職場でなぜか、嫌われやすい…
初対面では問題がないのに、対話を進めていくと嫌われてしまう
職場ではコミュニケーションを含む対人関係が重要です。その要となるのが会話になります。もちろんそれは多くの方が知っていて、注意していることではないでしょうか。
しかし、「いろいろ気を遣っているのに、なぜか嫌われてしまう」「そのようなつもりはないのに、相手から『ひどい!』『そんな言い方しなくてもいいのに!』と言われてしまう…」ということはありませんか?
初対面での印象は良く、もしくは問題がなかったのにもかかわらず、ある程度対話を進めていくと決まって距離を置かれたり、嫌われたりしてしまうというケースがあります。このような『嫌われる理由が分からない』ことで悩んでいることがあるのではないでしょうか。
発達障害を持つ方など、嫌われる原因が分からず悩みこんでしまう
コミュニケーションに困難を感じやすい発達障害を持つ方の中にも、上のような問題で悩んでいる方がいます。
周囲と表現や受け取り方が異なることで、自分では正しいと感じて話したことで相手を傷つけてしまったり、反対に相手の何気ない発言に傷ついてしまったりするケースが多いのです。
そのため、このような「コミュニケーション上のすれ違い」から対人関係をうまく築くことができず、ストレスから体調を崩し就職後すぐに職場を辞めてしまうケースも多いのです。
参照:鳥取県 精神・発達障がい者対応例示集「こんなときどうする ガイドブック」
参照:論文 発達障害者の就労上の困難性と具体的対策|日本労働研究雑誌2017年8月号(No.685)
会話で嫌われやすいなと感じたら、「アンコンシャスバイアス」をチェックしよう
アンコンシャスバイアスとは
「アンコンシャスバイアス」とは、自分自身が気づいていないものの見方や受け取り方、捉え方のゆがみ・偏りをいいます。
普段の生活の中で、「そんなひどいことをするなんて許せない!」「自分が嫌われているから指摘されるんだ」などを感じたことはありますか?相手に実際の心情を確認していないのに、「~に違いない」と決めつけてしまうケースがあったのではないでしょうか。
このように考えるより先に無意識のうちに起こる思考が存在し、「高速思考」とも言われています。人とのやり取りの中には、大量の情報が行き来します。これらをすべて1から考えていくようでは毎日の生活が追いつきません。そのため、この「アンコンシャスバイアス」でもって「~であろう」と仮説を立て、素早く行動できるようになっているのです。
「ショートカット」の役割もあるが、ネガティブな思い込みにつながるリスクもある
アンコンシャスバイアスは、分かりやすく言えばパソコンなどの「ショートカット」と同じと言えるでしょう。その人それぞれの「思考の近道」を作っておくことで、一回一回の考える負担を減らしているのです。
ですからアンコンシャスバイアスすべてが悪いものというわけではありません。問題は、このような無意識のうちの関連付けや思い込みが相手にネガティブな影響を与えてしまうことにあるのです。
では、このアンコンシャスバイアスのチェックしていくことで、相手の誤解を生むことやや嫌悪感を持たれることがないようにするためには、どのようにして見ていけばよいのでしょうか。まず、アンコンシャスバイアスが普段の会話やコミュニケーションの中でどのように作用しているのでしょうか
アンコンシャスバイアスで、周囲や相手に与える作用
日々の些細な言動や行動に現れ、相手の意識に作用する
アンコンシャスバイアスは自分の表現や意思表示の基礎となります。したがって日々の些細な言動や行動に現れてくるのです。
自分の「こうだろう」と思い込んでいることが相手にとって差別的なものであったり、見下すような発言であったりに反映する恐れもあります。また、発言だけでなく、相手が言った言葉に対し、眉をひそめたり腕組みをしたりするなどの態度としても現れてしまうのです。
このような小さなしぐさや言動を『マイクロメッセージ(小さなメッセージ)』や『マイクロインイクイティ(小さな不公平)』と呼びます。
言葉だけ聞くと難しいですが、小さな行動の積み重ねで相手を不快にさせていくことがあるということです。普段対話の中で「特にひどいことを言ったわけではないのに嫌われる」というときは、このような「小さな『とげ』」が地味重なった結果かもしれません。
多様な価値観が集まる職場では、アンコンシャスバイアスが重要になる
特に職場では、必ずしも同じ価値観の人間が集まるというわけではありません。むしろ様々な価値観を持つ方が集まりやすいと言ってよいでしょう。
今後はニューロダイバシティやソーシャルインクルージョンが進み、さらに個々の考え方が尊重されていく可能性があります。
そうなれば、これまで以上に「~であるべきだ」「~だろう」という思い込みをなくし、「そんなこともあるんだ」と受け入れていく必要が出てくるのです。
ですから職場で長く働き続けていくために、今後はこのアンコンシャスバイアスが重要なものとなって来るでしょう。
アンコンシャスバイアスを改善させるには?
自分の無意識の偏見にはどのようなものがあるかテストしてみる
自分の思い込みを改善させるには、まず自分のアンコンシャスバイアスがどのような盗聴があるのかを知らなくてはなりません。
このアンコンシャスバイアスを知るためのテストが開発されています。ハーバード大学とワシントン大学の研究者が共同開発したアンコンシャスバイアステスト(IAT)というテストがあり、世界で1600万人以上の方が受けているのです。
下記の参考リンクに日本語翻訳版を紹介致します。もし「自分のアンコンシャスバイアスを知りたい!」と言うときは、ぜひ試してみてください。
参考: IATテスト ホームページ
自分の偏見の傾向を知り、普段の会話の中などで意識してみる
自分のアンコンシャスバイアスの特徴を知り、「こういうところが偏った見方をしているのかな」と感じたところを普段の会話の中で意識しながら接してみましょう。
「絶対そうであるに違いない」と感じて気遣っていたことが、実は相手にとっては迷惑に感じさせてしまっていた…ということが分かるかもしれません。気づく瞬間は「今までこんなひどいことをしていたんだ…」とショックを感じるケースもあるでしょう。
辛いかもしれませんが、「原因不明の嫌われ体質」を改善させるために必要な『気づき』の一つであると覚えておいてくださいね。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
これからは個性が受け入れられやすくなる時代に変わっていくでしょう。しかしそれは「受け入れてもらえる可能性が高くなる」ことより、「自分が受け入れがたいものを受け入れないといけないことが増える」かも知れない側面もあるのです。
そのようなものをストレスなく受け入れていくためには、その根本となる『アンコンシャスバイアス』を今から見直してみる必要があるのかもしれません。