パーソナリティ障害とは、個性や性格とは異なる精神疾患
パーソナリティ障害とは
「パーソナリティ障害」とは、『その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った内的体験及び行動の持続的パターン』であることに加え、ほかの精神障害には該当しない障害を定義としています。
「パーソナリティ」といっても、個性や性格とは異なります。そのため、「性格が悪い」ということではありません。適切な治療をすることで、少しずつ改善される精神疾患なのです。
実際に医療機関を受診するのは、他の精神障害を合併しているケースがほとんどです。
パーソナリティ障害の種類
さて、パーソナリティ障害にはどのような症状があるのでしょうか。主な種類ごとにご紹介します。分類の基準はさまざまありますが、ここでは大きく分けて3つに分類します。
奇妙・風変わりが特徴の障害
【妄想性パーソナリティ障害】
不信感が強く、疑い深いのが特徴です。
【統合失調質パーソナリティ障害】
社交性がなく、他者への関心がないことが特徴です。
【統合失調型パーソナリティ障害】
会話が独特で感情のふり幅が狭く、適切さを欠くこと多いのが特徴です。
感情的・移り気が特徴の障害
【境界性パーソナリティ障害】
感情や対人関係が不安定なことが多く、衝動的な行動が目立つのが特徴です。関連書籍なども多く出ており、医療機関に受診する方が多い障害です。
【自己愛性パーソナリティ障害】
尊大な態度や過剰なまでに賞賛を求めるなど、自己評価へのこだわりが強いのが特徴です。
【反[非]社会性パーソナリティ障害】
反社会的なことや先を考えない行動をとるのが特徴です。薬物に依存する症状も合併していることがあります。
【演技性パーソナリティ障害】
他者の注目を集めようと外見が派手であること、大げさ・演技的な行動をとるのが特徴です。
不安・内向的が特徴の障害
【依存性パーソナリティ障害】
孤独に耐えられず、他者への過度に依存してしまうのが特徴です。うつ病と合併しているケースがあります。
【強迫性パーソナリティ障害】
融通が利かず、一定の秩序やパターンを保つことへの固執が強いのが特徴です。
【回避性(不安性)パーソナリティ障害】
自己にまつわる不安や緊張が生じやすいことが特徴です。うつ病や社交不安障害と合併しているケースもあります。
このように、パーソナリティ障害はさまざまな症状や特徴を持っています。さらにパーソナリティ障害には、共通した特徴があります。
パーソナリティ障害共通の特徴
パーソナリティ障害の共通の特徴は、生まれてから成人になる前の早い段階でその徴候が認められることがあります。認知や感情、衝動をコントロールする、対人関係など幅広く障害が及んでいて、職場だけでなく家庭など広い場面で見受けられます。
なお、本人が困難を感じていたり、周囲から指摘されていたりしていても、障害であることを認めないケースがあります。これにより、治療や改善が遅れてしまうことがあります。
パーソナリティ障害の原因
パーソナリティ障害の原因は、まだ完全な解明までには至っていません。早期解決のため、現在も研究が進められています。現時点で判明している原因は2つです。
〇脳内の神経伝達物質であるセロトニンが作用する、神経系の機能低下で衝動的な行動を起こしやすくする
〇親など養育者が身近にいられなかったことや、養育期につらい体験をしたことなどが関連していること
の2つが解明されています。
このように多種多様な問題を抱える障害に対して、どのような治療方法があるのでしょうか。
パーソナリティ障害の治療方法
長期間にわたり、医療機関と協力して対策を練る
パーソナリティ障害の治療は、長期間にわたることが多いです。医療機関と協力して、
〇障害を招いている問題はどんなことか
〇障害に対してどんな対策を行うか
を探していきます。治療を受ける方が積極的に自分の状況を伝えていくことが大切になります。
精神療法
主な治療法として、精神療法が行われます。精神療法の種類として、
〇支持的精神療法
〇認知行動療法
〇精神分析的精神療法
があります。とくに境界性パーソナリティ障害に関しては、研究されてきた治療法が有効であることが科学的に判明されています。そのため治療効果も高いことが分かっています。
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薬物療法
パーソナリティ障害に使用される薬は主に以下の通りです。
〇感情調整薬
〇選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
〇抗精神病薬(少量)
これらの薬によって、パーソナリティ障害の症状を軽くすることができます。また、合併している他の精神疾患の治療も大切です。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
パーソナリティ障害はうつ病などの精神疾患以上に、「受け入れがたい」疾患なのかもしれません。受け入れてしまうと、自分の人格や個性まで否定してしまうのではないかと不安に感じるからではないでしょうか。
しかし冒頭で紹介しましたように、パーソナリティ障害は「個性や性格」ではありません。医療機関にかかりしっかりと疾患と向き合えば、高い確率で治る病気なのです。
悩んでいたら勇気を出して、病院に相談してみましょう。