発達障害を持ち、将来が不安…
自分に合う働き方が分からない…
発達障害を持ち、職場などの関わりに苦労している方も多いのではないでしょうか。筆者もまた、発達障害を持ち自分に合う働き方について悩んできた人間の一人です。
合う業務がない、人との相性が悪い、意味が分からず不安を感じる…このような困難を感じて将来に不安を持つケースを多く体験してきました。
このような不安から、同じように就職に対して戸惑う方がいるのではないでしょうか。
就労移行支援に通いながらも、就職できず不安になる
そのような不安から抜け出すために、就労移行支援を利用することで「一歩前に出た」方もいるかもしれません。しかし、すぐに就職が決まるどころか、したい仕事も見つからなくて心配しているケースもあるでしょう。筆者もまた、このような不安を持っていました。
自分に合う就職のために、具体的な目標を設定した
このような不安を打開するために、具体的な目標を設定することにしました。今回は筆者の体験をもとに、「発達障害の不安解消に役立つ用語を交えた目標設定」の流れを追っていきましょう。
【体験談】発達障害(ASD)を持つ男性の目標設定の流れ
さて今回は、「筆者が就労移行支援に通所中、働き方を考えるところ」からのスタートです。実際にどんなトレーニングを行ったかについては、こちらをチェックしてみてください。
また、各ステップごとに関連記事があります。もっと詳しく知りたいと感じたらぜひチェックしてみてください。
①エッセンシャル思考で、本当にやりたいことを見極めた
エッセンシャル思考は、沢山の物事や選択肢の中から、自分が本当に必要と感じている目標のみを選択していく思考法です。
筆者のケースでは、まず就労移行支援の利用を決めた理由が、エッセンシャル思考によるものでした。
「在宅でできる、アートやデザインに関わる仕事をしたい」
この本質目標を掲げた先に浮かんだのが、就労移行支援事業所だったのです。
【エッセンシャル思考について詳しくはこちら】
「 エッセンシャル思考とは?障害者は働き方の本質目標を見るチャンス!」
②クリティカルシンキングで、自分の案を一度疑ってみた
クリティカルシンキングとは、物事を結論まで導く途中に「本当にそれでいいの?」「他にもっと良い考えはないの?」と疑問を投げ掛ける思考法です。「批判的思考」とも言われますが、あくまでも他の選択肢を見たうえで目標への意識を強めるためのものになります。
筆者の場合も、就労移行支援に通い始めてから「この目標でいいのかな?」「他にもっとニーズに合う働き方があるかもしれない」と疑問を投げ掛けてみました。
筆者はASDを持っていますが、その特性もあり一度決めると周りが見えなくなることを予測していたからです。
クリティカルシンキングで感じた疑問をきっかけに、事業所のスタッフの方に相談したり、他のスキルのトレーニングを試したりしました。
【クリティカルシンキングについて詳しくはこちら】
「【発達障害】クリティカルシンキングとは。考える力向上に効果的!」
参考:【5分で理解】クリティカル・シンキングとは?意味&具体例とおすすめ本を紹介します|Life and Mind+ (ライフ&マインド)
③弁証法で、スタッフや専門機関の意向を踏まえて考え直した
弁証法は、対立した・異なった考え方を組合わせ、より良い「第三の答え」を導き出す考え方です。筆者の場合も自分が描いた目標と、スタッフの方や専門機関の方から聞いた「事情」とで異なる部分がありました。
・アート、デザインの仕事をしたい→現状は経験者のみの求人しかなく、就職は難しい
・在宅勤務をしたい→在宅勤務のノウハウを得ている方が優先的に採用される
上記のように現状と自分の目標が「対立する」事態になりました。このときに弁証法で、「事情を踏まえつつ目標をどう達成するか」という考え方を行ったのです。
結果、以下の判断をしました。
・アート、デザインの目標は→求人応募としては諦め、障害者アーティストとして別途活動することにした
・在宅勤務の目標は→アート、デザインという縛りを抜きに「在宅勤務」のみに希望条件を変更した
このような目標設定に変更しました。在宅勤務の求人の選択肢を広げたことで、応募できる幅を広げたのです。かつ、アートに携わる目標もクリアしている形を取れました。
【弁証法について詳しくはこちら】
「弁証法をわかりやすく紹介。アスペルガーの決断できない悩み改善に!」
④常時イフゼンプロファイルで、事態への準備をした
イフゼンプロファイルは「もし~なら、~する」のように、起こりうる物事を事前に想定し、計画的に行動するための思考法です。筆者も上記の目標設定を進めていくなかで、たくさんの「イフゼンプロファイル」を考えていきました。
・在宅勤務がだめなら、通勤でもアートやデザインの仕事を探そう
・アートやデザインがだめなら、在宅勤務に絞って探していこう
・在宅勤務に備えて、必要な準備をしていこう
これらのイフゼンプロファイルを多数立てました。
筆者はASD(自閉症スペクトラム)の特徴を持ち、道筋を決めるのは得意でした。反対に道筋にこだわりすぎて不安が伴うこともありましたが、その際はエッセンシャル思考で再度本質を見直していく…このような思考を繰り返して、在宅勤務の就職に辿り着くことができたのです。
【イフゼンプロファイルについて詳しくはこちら】
「【ADHD】計画性がない悩みには、イフゼンプロファイルが効果的!」
当初のイメージとは違うが、目標達成につながった
このように筆者が就職に至るまで、様々な思考法を活用していました。最初に描いた目標通りにはいきませんでしたが、その目標以上の結果を得られたと感じています。
就労移行支援に通っていて迷っている方、また働くこと自体に不安を感じている方に、今回の「目標設定フロー」が参考になりましたら幸いです。
参考:目標達成確率が3倍に!? 『if-then プランニング』こそが最強の行動計画である。 – STUDY HACKER|これからの学びを考える、勉強法のハッキングメディア
就労移行支援事業所のサポートあって目標達成につながった
フローではスムーズに進んでいるように見えたかも知れません。しかし実際には多くの葛藤や不安、身動きとれず何もできない時期もありました。
これを達成までに導いてくれたのは、間違いなく就労移行支援事業所のスタッフの方のサポートがあったからです。
ひとりでは、正しい選択に辿り着かなかったかもしれません。
カスタマイズ就業は、目標達成のカギになるかも
この記事を読んでいる方の中には、「そもそも目標が見つからない」という方もいるかもしれません。
そのような方のヒントにつながる方法の一つが、「カスタマイズ就業」です。
これは障害を持つ方が本来持つ強みを活かして働くスタイルになります。したがって無理や負担が少なく、最大限の力を出せる可能性があるのです。
就労移行支援、カスタマイズ就業に関してはSaladにご相談ください
Saladでは、
・就労移行支援事業所に関する情報
・カスタマイズ就業に基づいた、強みを活かす働き方に関する情報
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就労移行支援についてはこちらでSaladが取材した事業所について紹介しております。
カスタマイズ就業についてはこちらで強みを活かして働くチャンスがある非公開求人を取り扱っております。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
目標設定は、何も一人で立てていくとは限りません。筆者のように様々な方のサポートを受けながら達成まで進めていくケースもあります。
何をしたいか、何ができるかわからなくて迷ってみたら、この記事のフローを思い出してみてください。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受ける。HSPの傾向も強く周囲の感情による不調を防ぐために、在宅勤務を希望した。就労移行支援事業所の通所期間はちょうど一年間。