発達障害で意思表示の加減が分からず、苦手意識がある…
自己主張が強すぎると、「傲慢」「自分勝手」に見られてしまう
職場をはじめ、日常生活のあらゆる場面でコミュニケーションは重要です。会話のなかで、お互いの意思を交換し合って行っていきます。
その中で少しでも自己主張が強いと、相手が受ける感覚として『傲慢』『自分勝手』という印象を持たれてしまいます。
かといって、主張が弱すぎると相手に依存してしまう
しかし、かといって相手を不快にさせないよう主張を全くしないことも問題になってしまいます。
自分の意思を相手に伝えないと、
・相手に自分の意思を察してもらう・汲み取ってもらうケースが多くなる
・場合によっては相手の動向を見ながら対応する、「相手を試す」形になってしまい、不快にさせてしまうことがある
このような事態を招いてしまいかねません。
まさに「押しても駄目、引いても駄目」といった、意思表示の加減が分からずに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
意思表示に迷ったら、『アサーション』を試してみよう
明確な基準がないことで、障害を持つ方が悩むケースがある
特に発達障害をはじめとする「コミュニケーションに困難を感じやすい」障害を持つ方の場合、意思表示のバランスに困るケースが多いのではないでしょうか。極端な思考になりやすく、バランスをとることが難しいケースもあるでしょう。
一度自分の意見を言ったときにひどく言われたことで、「もう自分の意思は言わない!」と極端な決断に陥ってしまうケースも少なくありません。
このような「意思表示のバランス」に困っている場合は、『アサーション』が効果的です。突然アサーションと言われても「?」となっている方もいるかもしれません。以降アサーションについて詳しくお伝えしていきます。
『アサーション』とはどんなこと?
アサーションとは
「アサーション」とは、コミュニケーションの大きな2つの軸
・伝える力(発信する力)
・聞く力(受け取る力)
この2つのバランスを整え「自分も相手も大事に考え、主張をしつつも相手を傷つけないように心がける」コミュニケーション方法なのです。
アサーショントレーニングの仕組みとは
アサーショントレーニングでは、自己主張のタイプに3つの種類分けをしています。この3種類のタイプをもとにトレーニングが進んでいくのです。では、この3つのタイプの特徴を紹介していきましょう。
【アサーショントレーニング】自己主張の3つのタイプ
アグレッシブタイプ(攻撃タイプ)
アグレッシブタイプの主な特徴は、以下の通りです。
【アグレッシブタイプ(攻撃タイプ)の特徴】
・自己主張が強い。いわゆる「押しが強い」タイプ
・自分の意思を全うするためなら、悪いことと知っていても通すときがある
・常に勝ち負けで物事を考えている(相手より優位に立とうとする)
・人によっては衝動を抑えられない、幼い人とも見られやすい
このような特徴があります。良く映っていれば人情家で引っ張っていくタイプにもなりますが、反面「わがまま」「傲慢」と見られてしまう一面もあるでしょう。
発達障害を持ち「自分もつい優位に立とうとしてしまうかも…」と感じたときは、こちらの記事も参考にしてみてください。
ノン・アサーティブ(非主張タイプ)
ノン・アサーティブ(非主張タイプ)の特徴をポイントにしてまとめました。
【ノン・アサーティブ(非主張タイプ)の特徴】
・自己主張ができない・もしくは苦手
・穏やか・物静かな印象がある
・曖昧な言い方で、結論や核心を明言しないことが多い(相手に察してもらおうとする)
・つい言い訳をしてしまう
上記のような特徴があると考えられています。アグレッシブの真逆の特徴で直接的な刺激がないものの、対人関係においては面倒な存在になるケースもあるのです。その反面、人の痛みに敏感で優しい一面も持つケースがあります。
アサーティブ
アグレッシブとノン・アサーティブの中間的位置にあり、バランスの取れた理想的なタイプです。特徴を説明していきましょう。
【アサーティブ(攻撃・非主張のバランスが取れた理想的なタイプ)の特徴】
・自分の気持ちを伝えつつ、かつ相手の気持ちへの配慮もある
・場の空気を大切にする
・その場に応じた表現や言葉遣いができる
上記のような特徴があり、アサ―ショントレーニングでは理想的なスタイルとされています。コミュニケーションにおいての「押しと引き」をうまく使いこなせているのです。
以上の3つのタイプがあると考えられています。それでは、このタイプを踏まえたうえでアサーショントレーニングのポイントを説明していきましょう。
アサーショントレーニングをする上でのポイント
①自分の『自己主張タイプ』を知る
まずは自分の自己主張タイプを知るところから始めていきましょう。タイプを知るには下記の参考リンクに掲載されているテストを試してみましょう。
②相手との対等な目線をイメージしてみる
次に、相手との対等な目線をイメージしてみましょう。「対等な目線」の例として、一部紹介します。
【相手との対等なイメージ例】
・自分が男性でも、相手が女性の場合は女性ならどう感じるのかなと考える
・自分が問題なくこなせていることでも、相手が苦手で苦しんでいたら、苦手な時の感覚はどのようなものだろうと想像しながら対話する
このように、相手の思考を「想像してみる」ことが対等な目線への第一歩です。
③相手が傷つくであろう表現をイメージしてみる
②で対等な目線をイメージしたうえで、仮に自分が傷つかないことでも相手の思考だったら「嫌だろうな」「傷つくかもしれない」という表現を見つけていきましょう。
そのような言葉遣いを控えたり、他の言葉に変えていくことで対処していきます。
④③をもとに、自分の気持ちをどう表現するか考えてみる
③までの段階で、「相手がいかにして傷つかないか」のイメージは整いました。大切なのは、「それを省いてでも自分の意思を伝えられるような言葉を選ぶ」という作業です。
例えば、『あなたがこうしてほしいと言っていたから決めた』という言い方を『自分がしたいと感じて決めてみたけれど、どう?』に変えるような形になります。
⑤④で考えた言葉が、今この場にふさわしい言い方かどうかを確認してみる
さて、④までの段階で「自分と相手のバランス」を整った状態です。最後に、「その表現や言動が、今この場にふさわしい言い方かどうか」を考えてみましょう。簡単にいえば、「適切なシチュエーション」です。
例えばお互いを思いあっていて、交際を望んでいる方たちがいたとしましょう。どんなに相手や自分が望む言葉であっても、職場など公衆の面前で言われたら問題になってしまいます。
このように「コミュニケーションを取るべき舞台」を最後に考えていきましょう。
これらを何度も練習し、その場やその時に適した表現ができるように取り組んでいきます。
参考:アサーション〈自己表現〉トレーニング | 株式会社 日本・精神技術研究所(日精研) | 心理アセスメント・心理トレーニング
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
職場を想像してみると「押しの強い人」「引っ込み思案な人」がいるのではないでしょうか。それだけ「アサーティブ」のような自己主張のバランスをとることは簡単なことではないのです。
ですからゆっくりでも構いません。まずは「アサーション」と言う言葉を意識してみるところから、トレーニングを始めてみませんか?