障害者雇用でもクビになることってあるの?仕事で気を付けることは?

障害者雇用でも、クビになるケースはある。

障害者雇用の方の解雇件数が増えている

厚生労働省が発表した障害者の職業紹介状況(平成29年度)によると、障害者の解雇件数は2千人を超えています。

その中で精神障害者の解雇件数が800人以上ともっとも多く、昨年度と比較して2倍以上に増えています。他の障害を持つ方の解雇件数も増加しており、事態は深刻化しています。

障害者雇用を解雇するときはハローワークに届け出をしている

障害者雇用の方を解雇する場合、企業はハローワークに届け出をしなくてはなりません。届出の際は、

〇解雇する方の氏名・性別・住所
〇担当していた職種
〇解雇の年月日、解雇理由

などを申告の上、厳正に対応を行います。それだけ、障害者雇用の方を「クビにすること」は簡単ではないということです。

このように障害者雇用が法律で守られ、クビにすることが難しいのは確かです。しかし、それでもクビになるケースがあります。それはどんなケースであり、クビにならないためにはどのようなことに気を付ければよいか。今回はその「障害者雇用の解雇について」ご紹介します。

参考:障害者雇用促進法の改正の概要(平成25年)

障害者雇用の方にも、就業規則は適用される

障害者雇用の方は職場定着のために様々な配慮や保障を受けています。しかし、それでクビになることはないかといいますと、そうではありません。企業が定めた就業規則に基づいて働くのは、障害者雇用の方も同じです。

これを前提にしまして、障害者雇用の方がクビになるケースにはどんなものがあるのでしょうか。

参考:モデル就業規則について |厚生労働省

障害者雇用の方でもクビになるケース

就業規則を著しく破る

障害者雇用といえど、「社員」です。企業で定められた規則を守らなければなりません。そのため、企業の内部情報を外部の人に漏らすなどの不正行為を行えば、解雇処分をうけることがあります。

支援などを行っても、業務上の課題を改善する意思がない

障害者雇用促進法5条で支援や配慮をすることが定められています。障害を持っているがゆえ、「仕事をうまく覚えられない」「ミスを繰り返してしまう」ことに関しても改善できるように努めなければなりません。しかし、企業がその相応の支援と指導をしたと認められる場合は、解雇されることがあります。様々な事情がありますが、分かりやすいのは

〇仕事の指導を受けているのに、(明らかに)覚える意思が見られない
〇ミスを繰り返していて改善策や支援を受けているのに、受け入れる意思がない

という「改善の意思がないと認められた場合」です。

企業は障害を持つ方を雇うボランティアではありません。利益や発展を追求しなければなりません。「頑張りたくない」社員は、クビになってしまいます。それは障害者雇用でも同じことなのです。

参照:5.障害者の雇用の促進等に関する法律(抜粋)

欠勤を繰り返す

突然の体調不良などで休むことはあります。しかし、あまりにも欠勤が多い時や企業が事情を知らない欠勤(無断欠勤)があるときなどは、「勤務意欲がない」として、クビになってしまいます。

規定上、クビにならなければ安心できるわけではない

これらのことをしていれば、障害者雇用でも仕事をクビになる可能性が高いです。しかし仮にクビにならなかったとしても、周囲も人間です。一生懸命に仕事しない社員に対して、「助けたい」と思えなくなります。よって仕事が辛くなり、結果的に辞めることになるケースもあります。

そうなれば、障害者雇用の方は仕事でどんなことに気を付ければよいのでしょうか。

参考:明日からバイトに来なくていいと言われた時、どうすべき?|タウンワークマガジン

障害者雇用の方が仕事で気を付けること

障害者雇用も特別ではなく、いち社員であることを意識する

障害者雇用は、他の方と同じように働けるために支援や配慮を受けています。決して特別扱いされていて、サービスを受けているわけではありません。「特別扱いを求めておいて、差別をするな」と求めるのは、周囲にとってあまりにも身勝手な要求になってしまいます。

「できないこと」と「やりたくないこと」を混同させない

障害を持つ方が「できないこと」があるのは致しかたありません。それを企業がサポートすることは法律でも定められています。しかし、「『できない』と言えば全部やらなくてよさそうだ」と、本当はできることなのにお願いしていることはありませんか?

「できないこと」と「やりたくないこと」を混同させていると、周囲からの信頼を失ってしまいます。

周囲のためにできることがあれば、トライしてみる

障害者雇用の方は仕事上でサポートを受けることができます。しかし、障害を持たない方も全知全能ではありません。ですから、サポートを受けるだけでなく身の回りであなたができそうなことがあれば、上司に相談してトライしてみてください。

逆に言えば、障害者雇用でも誰かをサポートしてよいのです。お互い助け合うということを意識することが、一般雇用の方と平等に働いていくためには必要です。

報連相を守る

しっかり上司などに報告していれば、体調不良で多く休んでも、まず「大丈夫?」と考えます。心身の負担について考えてくれることでしょう。しかし、報連相を行わず、誰にも伝えていなかったらどうでしょうか。休む頻度それほど多くなくても「あいつまた休んでいるな」と考えやすくなります。

人は、知らないことや分からない部分に関しては、ネガティブに考えやすいです。あなたが本当に辛いのであれば、日ごろからしっかりと伝えておくことが大切です。

参考:障害者枠で契約社員として働くADHD男性の苦悩 | ボクらは「貧困強制社会」を生きている | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

「障害者雇用だからクビになることはない、と安心してはいけない」ということがお分かりいただけましたでしょうか。

障害者雇用の制度は「頑張らなくてよい」「楽ができる」ためのものではありません。「障害を持たない方と同じ条件で頑張れる」ための制度です。

しかしながら、今回ご紹介したクビになるケースをする方は、ほとんどいないのではないでしょうか。大変の障害者雇用の方は、日々一生懸命仕事をされているのではないでしょうか。

そうなれば「甘えていない」わけですから、障害者雇用だからと言って負い目に感じることはありません。堂々と、自分の仕事を全うする。それだけで、同じ「社会人」なのです。

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