【体験談】発達障害を持つ方のための、仕事の優先順位を決める工夫

発達障害の特性上、優先順位を決めるのが難しい方が多い

優先順位をつけるのが苦手な方が多く、トレーニングなども計画されている

発達障害を持つ方で、今働いている方の多くは「仕事の優先順位を決める」ことに苦労されているのではないでしょうか。全国でも発達障害を持つ方のトレーニングのプログラムとして、優先順位の決め方が挙がっています。

参考:発達障害者のための問題解決技能トレーニング – 障害者職業総合センター

参考:発達障害専門プログラム ワークブックⅠ – 厚生労働省

実際に仕事で優先順位を付ける場面が多く、苦労した

筆者も発達障害を持っています。やはり職場では、優先順位をつけるのには苦労しました。筆者は過去に2つの職場を経験しています。はじめの職場ではこの優先順位をうまくつけられず、「パンク」してしまい、うつ病を発症してしまいました。

仕事の運び方ひとつで、こなせる量が大きく変わります。それだけに優先順位を決められず、仕事が溜まっていくのが悔しかったです。

今回は、そんな筆者が
〇優先順位を決めるのに苦労したこと
〇優先順位を決めるために工夫したこと

をご紹介します。

まず、「仕事で優先順位を決めるのに苦労したこと」をご紹介します。

【体験談】仕事で優先順位を決めるのに苦労したこと

どれも大切なように見えて、決められない

頼まれた仕事などは特に、頼んできた方の心情などを考えてしまいます。

これにより、「後回しにするのは申し訳ない」と考えて、混乱してしまいました。このような心情なので、頼まれたときにうまく断れません。さらに高度な優先順位を決めないといけないという悪循環に遭いました。

手順や段取りが分からず、混乱している

全体の段取りや流れを把握しきれていませんでした。そのため、自分が行う「部分」しか見えていなかったのです。

一本の木でいえば、「自分の周りには枝ばかりが散らばっていて、太い幹がない。だから、『一本の木』にならない」という感覚でした。

分かりやすく説明しますと、「根本的な部分が見えていなかった」ということです。そのため、業務の中でつながっていれば省ける作業も、無駄に行うようなことがありました。

業務ごと、自分の前後のルートを把握していない

どんな仕事でも、自分ですべてが完了する仕事はありません。必ず次の方への「バトンタッチ」になる業務が多いのではないでしょうか。

筆者の場合も事務作業が終わったら、上司に報告します。筆者の後は上司に「バトンタッチ」するわけです。

さらに、自分に来た時も誰かから渡された「バトン」であることが多いのではないでしょうか。筆者の場合も、行っていた仕事は各社員から送られたデータでした。

このルートが見えていないと、「次へどうやってバトンを渡すか=次の方がいかにスムーズに行えるか」ということが見えません。そのため、とても苦労した記憶があります。

自分の許容量や業務の所要時間を把握していない

ひとつひとつの業務を行うのに、自分がどれだけの時間を要しているか。自分が一度にどれだけの業務を行えるか。この業務の許容量を把握していませんでした。

自分に適切な業務量でなければ、パフォーマンスは落ちます。周囲の信頼を何とかして得ようと、筆者も仕事を抱え込み過ぎていたかもしれません。

全体像が見えず、不安が強くなっている

筆者の特徴に、「見通しの立たないもの、曖昧なものに対しての判断が苦手」というものがあります。この影響で、仕事を受ける時点で見えていない部分があると不安になり、うまく進められないことがありました。関わっている業務の全てが見えないと、気になってしまいスムーズに進められませんでした。

このような問題から、優先順位を決めることに苦労しました。これらの問題を解決し、優先順位を決めていくために取り組んだことを紹介します。

参考:発達障害者のための問題解決技能トレーニング – 障害者職業総合センター

【体験談】仕事で優先順位を決めるために工夫したこと

業務を進める、自分なりの基準を作った

【どれも大切なように見えて、決められない】に対して
それぞれ業務を依頼する方、今ある業務すべてが大切です。これに対して迷っていても仕方がありません。そのために、自分なりの基準を作って取り組みました。

【筆者が決めた優先順位:事務作業・書類チェックの場合】※上から順に重要なもの(先に行うもの)
1.自分のいる部署の外の方が関わるもの
2.自分のいるフロアの外の方が関わるもの
3.フロアの中の他の課・係の方が関わるもの
4.自分のいる課・係の方が関わるもの
5.自分一人で終わらせられるもの
このように「基準」を作りました。関わる方が広範囲にわたる方に関わるものを優先にしています。

範囲が広くなればなるほど、時間の制約なども関わってきます。そのようなことも考慮して工夫した結果でした。これに、臨時で飛び込んできた仕事ですぐに行えるときはすぐに終わらせる、時間のかかるものは期間を伝えて待ってもらう。という形を取りました。

基準があると、応用動作もしやすくなりました。

業務の一連の流れ(フロー)を上司に確認した

【業務ごと、自分の前後のルートを把握していないが故に、全体像が見えず、不安が強くなっている】に対して
業務の全体像が見えないことで、「不安が高まる」「効率的に行えない」ということがありました。このようなことから、上司に自分の担当業務の一連の流れを確認することにしました。

フローを知ることで「業務のゴール」が見え、安心しました。さらにそこに「いかにして効率的に進められるか」ということも見えてきました。

自分の状態を記録しながら業務を行った

【自分の許容量や業務の所要時間を把握していない】に対して
2か所目の職場では、自分の業務状況をずっと記録し続けました。これにより、自分の業務ペースや許容量が見えてきました。どれだけ自分ができるのかを客観的に見ることができるので、自信にもなりました。

参考:発達障害を理解する:発達障害情報・支援センター(国立障害者リハビリテーションセンター)

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まとめ

いかがでしたでしょうか。

仕事をスムーズに行えず、ミスばかりしていることもありました。しかし、毎日のちょっとした工夫で解決することもあります。この記事でもって、あなたの悩みを解決するきっかけになりましたら幸いです。

【筆者紹介】
30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。過去に2か所の職場を経験。のち就労移行支援事業所に一年間通い、自分の強みを活かす就職が実現している。

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