場面緘黙の症状
場面緘黙とは
場面緘黙とは、学校や職場などの特定の場所では話すことができないことを言います。
家庭などの安心できる場所では普通に話すことができ、性格上の問題や声が出ない病気ではなく、わざと話さないわけでもありません。
人により症状(話せなくなる場面、程度など)が異なりますが、話せないパターンはその人ごとに一定しています。
大人でも場面緘黙になるの?
場面緘黙は通常5歳以前に発症し、交流の機会が多くなる入園・入学後に症状がはっきりしてきます。
幼少期に発症した場面緘黙が思春期や大人になっても続く場合があります。
医師や学校の教師から「大人になったら治る」と言われてしまうことがありますが、幼少期に適切な支援が受けられずに大人になった場合、症状の改善が遅くなり、うつ病などの他の精神障害を併発したり、不登校などの二次的な問題を起こしたりしやすくなります。
そのため、早期の発見と治療が重要と言われています。
場面緘黙と発達障害
発達障害者支援法は、発達障害のある人のために発達障害の早期発見と支援を目的とした法律です。
場面緘黙は発達障害者支援法の対象です。
ASD(自閉症スペクトラム症)のような発達障害が原因で場面緘黙症が引き起こされているケースも多いとされています。
場面緘黙と発達障害は併発することが多いといわれています。
場面緘黙と発達障害を併発している場合は発達障害への支援や理解が重要になります。
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場面緘黙の困りごと
場面緘黙で困ること
場面緘黙では話せない(声が出ない)だけでなく、相手への意思表示のサインに関わる他の症状が現れることがあります。
学校の場合なら具体的にあいさつができないので無視していると思われる、学校で挙手や動作ができない、トイレに行けない、わからないことがあっても質問できないなどがあります。
大人の場合、あいさつや雑談ができない、わからないことや困っていることがあっても言い出せない、相手の指示に対して反応できないなどがあります。
学業・仕事に支障が出たり、わざと話さないことを選んでいるわけではないのに、周囲の理解が不足しているために誤解されてその場に居辛くなってしまったりしがちです。
場面緘黙と似た症状の出るケース
場面緘黙と似ているけれど違う症状がいくつかあります。
原因により治療や支援の仕方が異なるため、見分けて対応することが必要になります。
場面緘黙と似ている症状には下記のような症状があります。
・全緘黙…すべての場面で全く話せなくなることをいいます。
・失声症…発声器官や脳に異常がないのに声を発することができなくなる症状です。
・吃音…滑らかに話すことができない状態をいいます。
音を繰り返したり、伸びたり、なかなか言葉を発することができないなどの症状があります。
小児期からの吃音であれば発達性吃音という診断になり、発達障害者支援法によって、精神障害者手帳の交付の対象になります。
・うつ…うつ症状のために全般的に会話意欲が失われている場合は、場面緘黙とは区別されます。
場面緘黙の原因
場面緘黙は親の育て方が原因というのは誤りです。
また、トラウマや虐待に関連付けられてきましたが、ほとんどの子供の場合関係しないことがわかってきました。
現状では学校の先生は親の過保護のせいと考える人も多い状況です。
子供を支援できる親や先生の理解がないと、正しい支援や治療に結び付きにくくなります。
親や先生が場面緘黙に対して正しい理解をもつことが、症状の改善や二次的な問題の防止に役立ちます。
場面緘黙の人が利用できる支援
精神障害者手帳
場面緘黙は不安障害の一つに分類され、精神障害者保健福祉手帳の交付の理由になります。
精神障害者保健福祉手帳(精神障害者手帳)を取得するとさまざまな公的福祉サービスが受けられるようになります。
精神障害者手帳を取得する主なメリットは下記の4つです。
・就労支援が利用でき、障害者雇用での就職が見込める
・税金の減免がある
・交通運賃・入場料などの各種割引が利用できる
携帯電話料金や水道料金の一部が減免される制度などがあります。
・公営住宅への優先入居など、各種公的な制度が利用できる
関連記事:障害者手帳を取得、申請する4つのメリットと3つのデメリット
通院費用の一部を負担
場面緘黙の治療のために医療機関への通院が必要な場合、自立支援医療の精神通院の制度を利用すると、通院にかかる費用の一部が公費で負担されます。
自立支援医療の制度を利用するには医師の診断書が必要なため、まずは通院中の医療機関で相談しましょう。
就労移行支援
場面緘黙で障害者手帳を持っていて、障害者雇用での就労を目指す場合は就労移行支援が利用できます。
就労移行支援事業所に通うことで就労に適した生活のリズムをとりもどす練習をしたり、仕事に関するトレーニングを受けたり、就職活動のサポートを受けたりすることができます。
さらに就職後も長く働き続けられるように職場への定着支援を行います。
仕事に必要な技術を身に着けたり、就職活動に必要なビジネスマナーや履歴書・職務経歴書の書き方などの指導を受けることができるので、就職活動のサポートに役立ちます。
就労移行支援事業所の利用には、行政が発行する福祉サービス受給者証が必要です。
障害者手帳がなくても医師の診断や定期的な通院があれば、自治体の判断で利用が可能な場合があるので、市区町村の相談窓口や障害者地域生活支援センター、利用を希望する事業所に直接相談してみましょう。
関連記事:就労移行支援について
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まとめ
職場で緊張する場合は、テレワークもおすすめ
職場で緊張して場面緘黙の症状が出てしまう場合は、自宅で仕事をするテレワーク(在宅勤務)の働き方もおすすめです。
テレワークの場合、口頭でのコミュニケーションの代わりにメールやチャットなどでのやりとりで仕事をすることも可能です。
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関連記事:【発達障害を持つ方の就職】あなたもできる「カスタマイズ就業」とは
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お問い合わせやご意見はこちらからどうぞ。お待ちしています。
参考:障害者の能力や強みを生かす「カスタマイズ就業」って? | 毎日新聞
参考:場面緘黙とは? – 大阪メンタルクリニック 梅田院
参考:場面緘黙の子どもを持つ親たちの試行錯誤 | NPOスポットライト(28回) | 市民活動情報共有ポータルサイト
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