正社員より業務量が多いのに、働き方が評価されない
勤務形態による不平等を感じる
障害者雇用促進法の改正などの影響で、障害者雇用で働く方が増えました。企業が障害を持つ方に対して合理的配慮を行う義務もあり、少しずつ働き続ける環境ができ始めています。
しかしながら障害者雇用の多くは、パートタイムや派遣社員などの「非正規雇用」であるケースが多いです。これは本人の体力面・健康面の問題などの都合がつきやすいなどの事情によるものですが、正社員になるチャンスが少ないという問題があります。
これにより、正社員との待遇の「差」に不満を持っている方もいるのではないでしょうか。
正社員より頑張っているのに、評価が低い
障害者雇用の中には、自分の特性や強みを活かして活躍している方もいるでしょう。そういった技術や知識を活かして、
○正社員の後輩に仕事を教える
○正社員の仕事をカバーしている、後輩の正社員に助言をしている
○業務指示の段階で正社員より重要な仕事をしているなど
このような働きぶりを見せている方もいるのではないでしょうか。特にパートタイムは人事異動が少ないケースが多いため、長い業務経験での知識を活かしやすいこともあります。
それにもかかわらず、「正社員でない」という理由だけで「賃金が低い」「福利厚生などのケアがない」という不平等を感じている方もいるでしょう。
このような「勤務形態による不平等」を解消するために生まれたのが「同一労働同一賃金制度」なのです。
同一労働同一賃金制度とは?
同一労働同一賃金制度とは
「同一労働同一賃金」とは、同じ仕事に従事する者はみな、同一水準の賃金で支払われるべきという考え方です。
性別はもちろん雇用形態(フルタイム、パートタイム、派遣社員など)、人種や国籍などに関係なく「労働の種類と量に基づいて賃金を支払う」賃金政策になります。
これまで以上に、「頑張り」を中心に評価していこうという流れなのです。
働き方改革関連法に基づいて誕生した
働き方の多様化が進む現代社会に対応していくため、日本でも「働き方改革関連法」が誕生しました。同一労働同一賃金にあっても、この改革に関する取り組みの一つです。
参照:働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(平成30年法律第71号)の概要
参照:同一労働同一賃金特集ページ |厚生労働省
参照:同一労働同一賃金 | 働き方改革支援のご案内 | 厚生労働省
では、この制度の対象となる雇用形態を整理してみましょう。
同一労働同一賃金の対象者は?
正社員
正社員(フルタイム)も対象です。非正規雇用と比較して同じ労働内容で優遇されるということはなくなります。
もし非正規雇用の方と同じ業務内容であれば、「責任者などの役職やポジションを設ける」「さらに別の業務も受け持つ」などで「違い」を作るケースが出てくるかもしれません。
パートタイム・派遣社員などの非正規雇用社員
「正社員と全く同じ仕事をしているのに、雇用形態が違うだけで賃金差がある」「正社員を指導している立場にあるのに、自分の方が給与が少ない」などの待遇の不平等がなくなります。
また、このような待遇に関して不明な点がある場合、企業に説明を依頼することもできます。その他厚生年金などの福利厚生などの待遇も平等になるように取組みが進められているのです。
参照:「正社員」と「パートタイム・有期雇用労働者」 – 厚生労働省
参照:派遣労働者の同一労働同一賃金について – 厚生労働省
さて、障害者雇用のパートタイムや派遣社員として働いている方には、どのような影響があるのでしょうか。
制度が施行されると、障害者雇用の働き方はどう変わるの?
成果を出していれば、平等に評価をされる
これまでは長期休暇等もなく働き続け、十分な成果を出していても「パート」「派遣」という理由だけで
・賃金が上がらなかった
・正社員登用など、出世できなかった
・その他差別を受けた
上記のような待遇を受けてきたかもしれません。しかし障害に対して双方の理解があり、強みを十分に活かすことができれば、評価をされるようになるのです。
ですから今勤務している会社で将来的には「責任者として働きたい」「正社員として活躍したい」という目標が達成されやすくなるでしょう。
待遇について分からない点は相談などの際に聞くことができる
また、これまではこのような不平等さを感じても、どこか訴えにくい、パートである自分には発言権がない…など考えていたかもしれません。
しかし同一労働同一賃金制度が進めば、待遇に疑問を感じたときは職場に説明を依頼することができます。
これにより、「職場の意向や考え方がわからない」ことでの不安も解消されやすくなります。
働き方次第で、経済的自立ができる可能性が高くなる
賃金に関しても平等であることがこの制度のポイントです。しっかりと業務を行い、職場が求める成果を出せていれば、それに応じた賃金が得られやすくなるのです。
これにより、経済的自立ができる可能性が高くなるのです。給料アップに必要なスキルとして、下記の関連記事も参考にしてみてください。
関連記事:発達障害者枠でも自立できる!給料アップに必要なスキルとは?
業務内容や目的について、より理解する必要がある
注意する事項として、自分自身も担当業務に就いてより理解を深める必要があります。
・今行っている業務が、周囲にどのような影響を与えている仕事なのか
・同じ業務を一緒に行っている社員は、どのような業務をしているのか
・最終的に自分に求められている「業務目的」は、どのようなことなのか
上記のような「評価基準」への理解を深めていく必要があるでしょう。
より職場で活躍するために、視野を広げてみる必要があるかもしれません。不安を感じている場合は、一度上司に相談してみましょう。
より評価される仕事をするために、自分の活かし方を知ろう
今回は、障害者雇用でパート・派遣社員として働いている方にも平等に待遇を受けられる制度について説明致しました。
しかし、どうすれば「正社員と同等の仕事ができるの?」「何をもって評価の対象になるの?」と疑問に感じた方もいるのではないでしょうか。
体調を崩すことなく職場に定着し、かつ自分の持つ力を発揮するためには、自分の特性を活かせる環境で働くことで達成できるかもしれません。
そのヒントとなるのが「カスタマイズ就業」です。
カスタマイズ就業は、従来の「苦手なものを克服していく」福祉的要素の強い働き方ではありません。本来持っている強みを活かして活躍していくというスタイルなのです。ですから、頑張りがダイレクトに企業の力になりやすいのです。
Saladでも、このカスタマイズ就業を応援しています。また、自分の長所を活かすチャンスとして、非公開求人をこちらで取り扱っております。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
パート社員や派遣社員は、正社員とは異なり人事異動などの移り変わりが少ないため、同じ業務を長く行えるケースが多いです。そのため、経験を活かして働いているのにいつまでも賃金が上がらない…などで不満を抱きながらも我慢して出勤している方もいるのではないでしょうか。
同一労働同一賃金制度は、そのような方の頑張りを認めるための制度でもあります。今後も働き方のニーズやスタイルによって制度も変化していくかもしれません。
「働き方改革」の今後に注目していきましょう。