就労移行支援で、グループワークを体験した
就労移行支援事業所の利用を検討されている方の中には、「就労移行支援ではグループワークに取り組む」と聞いて漠然とした不安を抱えた方もいるのではないでしょうか。
就労移行支援で行われているプログラムは事業所によって様々ですが、グループワークを中心として集団で取り組むプログラムを多く設けている事業所もあります。これまで集団の中で自分らしく活動することに困難を感じている場合、『皆といるのは不安…』と感じるケースもあるかもしれません。
この記事では、そのようなコミュニケーションや対人関係に対し不安を感じている方へ、過去に就労移行支援を利用していた経験のある私の体験も振り返りながら『就労移行支援でグループワークに取り組むメリット』についてお話しします。
就労移行支援とは?
「就労移行支援」とは、障害者総合支援法に基づいて運営されている福祉サービスです。就労を希望している障害をお持ちの方に対し、一人ひとりの障害特性の自己理解を深めながら、働くスキル習得や就職活動のサポートが受けられます。事業所数は増加傾向にあり、平成29年度には全国で3,500事業所が運営されています。
就労移行支援にはどんなプログラムがある?
事業所によって特色は様々ですが、以下のような種類のプログラムが提供されていることが一般的です。
働くうえでのスキルを身につけるプログラム
挨拶や言葉遣いなどの『ビジネスマナー』や、パソコンのソフトである『Word(ワード)・Excel(エクセル)』など、働くうえで必要なスキルの基礎を身につけていくプログラムです。ビジネスマナーのロールプレイングや、PCを使って作業をする際に、他の利用者とのやりとりが生まれることがあります。
就職活動の準備をするプログラム
就職活動をおこなううえで必要となるプログラムです。履歴書や職務経歴書の作成や模擬面接などをおこない、企業との面接や実習に備えます。
心理の面から自己理解を図るプログラム
就労移行支援事業所の中には、認知行動療法を習得することを目指すプログラムを実施している事業所もあります。心理面から自己理解を深めることができると、就職後のストレス対処法の選択肢として非常に有効です。
関連記事:【就労移行支援】認知行動療法とは?
就労移行支援でグループワークに参加して得られたメリット
私が利用していた就労移行支援事業所では、グループワーク中心にプログラムが設計されていました。利用開始当初はかなり緊張して受け身の参加だったのですが、次第に慣れていき、3つのメリットを感じることができました。
メリット①:自分の現状のスキルがわかる
自分のスキルが現在どの程度なのかという評価は、実際に働くことを想定した取り組みをしてみないと判断できない部分もあります。一人で自宅や図書館で活動することもできますが、取り組みの内容に限りがあります。
就労移行支援で他の利用者と一緒にグループワークに取り組むことで、コミュニケーション能力がどの程度なのか、PCスキルがどの程度なのか、客観的に判断することができます。
私も、就労移行支援の利用を開始した当初に「自分のPCスキルは思ったより落ちているんだ」と気づくことができ、その後の取り組み計画がより具体的になりました。
メリット②:今まで分からなかった自分の強みに気づける
自分一人で就職活動をしていると、「自分の強みが分からない」という悩みに直面する方も多いと思います。私も同じように、面接で自分をアピールすることに苦手意識を感じていました。
就労移行支援を利用することで、利用者の方やスタッフの方から自分について客観的に評価してもらえる機会がとても増えました。毎日のように顔を合わせる関係となるため、自分の思いもよらない一面を「長所」として教えてもらえたこともあるため、私自身の自己理解も非常に深まりました。
その結果、面接でも自分の強みを伝えることができるようになっていきました。
メリット③:自分の性格や特性に気づける
心理系のプログラムに参加できる事業所では、認知行動療法を代表として、自分の性格や特性に向き合う機会が非常に多くあります。その中で、私一人では気づけなかった特性(例えば、特定の場面でストレスを感じやすい、集中しすぎてしまうことがある、など)を指摘してもらえることで、対処法を考えるきっかけとなりました。
自分がどのような特性を持っているのか理解が不足しているまま就職活動に望むと、企業に配慮事項を適切に伝えられないこともあり、結果として働きづらい職場環境に身を置くことにもなりかねません。
就労移行支援で心理系のプログラムに参加できたことで、自分を正しく知ることができました。その他グループワークについてはこちらの記事「【就労移行支援】グループワークとは。行う内容や目的を知っておこう」でも紹介していますので、併せてご覧ください。
自己理解を深められる、就労移行支援利用のポイント
私の場合、就労移行支援でグループワークに参加することで、自分のスキルや性格・特性について、これまで一人では気づけなかったことに気づくきっかけをもらうことができました。
「他の人からの客観的な視点も活かしながら、自己理解を深めたい」という思いをお持ちの方に向けて、就労移行支援を活用する際のポイントをお話ししたいと思います。
グループワークに参加しよう!
いきなり集団の中に入っていくのはハードルが高いかもしれませんが、少し事業所に慣れてきたら、グループワークに参加してみると良いのではないかと思います。
グループの中での自分の振る舞いなどを振り返ってみて、「自分にはこういう特徴があるんだな」と気づける瞬間が、きっとあるはずです。
他の利用者さんの意見を聞いてみよう!
何度かグループワークに参加していくと、他の利用者さんもあなたのことを段々と理解してくれます。自分のことを知ってもらえたかな、というタイミングで、他の利用者さんに自分がどう見えているのか意見を聞いてみると良いと思います。
事業所によっては、利用者どうしでお互いの強みなどを共有することが目的のプログラムも用意されていることもあるので、ぜひ活用してみてください。
能動的に行動してみよう!
グループワークへの参加、他の利用者さんとのコミュニケーションなど、就労移行支援では自己理解を深められるチャンスがたくさんあります。
すべてのチャンスを活かすことは難しいかもしれませんが、なるべく多くのチャンスを活かせるよう、まずは能動的・主体的に行動できるようになることを目標にしてみてはいかがでしょうか。能動的に行動することで、待っていては掴めなかったチャンスを掴めることがあるはずです。
関連記事:【精神障害】主体性を身につける方法4つ。就労移行支援でも学べる!
障害を持つ方へ。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
さて、今回は就労移行支援のプログラムのひとつ「グループワーク」について体験したことを紹介しました。障害を持つ方で「自分もやってみたい、でもどうやって探したらよいか分からない…」「自分に合う働き方を探したい」このように考えていることはありませんか?そのようなときはぜひこのサイト「Salad(サラダ)」に相談してみませんか。
まとめ
私の個人的な体験も交えながら、就労移行支援の利用によって「これまで気づけなかった自分のスキル・性格・特性」に気づくことができるというメリットをお伝えしました。
これまでよりも自分らしく働いていくための一つの手段として、就労移行支援という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。
この記事が、就労移行支援の利用を迷われている方の後押しとなれれば嬉しいです。
【筆者紹介】
広島出身の30代男性。26歳のときにシステムエンジニアとして新卒入社した会社でうつを発症し、1年5ヶ月休職したのち退職。療養中に就労移行支援サービスを1年7ヶ月利用して心身の状態を回復させ、合計3年のブランク期間を経て再就職。個人でも、うつ病当事者の方を対象としたイベントを定期的に開催している。