境界知能とは?
境界知能の定義
境界知能はIQ(知能指数)が平均的とされる値と知的障害とされる値の間のおおむねIQ70~
85の状態を指す言葉です。
境界知能に該当する人は統計上人口の約14%いるとされています。これは7人に1人程度の割合です。
境界知能の特徴
見た目はIQが平均的な人と変わらないように見え、日常生活に問題はなさそうに思われがちですが、生きづらさにつながる問題を抱えている場合があります。
具体的にはものごとをすばやく行うのが苦手だったり、作業や体を動かすのが苦手(不器用)だったり、ものごとを認知・想像する力が弱かったりするなどがよく挙げられます。
境界知能と発達障害の違い
発達障害は境界知能とは異なります。
発達障害は生まれつき脳の働き方に違いがある状態です。
発達障害にはADHD、ASD、LD(学習障害)などがあり、医師によって診断されます。
発達障害を持っていて境界知能に該当する人はいますが、発達障害を持っていても境界知能ではない人もいます。
境界知能は病院に行くべき?
境界知能の検査
精神科でIQの検査(知能検査)をうけることで、境界知能に該当するかどうかは判断することができます。
境界知能にあてはまるかどうかはインターネット上や本でのセルフチェックではわかりません。
境界知能の治療や支援
境界知能の特性は障害とは認められていないので、本人が生きづらさを感じていても支援や教育にアクセスしにくいことが問題とされています。
支援や医療につながらずに見過ごされ、大人になってから境界知能であることがわかる人もいます。
発達障害もあわせて持っていたり、日常生活や学校・仕事の困難なことが原因でうつ病など心身に不調の症状が出ている場合はそちらを理由に公的な支援を受けたり、精神科に通って治療や環境調整などを行うこともできます。
参考:障害者手帳について|厚生労働省
参考:自立支援医療(精神通院医療)について 東京都福祉保健局
参考:障害年金|日本年金機構
参考:うつ病に関してまとめたページ|こころの耳:働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト
早期に認知能力の訓練を行うことで困難を減らせる
紙の上の点線をつないだり、同じ記号を探したりするパズルのようなトレーニングを行うことで、認知機能を強化することができるとされています。
現在は認知機能のトレーニングを取り入れている小学校もあります。
境界知能の人の生活や仕事上の困りごと
困難を周囲から理解されにくい
境界知能の人は一見IQが平均的な人と変わらないように見えるので、勉強や仕事でできないことや苦手なことがあった時に、周囲からは本人の努力不足・性格の問題と誤解されてしまうことがあります。
また、自分の感じている困難を言葉にして伝える事も難しいため、手助けしてもらいにくい場合もあります。
職場で適切なコミュニケーションができない、仕事が続かない、クビになってしまうなどの悩みを抱えている場合もあります。
公的な支援につながりにくい
境界知能の特性を持っているだけでは、就労移行支援の利用、障害者手帳の取得や障害者年金の受給などの福祉制度の利用はできません。
障害者手帳を取得できなくても就職に困難を感じている人は多いので、今後は利用の対象が拡大される可能性はあります。
関連記事:【就労移行支援】手帳なしで訓練を受けるには。HSPでも利用可能?
コミュニケーションが苦手
言葉の裏に隠された意味や冗談が分からなかったり、話すスピードが速すぎると内容を理解しにくかったりして会話や雑談が苦手なケースもあります。
自分の状況を論理的に整理して説明することも苦手なので、誤解を招いたり特性を理解してもらいにくく、人間関係のトラブルを起こすこともあります。
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まとめ
本人の生きづらさ、困りごとに応じた支援が望まれる
境界知能の特性を持つ人は、生きづらさを周囲に理解してもらえないこと、支援を受けにくいこと、コミュニケーションが困難なことでさまざまなストレスを抱えている場合があります。
それが原因でうつ病などの精神疾患になってしまったり、困窮して問題行動をしてしまうケースもあるのではないかと考えられています。
診断に関わらず、本人の困っていることや、生きづらさに応じた支援が必要な人に提供されるようになることが待ち望まれています。
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