発達障害の特性上、疲れに気づかないリスクがある。
体調面の問題で離職する方が多い。
発達障害を持つ方が職場で苦しんでいます。「職場環境が合わない」、「コミュニケーションが合わない」など、さまざまな事情から疲労を重ねてしまいます。さらには体調を崩し離職してしまう・・というケースも多いです。
疲れに気づかないことで対処が遅れてしまう
また発達障害の特性上、実際の疲労と感じている疲労感にギャップがある方がいます。この場合、実際には対処が必要な疲労でも気づかないことがあります。そして、疲労に気付いた時にはひどく体調が悪化していた、という事態にもなりかねません。
参考:発達障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
参考:障害者職業総合センター研究部門 障害者の就業状況等に関する調査研究(平成29年)
疲れに気づかないことで起きる二次障害
疲れに気づかないだけで、決して疲れないわけではありません。疲れに気づかず無理を続けていれば、二次障害を招くことがあります。
うつ病
意欲が低下する、めまいがあるなどの症状に襲われます。疲れに気づく前は高い意欲で行っていることが多いので、激しい落差を感じてしまいます。よって精神的に大きなダメージを受けやすいため、回復にも時間がかかります。
パニック障害
疲れに気づいたとき、またはその原因に気付いた時をきっかけにパニックを起こすことがあります。突然の激しい疲労感に驚いてしまいます。
他にもおそれのある二次障害があります。詳しくはこちらの記事「発達障害の二次障害ってどんなものがあるの?事前にできる予防法は?」を参照してください。
参考:精神障害(精神疾患)の特性(代表例)|厚生労働省
参考:埼玉県朝霞市で発達障害で精神科・心療内科お探しなら中村メンタルクリニックへ
それでは発達障害を持つ方が早く疲れに気づくには、どのような工夫が必要なのでしょうか?まずは、「なぜ疲れに気づかないか」を見ていきます。
発達障害を持つ方が、疲れに気づかない理由
業務に没頭し過ぎて、過集中になってしまう
発達障害の特徴として「過集中」があります。高い集中力は良い成果を発揮しますが、コントロールができないと危険です。「没頭」しているときは他の事が気になりません。業務が終わって過集中が解けたとき、燃え尽きたように疲れ果ててしまいます。
「休むべき」と感じるタイミングが遅い
先ほども少し触れました、「実際の疲労度と感じている疲労感がずれている」パターンです。「疲れているのは知っているけれど、まだ大丈夫」と、無理をしてしまいます。
このケースは、細かい変化をとらえるのが苦手な方に多く見られます。
自分を抑え込みすぎていて気付けない
業務の中で「~しなければならない」「~するべき」と、自分を抑えつけていませんか?素直な気持ちに遠くなればなるほど、体で感じている状態に気付きにくくなります。
関連記事:【大人の発達障害】仕事で疲れやすいのは、『過剰適応』かも?
リタイアがいやで、気付かないふりをしてしまう
「疲れには気付いている。もう限界なのも知っている。でも休んだらもう仕事に戻れない」
このような不安から疲れに気付かないふりをして、我慢を続けてしまいます。
このような状態のまま無理をすると、仕事はおろか日常生活にまで支障をきたします。予防するには、早期に自分の疲れに気づく必要があります。そのためには、どんな対策が必要なのでしょうか。
早めに疲れに気付くための対策
集中する時間を決めて、休憩するように意識する
集中力には、限界があります。時間を決めて、定期的に休むように意識しましょう。不安な場合は、スマートフォンのアラーム機能などを利用すると効果的です。
自分の意思で集中をやめることが難しいため、「合図」を決めて工夫していきましょう。
毎日の体調をチェックする。
可能な限り、毎日の体調をチェックしましょう。朝起きた感覚や食欲など、体調に関わることであれば何でも構いません。
大切なのは、「いつもの状態を知らないと、『いつもと違うこと』に気づかない」ということです。自分の意識の中で細かな変化に気づかない場合、毎日の体調を書き記しておきましょう。書いたものの流れを見る中で、体の変化や疲労に気づきやすくなります。
自分の心情を書き込むなどして、客観的な視点で確認する。
自分を抑え込んでいると、ストレスがたまります。無意識のうちに、あなたに重い負担がのしかかっています。
そんなときは、家に帰ってから自分の心情を書いてみましょう。形式や体裁は関係ありません。書いたものを保存する必要もありません。ひたすら書いて、見るだけです。見終わったら、処分しても構いません。
大切なのは、「自分の感情を客観的に見ること」です。これによって、ため込んでいる精神的負担が緩和されます。この方法は、うつの予防にも効果があります。
ただし、一つだけ注意してほしいのは、就寝直前に行わないことです。内容によっては、興奮や緊張が高まって眠れなくなってしまいます。就寝より少し前に時間を取り、ゆとりを持って行いましょう。
定期的に上司や支援機関に相談する
自分一人で解決させることは難しいです。定期的に上司や支援機関の方に相談し、客観的な意見を聞いてみましょう。
「ちょっと最近、辛そうに見えるよ」「先週くらいから顔色が悪いけど、大丈夫?」など、自分では気づいていない疲れを教えてもらえるかもしれません。相談先に迷ったら、ぜひこの後の案内「発達障害を持つ方へ。『Salad』が無理なく力を発揮できる就職のサポートをします」をチェックしてみてくださいね。
命がいちばん。無理せずに休んでもいい
どんな仕事でも、無駄な仕事はありません。ただし、命を削ってまでひとりで重い責任を抱えるような仕事もありません。命がいちばんです。辛い時は無理せずに休むのがいちばんです。
関連記事:仕事を上手に休む方法【精神障害を持つ方が仕事を長く続けるヒント】
発達障害を持つ方へ。『Salad』が無理なく力を発揮できる就職のサポートをします
まとめ
いかがでしたでしょうか。
発達障害を持つ方は、過去の体験などから「頑張らなければ取り残される」という危機感を抱えているケースが多いです。
確かに、努力することは大切です。しかし「努力する」と「自分を追い詰める」は違います。休むときは休んで、常にベストな状態をキープすることも「努力」です。あなたなりの疲れ対策を見つけて、長く職場に定着できるよう心がけましょう。