Photoshopで人気カメラアプリを再現するには
2022年現在、ほとんどの個人や企業がSNSにスマートフォンで撮影した画像を載せています。
2008年のApp Storeのサービス開始から13年経ち、すぐれた機能を持つアプリが増えて「もうPhotoshopの使い方を覚える必要はない?」と喜んでいる人も「勉強したのに無駄になってしまうかもしれない」と残念に思う人もいるかもしれません。
アプリごとの特長とPhotoshopの機能を比較していきましょう。
初級:Instasize・ぼかし加工・LINEカメラ
Instasize
シンプルな画像サイズの変更、切り抜きを行えます(有料版にはさらにさまざまな画像加工の機能があります)。
無料版の機能はリサイズ(サイズ変更)とクロップ(切り抜き)とあります。
動画のリサイズ(クロップ)もできます。
スクエア(正方形)の画像の投稿が行えて動作も軽い便利なアプリなので、Instagramへの投稿にこのアプリを使っている人も多いのではないでしょうか。
参考:Instasize | Photo Editor & Video Editing App for Creatives(開発元)
ぼかし加工
シンプルな画像のぼかしが行えます(有料版は広告が非表示になります)。
こちらが元画像です。
便利なのは、画像の一部をぼかすことができる点です。
タッチした部分(赤枠内の部分)をぼかすことができるので写真に写ってしまった関係ない人の顔や個人情報(看板の店名や電話番号など)を消すのに便利です。
また、ぼかし方やぼかしのきめの細かさを簡単に選ぶことができるのもこのアプリのすぐれた点です。
ノーマル・ビューティがいわゆる通常のぼかし(Photoshopbの「フィルター > ぼかし > ぼかし」)にあたる機能です。
ビューティーのほうがぼかしの強さが弱い(細かい)く、輪郭や元の色を残して表面を滑らかに修正可能です。
「モザイクS~L」、「ハニカムS~L」はぼかしの際にPhotoshopの「フィルター > ピクセレート > モザイク(水晶)」のような表現を行います。
「ドット」を選択するとPhotoshopの「フィルター > ピクセレート > カラーハーフトーン」のような表現を行います。
参考:「ぼかし加工-モザイク/美肌修正」をApp Storeで
参考:株式会社カレイドスコープ(開発元)
LINEカメラ
参考:LINEカメラ(開発元)
中級:Instagram・FOODIE
Instagram(インスタグラム)
自分のインスタグラムの投稿の魅力をアップする方法として、多くの経験者やショップが挙げていることの1つに投稿する写真の雰囲気を統一することがあります。
写真の色あい、加工に使用するフィルター(またはアプリ)、テーマ(何を載せるか)、写真の撮り方(構図や被写体のサイズなど)などを統一することで、そのアカウントで一貫して表現されていることに興味のある人からフォローやいいね、保存をしてもらうことができます。
参考:Instagramに写真を投稿するにはどうすればよいですか。 | Instagramヘルプセンター
参考:効果とフィルターの追加 | Instagramヘルプセンター
FOODIE(フーディー)
FOODIE(フーディー)はカメラアプリのSNOW(スノー)を提供する会社スノー(SNOW Corp.)が提供するフード専用カメラアプリです。
なにも加工をしていない状態でも料理がおいしそうに撮れます。便利ですね!
Photoshopで画像ファイルを開いた際、ファイル > ファイル情報またはAlt + Ctrl + Shift + Iでファイル情報を確認することができます。
カメラデータのタブをクリックするとカメラの情報のところにアプリ名が表示されています。
どのカメラ(アプリ)で撮影した画像かわからなくなったときはこちらで確認できます。
FOODIEのように食べ物や料理の写真をおいしそうに加工するにはどうすればよいのでしょうか?
おいしそうな料理を撮ったのにこんな画像になってしまうことはありませんか?
これは室内の照明 – 蛍光灯やLEDなどの青みの強い光の影響で、色がおいしそうに見えない場合です。
一般的な食べ物でしたら、彩度や画像の明るさとコントラストを、レベル補正やトーンカーブの機能を使って修正します。
ブルー・グリーン系(ブルー・シアン・グリーンなど)の色味を抑え、レッド・イエロー系の色味を強くすることで食べ物が新鮮でおいしそうに見えます。
このような感じにすると、よりおいしそうになったかと思います。
また、こちらはスマートフォンのカメラ(広角ぎみ)で撮ったために映った物がゆがんで見える場合です。
この場合はガイドや変形ツールを利用して画像のゆがみを調整し、写りこんだ余計なもの(たとえば写真右上の調味料の瓶など)も消すと、投稿一覧ページでも見栄えの良い画像になります。
参考:Foodie 食べ物の撮影に特化したカメラアプリ(開発元)
上級:VSCO
VSCO
VSCOは豊富な機能を持ち、加工後も画質の劣化が少ないアプリです。
こちらはiPhoneのカメラで撮影しVSCOで加工した画像です。
店舗にある消火栓のフォントが気に入ったのでクールで未来的な雰囲気に加工してみました。
Photoshopで同様の加工を行う場合は
・編集 > 変形 > 多方向に伸縮またはワープ(画像のゆがみの補正)
・調整レイヤーによる色相・彩度、コントラスト、トーンカーブ(色合いの調整)の変更
などを行い、さらにノイズを加えるためのレイヤーを加えて、レイヤー効果や種類の変更を行うことになります。
加工する前の画像はこちらです。
ちなみにこの画像はiPhone端末の上辺を接地させて撮影しています。
自分で写真の撮影から行う場合、撮影のしかたを工夫すると完成した画像(加工後の写真)のクオリティに大きな違いが出るでしょう。
このような機能があるアプリなら「慣れればPhotoshopより早くイメージ通りに加工できるかも?」とメリットを感じます。
参考:VSCO(開発元)
超級:SODA
SODA(ソーダ)
ソーダはSNOWやFOODIEと同じスノー(SNOW Corp.)が提供するカメラアプリです。
このアプリは人物の画像の補正を行う機能が非常に豊富です。
誰もが見たことのあるような、このような加工ができるアプリがSNOWです。
SNOWの機能紹介ページより(Googleストア)
SODAはSNOWに比べてより自然な感じの加工ができます。
参考:SODA(開発元)
SNOWもSODAも平面的な画像の加工というより、ARの機能でカメラに写る人体を認識して描きこみを行っているため、Photoshopで再現するのは難易度が上がります – 3Dデータを扱うような専門性の高い知識と空間認識の能力が必要になります。
この技術はアプリSnapchatの「レンズ」とよばれる機能から大きく流行が始まった技術でTikTokやFacebook、Instagramと影響しあいながら成長しています。
新型コロナウィルス感染症の影響で打撃を受けたファッション・インテリアなどの販売の分野でもAR、VRを利用したサービスが注目されています。
参考:ZOZOSHOESにてadidasの人気シューズ計16型をAR試着できる期間限定コンテンツを展開 – 株式会社ZOZO(2021年09月14日)
参考:【バーチャルマーケット2021】この冬一番のVRイベントに参加しよう!開催期間:2021年12月4日~2021年12月19日(2021年12月19日)
ARは親しみやすくエンターテインメント性をもたせやすい要素が強く、ゲームやデジタルアートの分野とも親和性が高いため注目されている技術です。
もっと詳しく知りたい方はマーカーレス型ビジョンベースAR、ポケモン GOの仕組みや利用される技術について調べてみると参考になるでしょう。
番外編:WOMBO DREAM・VRoidモバイル
AIに絵を描かせるアプリ“Dream”
2021年12月、Twitter上では話題になったアプリWOMBO DREAMで生成された画像があふれていました。
たとえばBig Appleという2つの単語を入力するとこのような画像を生成します。
大きいリンゴ(Big Apple)とニューヨーク市(通称”The Big Apple”)の特長的な建造物や街並みを組み合わせた絵のような画像が生成されるということです。
ある程度の言葉の文脈も反映されるために、プログラミングの基礎の要領で生成される画像をコントロールして楽しむことができました。
「着物を着た日本の女性の肖像」
「鎧のサムライ」
このアプリで作った画像をもとにデジタルアートを作成して楽しんだ人もいたようです。
この結果をPhotoshopで再現するには膨大な量の過去のあらゆるジャンルの芸術作品の画像を、文化や芸術の知識をもとにコラージュしなければなりません。
言葉の文化的な意味と結びつけて、画像や映像などの大量の情報を処理することはAIの得意分野です。
人物3Dモデルをデザインして動かせる“VRoidモバイル”
WebサイトやSNSで人物の画像が使いたいときに、未だに多くの人がパブリックドメインの画像やインターネット上で提供されているフリー素材を利用しています。
なかなか伝えたいテーマや目的に合う写真や画像がないため、素材探しに時間をかけてしまうことが多いけれど、手軽に用意するのが難しいために似たような画像を使うWebサイトやSNSアカウントばかりになっている問題があります。
これも手軽に代わりの人物の画像を作成することができるようになってきています。
こちらはInstagramで利用した画像ですが、この人物はVroidモバイルで作成した3Dモデルの画像を加工したものです。
同じ3Dモデルの画像(VRoidモバイルの無料の機能のみで作成した画像)がこちらです。
アプリで上の画像の3Dモデルの髪型とメイクだけ変えたものがこちらです。
アプリ上の簡単な設定を変更するだけで、人物モデルの雰囲気は大きく変わります。
3Dモデルはゲームやアニメのデフォルメされた人物(キャラクター)の表現の印象が強いですが、このような手軽なアプリでも実際の人物のバランスに近い画像・ムービーが手軽に作成できるようになりました。
著作権や肖像権、人物モデルのもつイメージなどと関係なく人物像(キャラクター)を表現できる点が便利です。
3Dモデルのようなイメージを、カメラを利用せずにPhotoshopで一から再現するのは難しいですが、絵を描く技術が高い人なら、より自分の目的に適した画像を作成できるでしょう。
このアプリは大丈夫? – 安全について
めんどうがらずに確認し、自分で判断する習慣をつける
まずはAppleやGoogleの公式サイトの情報を確認しましょう。
また、信頼できるメディアからの情報も確認しましょう。
参考:5.法的事項 – App Store Reviewガイドライン – Apple Developer
参考:「Appプライバシーレポート」って何ですか? – いまさら聞けないiPhoneのなぜ | マイナビニュース?
参考:iPhoneアプリの“怪しい挙動”も一目瞭然? iOS 15の新機能「Appプライバシーレポート」の活用法|wired_jp
安全・防犯のための知識をもつこと
ほとんどのブラウザや端末には翻訳の機能がついているため、めんどうくさがらなければ、大抵の情報は確認できます。
明らかに不審な点があったり、大事な情報がはっきりと書かれていなかったりしたら、自分で「使うのをやめよう」と判断できるのではないでしょうか?
生活する上でのすべての困りごとに関して当てはまることですが、いまは「親しい人や有名な人が大丈夫と言ったから安全」ではもう対応しきれていないという認識が定着してきていると思います。
日ごろから自分の判断に責任を持つ行動ができていれば、納得できるラインを見つけられるはずです。
参考:デジタル・プラットフォームに関するトラブル(テーマ別特集)|国民生活センター
参考:インターネットをめぐる消費者トラブル | 消費者庁
仕事・働き方に悩んでいたら。『Salad』が強みを活かす就職のサポートをします
まとめ
好奇心をもっていろいろなものを試してみるメリット
私は画像を加工するアプリが好きなので、話題になったものはできるだけ試すのですが、それぞれのアプリが機能が豊富で高性能なことに驚きます。
単体の利用だけでなく、実際に絵を描いたり写真を加工したりする際の参考になる機能(アプリ、技術)が多いのではないかと感じています。
これらのアプリケーションの便利な機能はすでにさまざまな分野のプロフェッショナルをささえる技術になっています。
PhotoshopやIllustratorがデザイナーやカメラマン、ClipStudioがコミックアートやイラストレーションのプロ、動画を作る人にはまた別の様々なアプリケーションが利用されているといった状況です。
さまざまなアプリに重複する機能や、PhotoshopやIllustratorなどの以前からあるアプリケーションと同じ機能も多いので、基本的な機能を備えていて多くの人に利用されているアプリケーションの使い方を知っていれば今後も役に立つことはしばらくは変わらないでしょう。
仕事のチャンスは増えている?
便利なアプリケーションやスマートフォンなどのハードウェアの登場で、デジタル機器を利用するデザインやアートの分野では、必ずしも”手描きの絵の技術が高い”ことだけが評価されるわけではない状況になってきています。
むしろIT・Web系の技術を生かした仕事をするチャンスは増えているでしょう。
サラダ編集部はIT・Web系の仕事にかかわってみたい方、得意なことや好きなことを仕事にしたい熱意のある方を応援しています。
障害のある方向けのIT・Web系の非公開求人情報や、IT・Web系の技術を学べる就労移行支援事業所の検索ページなどを役立てていただけると幸いです。
お問い合わせやご意見がある方はこちらからどうぞ。お待ちしています。