強迫性障害とは、不安やこだわりに襲われる辛い病気
強迫性障害とは
「強迫性障害」とは、強い不安やこだわりによって施錠の確認、特定の物事へのこだわりが度を超してしまうなどの症状を発する病気です。
こだわりなどは大小なりとも、どんな方にもあります。しかし強迫性障害の症状を持つ方の場合、これが他の方の生活や本人の心身にまで支障をきたしてしまいます。
関連記事:『不安障害』にはどんな種類があるの?なりやすい人、改善法は!?
今回は「強迫性障害」について、
〇症状
〇ASD(自閉症スペクトラム)の持つこだわりとの違い
〇原因
〇治療のサイン
〇治療方法
の順にご紹介していきます。
強迫性障害の辛い症状
強迫観念
忘れたくても頭から離れない考えのことです。自分では「やり過ぎかな」という意識があっても、いつまでも頭の中に残ってしまいます。
強迫行為
強迫観念から生まれた不安にかきたてられたことで起こす行為をいいます。
【主な症状の例】
○不潔恐怖
強迫観念…「汚いかもしれない」と怖くなる。
強迫行為…何度も手を洗う。アルコール消毒をする。周囲にも消毒を強要する。
○確認行為
強迫観念…外出後、家の鍵をかけたか、火の元は止めたかが気になって不安になる。
強迫行為…何度も戻って確認する、家族に何度も連絡して確認させる
その他、誰かに危害を加えていないかニュースを何度も見てしまう、決められた手順通りに行わないと恐ろしいことが起こるなどの症状があります。
ASD(自閉症スペクトラム)の特徴「こだわり」との違い
発達障害のひとつである、 ASD(自閉症スペクトラム)の特徴にも、「こだわりの強さ」があります。ルーティーンや定型パターンにこだわるところなど、一見強迫性障害と似ているのでは?と感じるかも知れません。しかし、同じようで実際は大きく異なります。
強迫性障害との一番の違いは、
〇こだわりにストレスや不安が関わるか否か
〇本人や周囲の生活への支障の有無
というところです。
ASDを持つ方は特徴として、積極的にこだわります。その方が効率が上がったり、安心したりできるのです。周囲の理解があれば、自他の生活にも支障は出ません。対して強迫性障害は消極的なこだわりです。「やめたくてもやめられない」、「考えていないと怖い」などが関わります。さらに強迫行為によって、生活に支障が出てしまいます。
しかしASDの特徴である「こだわりの延長線」として、強迫性障害になっても気づきにくいおそれがあります。いつものルーティーンなどに不安や疲労を感じたら、医療機関に相談しましょう。
強迫性障害が起こる原因
性格や育った環境、ストレスなど多様な要因が関係していると考えられていますが、明確な原因は解明されていません。
しかし、症状が続いてしまう理由や悪化してしまう理由に関しては解明が進んでいます。
こんな辛い症状があったら医療機関の診察を受けよう
日常生活・社会生活に支障が出ている
強迫行為に時間を取られて出勤時刻に間に合わなかった、常に強迫観念の不安に襲われて(「手を洗わなきゃ…」「鍵かけたかな…」)、心身が疲れてしまうときは、治療のサインです。
家族や職場など、周囲の方が困っている
戸締まりの確認を何度も家族にお願いすること、他の方にもアルコール消毒を強要するなどありませんか?
あなたの行動に他者も巻き込んでいる場合も、治療のサインです。
現時点までで解明されている結果に基づき、以下の治療が行われます。
参考:強迫性障害|Obsessive Compulsive Disorder in Japanese | Royal College of Psychiatrists
強迫性障害の治療方法
薬物療法
主に強い不安感を緩和する抗うつ剤のSSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)が使用されます。うつ病よりも容量が多く、長期間の服用が必要です。はじめは少量から行い、症状や医師の診断に応じて調整していきます。
副作用は少ない薬ですが、不安や不調を感じた場合は医療機関に相談しましょう。
認知行動療法
代表的な治療法として、「曝露反応妨害法」 があります。再発予防の効果が高いとされています。
強迫観念の不安と向き合い、意識的に行為をしないように我慢することで治療を行います。このような治療を継続することで不安が軽減され、強迫観念がなくなります(不安に感じる必要がないことに気づく)。
※治療法例
○何度も手を洗ってしまう症状について
→汚いと思うものを触るなどして、洗わないで我慢する。(汚くても支障がなかったことに気づき、それほど不潔ではなかったことに到達する)
○施錠の確認を繰り返してしまう症状について
→一度鍵をかけたら、心配になっても戻らないで我慢する。(心配する必要がなかったことに気づき、一度確認したのだから大丈夫と感じるようになる)
基本的にはどちらかのみを行うのではなく、薬物療法と認知行動療法を組み合わせて治療を進めていきます。
治療には、あなたの「治したい」という意欲が不可欠
治療効果を高めるには、治そうという意欲が必要になります。
強迫性障害の服薬量は他の精神疾患などと比較して多いです。そのため不安になりがちです。さらに認知行動療法をしていて「我慢なんてしたくない」と感じる方も出るかもしれません。
しかし、早期回復には強い意志を持つことが重要です。医師と相談して治療法に納得することで、安心して治療を続けられます。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
強迫性障害はあなたはもちろん、あなたが大切にしている方の関係にまで影響を及ぼしてしまいます。「この記事の症状ほどひどくないけれど、もしかしたら強迫性障害なのかな・・?」と疑問に感じるくらいでも、医療機関に確認し早期対処を心がけましょう。