ADHDの特性で「計画性がない」「後先を考えない」と言われやすい
「衝動性」により計画を立てた行動が苦手なことがある
ADHD(注意欠如・多動性障害)は発達障害の一種で、主に注意力のコントロールに関して困難を感じやすい障害です。
主な特性として「注意欠如」「多動性」に加えて「衝動性」があります。この「衝動性」が積極性や社交性として活かされる一面もありますが、計画性なく行動したことで周囲を困らせてしまう一面もあるのです。
周囲から「計画性がない」「後先を考えない」と指摘される
仕事や私生活において「計画性がない」「後先を考えない(行動)」と指摘されることはありませんか?何度も言われて何とかしようと考えているケースや、指摘されてはいないけれど何となく先走ってしまうかな…と感じることがあるかもしれません。計画なくして行動することで
・仕事などでミスをして、周囲に悪影響を与えてしまう
・後先考えず行うことで、ギャンブルなどの依存症になってしまう
・結果的に無責任と思われる行動をしてしまう
このようなデメリットがあるのです。
参考: ADHDの「計画性がない」「優先順位がつけられない」症状について | 芦屋市の心療内科・精神科・デイケア 高橋心療クリニック
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さて、ADHDを持ち、上記のような「計画性がないこと」「計画することが苦手なこと」に関して改善する方法として『イフゼンプロファイル』を紹介します。
「イフゼンプロファイル」とはなに?
イフゼンプロファイルとは
「イフゼンプロファイル」とは、行動心理学による「【if(もし)】Xしたら【then(それから・それなら・その時は)】Yする」と計画していく思考法になります。分かりやすく言うと「行動や判断に関して、簡単な『道筋』を決めておくこと」です。イフゼンプランニングとも呼ばれています。やり方はシンプルで、普段の生活に置き換えて例を挙げてみましょう。
・ご飯を食べたら、食器を洗う(『もし』ご飯を食べたときは、『その時は』食器を洗う)
・友達からメールが来たら、返答する(『もし』友達からメールが来た時は、『その時は』返答する)
このような、起きることに対し判断や行動を考えておくのみのシンプルな思考法なのです。
ADHDを持つ方が計画を立てるきっかけとしやすい
これまで「計画を決める」「予定を決める」と考えると、『何か面倒くさいな…』『そんな何時何分にどこ行く、何するなんてその時にならないと決められないよ!』と困っていたことがあったかもしれません。予定や計画と聞くと、旅行のプログラムのような綿密なものをイメージしていませんか?
しかし、このイフゼンプロファイルで考えることは「~したら」とその後「~する」の2点だけです。そのため計画を立てることが苦手なADHDを持つ方にとって、「計画性を身につけるきっかけにつながる可能性があるのです。
【ADHD】イフゼンプロファイルによって改善できる効果は?
イフゼンプロファイルの効果は、計画性を身につけることのほかにも、さまざまな効果が期待されています。
効果①発言や行動に一貫性が出てくる
計画なくして行動すると、どのように行ったかを覚えることもしにくくなります。そのため過去の発言や行動したこととずれていることや、まったく正反対のことをしていたりしても気づかないことがあるのです。これでは、『いい加減な人だな』『無責任な人だな』と言われてしまいます。
イフゼンプロファイルによって、あらかじめ定めた道筋に従って行動するくせをつけることで、発言や行動に一貫性が出てくると考えられているのです。
効果②事前に感じる不安解消にも役立つ
ADHDを持っているからと言って全てに不安を感じないかと言えば、もちろんそうではないでしょう。イフゼンプロファイルで道筋を立てることで、行動に伴う様々な不安や不要な情報を減らしてくれる、不安解消の効果も期待されています。
これはイフゼンプロファイルであらかじめ「こうなったら、こうする」と選択することで、その他の不要な選択肢を省いているからです。
そのため、「あれこれ考えすぎて頭の中がまとまらない!」というときにもイフゼンプロファイルは効果があります。
効果③物事を継続しやすい精神状態につながる
ADHDを持つ方の中には、同じことを持続することが辛いというケースが多いのではないでしょうか。
イフゼンプロファイルは、簡単にいえば「スタートとゴールを決めておく」ことです。そのため「スタート」から「ゴール」に至るまでは意識を保つことになります。このプロセスを少しずつ長くすることによって、物事を継続する力をつけることにも役立つかもしれません。
これにより、依存しないようにコントロールすることにもつながる可能性があります。
参考:目標達成確率が3倍に!? 『if-then プランニング』こそが最強の行動計画である。 – STUDY HACKER|これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディア
イフゼンプロファイルを立てるポイントは?
「イフ」は、既にできている習慣から考える
スタートとなる「イフ」に関しては、今既にできている物事をもとに考えるのがポイントです。例えば極端な例ですが「宝くじで1等が当たったら…」「明日社長になったら…」と考えたとしましょう。なかなかスタートできず意識することが辛くなってしまいます。
ですから「歯を磨いたら」「朝起きたら」など身近に行っていることをもとに考えることで、その後の「ゼン」も考えやすくなります。
「ゼン」は具体的・シンプルに考える
ゴールとなる「ゼン」に関しては、具体的かつシンプルに考えるのがポイントです。例を挙げてみましょう。
①10時になったら、出かける
②10時になったら、スーパーに食材を買いに行く
①と②、どちらが動きやすいですか?また、他人に予定を伝える時にどちらが分かりやすいと思いますか?②の方が行き先や用途が分かりやすいですよね。このように、「ゼン」に関しては具体的に考えていくのがコツです。
また、少し慣れてきたら一つの「イフ」に関して複数の「ゼン」を考えることも効果があります。「この『ゼンA』がダメだったらこっちの『ゼンB』にしよう」と考えることで、予定外の事態にも対応しやすくなるからです。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
このようにイフゼンプロファイルは、ほんの少し後先を意識することから始められます。少しずつでも行っていくことでADHDの特性で目立ちやすい「注意対象が移りやすい」「衝動的に動いてしまう」事態を予防する効果があるかもしれないのです。シンプルなものですから、ADHDを持つ方がストレスを感じるような「束縛感」も比較的少ないでしょう。
計画を立てられない、物事が続かない、あれこれ考えて頭の中の整理が大変…というときは、ぜひイフゼンプロファイルにトライしてみてはいかがでしょうか。