パニック障害の原因は個人によりさまざまなケースがある
パニック障害を抱えながら働く方がいる
「パニック障害」とは、突然の動悸やめまい、発汗、吐き気などの発作症状に見舞われ、生活に支障をきたすほどの状態に陥る精神障害です。症状がひどくなると、「このまま死んでしまうのではないか」という不安感に襲われます。
原因は当事者の方によってさまざまです。社会的要因や心理的要因、さらに最近では脳機能の異常による身体的要因も関係していると考えられています。
このような障害に苦しみながらも、懸命に働いている方がいます。あなたの職場にも、パニック障害を抱えながら仕事をしている方がいるかも知れません。
参考:パニック障害・不安障害|疾患の詳細|専門的な情報|メンタルヘルス|厚生労働省
参考:パニック障害・不安障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省
突然苦しそうな姿を見ても、対処法が分からない
パニック障害を持つ方は、必ずしも見た目で分かるということはありません。むしろ、普段は他の方と同じように仕事をしている方もいます。しかし、当事者のパニックになる「原因」に触れてしまうと、突然状態が急変します。
このような場面にあなたが直面したときに、どのように対応すればよいのでしょうか?
今回は、このような事態に適切な対応ができるようになるために、
〇パニックを起こした方にどんな対応をすればよいか・どんな言葉をかけるべきか
〇パニックを起こした方にしてはいけない対応・言ってはいけない言葉
をご紹介します。
パニック障害の症状はさまざまなものがあります。見た目で分かりやすいものもありますが、当事者の様子をよく見ないと分からない症状もあります。
まず、職場でパニックになっている可能性が高い状態をご紹介します。
【要対応】職場で見られやすいパニック障害の症状
顔色が悪く、不自然に汗をかいている
特に暑くもないのにものすごい汗をかいている場合や、血色を失ったように顔色が悪い場合があります。
体が震えている、またはじっとしていられなくなる
突然体が震えている場合、手や肩など一部が震えている場合があります。不安と興奮状態が高まり、じっとしていられないケースもあります。
過呼吸状態、呼吸が荒くなっている
激しい運動したように呼吸が荒いことや、何かに追い詰められているかのような切迫感があります。
突然うつむく、頭を抱えるなど苦しそうにしている
突然うつむくことや頭を抱えるなど、苦しそうにしている場合があります。
このような状態の方がいた場合、パニックに苦しんでいる可能性があります。さて、どのように対応してあげるべきなのでしょうか。
パニック障害を持つ方への対応、かける言葉
1)呼吸を落ち着かせてあげる
まずは呼吸を落ち着かせてあげましょう。一度に収めようとするのではなく、徐々にパニックをフェードアウトさせていく感覚で寄り添ってあげることが大切です。
2)パニックで死ぬことは有り得ないと伝える
当事者の方は、「このパニックで死んでしまうかもしれない!」という強い不安に襲われています。しかし、パニック障害の多くは、短時間で収まります。「パニックで死ぬことはない」と言葉をかけることで、当事者の方が安心します。
3)いったん、パニックになる原因から遠ざけてあげる
パニックになる原因が明確な場合、一時的に原因から遠ざけてあげましょう。
【例】
当事者にとって不快な音を聞いてしまいパニックになったようだ。いったん別のフロアに移動して回復を待つ。など
このような事態を早期に対応できるために、普段から当事者の方が「どんな原因でパニックになるのか」を確認しておきましょう。場合によっては、パニックの原因を起こさないようにできる可能性もあります。
4)パニックは自然に収まるものと伝え、当事者のペースで回復を待つ
当事者の方は「いつ終わるか分からない」状態から「死んでしまうかも」という考えに至りやすいです。
ほとんどのパニックは、短時間で自然に収まります。「自然に収まる」旨を伝えてあげましょう。それだけでも当事者の方が安心できます。
【要注意】パニック障害の方にしてはいけない対応・言葉
1)気のせい、気にしすぎなど、当事者の方を否定してしまう
パニック障害は「気持ちの問題」とは言い切れません。社会的要因や脳の機能の問題など、様々な要因があります。
「パニックなんて気のせいだ」「パニックなんて君が気にしなければ済むものだ」など、当事者の方を否定するような言葉はかけてはいけません。
このような言葉から、「あなたには理解されない」と当事者の方が感じてしまうとしましょう。以降、「あなたそのもの」がパニックの原因になるケースもあります。あなたと顔を合わすだけでパニックになる可能性があるということです。
そのため、当事者の方が安心できるよう、苦しみに寄り添ってあげることが大切です。
2)対処したのち、収まる前に当事者ひとりにさせる
あらかじめ当事者のパニックの原因が分かっている場合、原因を解消させたあとにひとりにさせるケースがあります。
「もう原因はなくなったから、落ち着いたら戻ってきて」のように、回復を待たずに一人にさせることは危険です。当事者の方をひとりにしてしまうと、孤独に襲われパニックがひどくなる可能性があります。収まるまで、寄り添ってあげることが大切です。
ただ、あなたの仕事が滞ってしまうと弊害も出てしまいますので、症状が長引くようであれば救急車を呼ぶなどの対応を行ってもよいかと思います。
3)強引にパニックを止めようとする
「時間がないから」「早く治してあげたい」などの理由で、当事者の方を無視して強引にパニックを収めようとしてはいけません。
この行為も先ほどお話しした「当事者を否定する」行為になります。症状が悪化するおそれがありますので、自然に収まるのを一緒に待ってあげることが大切です。
4)普段から、当事者に抑制させようと促す
パニック障害を改善させようと、症状を抑えるように促してはいけません。当事者の方は「パニックになってはいけない」と意識することで、さらにパニックになりやすくなります。
「改善させるために何かアドバイスしたい」という好意のつもりで言っていても、逆に相手を追い詰めてしまいます。
まとめ
【仲間がパニックになったら、パニック障害の原因を緩和できる環境に移動させてみる】
いかがでしたでしょうか。
これまで普通に仕事をしていた方が、突然パニックになったとしましょう。あなたがパニック障害を知っていたとしても、驚き、動揺してしまうと思います。それぐらい、パニックは突然にやってきます。そのため、日ごろから職場の方で対応法などを共有して、冷静に対応できるように準備しておきましょう。できる限り複数の方で対応してあげる環境があると、当事者の方も安心できます。