコミュニケーションにおいて悩みがあるというときは「【発達障害】脱食わず嫌い!人間関係の悩み解消へのカタカナ言葉3つ」も参考にしてみてください。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
職場では、アスペルガーの苦手な曖昧な言葉が溢れています。「もっと良く考えて行動しなさい」「人の話を聞きなさい」など、具体的に何を対象として言っていることなのか分からないことが多いのではないでしょうか。
「人の気持ちが分からない」も、この中の一つです。表情や雰囲気などで理解ができない分アクティブリスニングで正確に聞き取り、明確にしていきましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。相手の話を聞いて共感するのは得意だが、相手の事情も踏まえて自分の意見を言うことが苦手。