社員が障害者認定を受けたらどう対応する?助成金はもらえるの?

2018年半ばから、中央官庁などで「障害者雇用の水増し」が行われていたという衝撃的なニュースが話題になりました。
現在、障害者雇用促進法が注目されています。

社員が障害者になった場合や、新たに障害者を雇用する場合の手続、準備、雇用後の配慮など、考えなければならないことは多数。

貴社のコンプライアンスを、よりいっそう徹底するためにも、この記事をご一読いただければ幸いです。

突然、社員が障害者になってしまった場合に、どう対応すべき?

社員から、うつ病・手足の不自由・難病など「障害を抱えた」と報告されたら、どうすればよいでしょうか?

障害者雇用促進法により、障害者であることを理由に他の社員と「不当な差別的取扱い」をすることは禁じられています。

障害の特性に応じた配慮もしなければなりません。
「過重な負担」とならない範囲で、設備を整える、出退勤時刻を柔軟にするなど、法令に則った対応を行う必要があります。

差別禁止や合理的配慮に関しては、後述の「雇用率制度」と異なり、障害者手帳のない社員も対象となりますから、注意が必要。

雇用率制度との関係では、「診断」と「障害者手帳の交付」とを区別しなければなりません。
雇用率算定の際にカウントできるのは、手帳を持っている人だからです。

診断を受けても、その人が障害者手帳を取得するかどうかは任意。
本人の意思に反して手帳の取得を促すことは、トラブルにつながる可能性があります。

法定雇用率に適用される?障害者の認定の定義って何?

障害者雇用率制度でカウントできる「障害者」は、原則として障害者手帳をもっている人。

行政機関の「水増し」では、「障害者」の範囲を拡大解釈し、手帳のない人もカウントしていたことが問題になりました。

法定雇用率とは

従業員の数が45.5人以上の場合、民間企業では2.2%の割合で障害者を雇用しなければなりません。

雇用率算定のカウント方法は、次のとおり。

●精神障害者
・週30時間以上……1カウント
・週20時間以上30時間未満……0.5カウント(ただし「新規雇入れから3年以内」または「精神障害者手帳の取得から3年以内」ならば1カウント)

●身体障害者、知的障害者
週30時間以上……1カウント(障害が重度ならば2カウント)
週20時間以上30時間未満……0.5カウント(障害が重度ならば1カウント)

障害者の認定の定義

雇用率制度では、「身体障害者手帳」や「療育手帳」、「精神障害者保健福祉手帳」をもっている場合に「障害者」としてカウントできます。

「障害者」としてカウントする際は必ず手帳を確認し、そのコピーを保管しておくことが重要です。

特定雇用開発助成金など、助成金の対象となるの?

ハローワーク(雇用開発助成金の取り扱い指定を受けた、職業紹介会社含む)を通じて障害者を雇用することにより、各種助成金制度の対象となります。

雇用率制度とは異なり、障害者が手帳を持っていない場合も助成金制度の対象になるかもしれません。
詳細な要件がありますので、ハローワークにご相談ください。

障害者雇用にかかわる助成金とは

たとえば「特定求職者雇用開発助成金」という制度があります。
発達障害や難治性疾患の人をハローワーク経由で雇用し、配慮事項の報告などをした場合、大企業で50万円(助成期間は1年)、中小企業で120万円(助成期間は2年)が分割して支給されます。

この制度には「特定就職困難者コース」や「障害者初回雇用コース」などもあります。
それ以外の主な助成金は、次のとおり。

◎トライアル雇用助成金:「お試し」の雇用をした場合。
◎障害者雇用安定助成金:(障害者職場定着支援コース)休暇や勤務時間をフレキシブルにしたり、支援員を置いたりするなど、障害特性に合わせて対応をした場合。他のコースも複数あり、詳細な要件が定められています。
◎障害者作業施設設置等助成金:障害特性に合わせて作業を行いやすいように施設を整えた場合。
◎障害者福祉施設設置等助成金:障害者が利用できるよう配慮して福利厚生施設を整備した場合。

助成金制度は運用も含め変化しています。最新の情報をご確認ください。

参考:厚生労働省「障害者を雇い入れた場合などの助成」

企業が障害者雇用していると示すために、必要な手続きとは

まずは、管轄するハローワークに連絡を。専門の雇用指導官に相談した上で、求人登録と募集をします。
障害者になった既存の社員を雇用率にカウントする場合、後々のトラブルを防止する意味でも、本人の同意が必要でしょう。この点も、ハローワークに相談することをお勧めします。

障害者雇用枠への適用手続き

本社の所在地を管轄するハローワークに対し、毎年6月1日時点で障害者の雇用状況を報告しなければなりません。

ハローワークの紹介を経て雇用することにより、各種助成金をもらえたり、税制上も優遇されたりする可能性があります。

障害を理由に解雇は認められるのか

障害そのものを理由に解雇することはできません。

しかし健常者と同様、正当な理由と適正な手続に基づけば解雇できるのは当然のこと。
雇用契約、就業規則、関係する法令に則ってください。

ただし、障害者を解雇する場合は、ハローワークに届出をしなければなりません。
この観点からは、事前にハローワークや関係機関に相談したほうがよいでしょう。

社員に対し、対応で注意すべき点

何ができて何ができないのか、どんな合理的配慮をすれば能力を発揮できるのかなどを、本人と話し合い、検討することが大切です。

業務のカスタマイズ、環境の整備、柔軟な勤務時間、支援体制の構築、長い時間をかけて十分に研修を行うことなども必要。

就労移行支援事業所や障害者職業センターなどの支援機関と連携することが、成功の秘訣です。

まとめ

障害者雇用を進めるためには、複雑な情報を十分に集め、今できる部分から着実に取り組むことが大切です。

制度の目的を達成すれば、会社にとっても障害者本人にとっても「win-win」の関係が築けます。
これにより、社員全体にとって働きやすい職場の実現も可能。
貴社のイメージアップにもつながるでしょう。

最新の知識を整理し、どうぞご遠慮なく専門機関に相談してください。