就労移行支援と就労継続支援A型・B型の違いとは?ポイントを解説

就労移行支援、就労継続支援を知っていますか

就労移行支援で訓練する様子

「就労移行支援」「就労継続支援」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?どちらも、障害者総合支援法に基づいて定められている、障害をお持ちの方が社会で働くための支援をおこなう福祉サービスです。この記事では、

就労移行支援と就労継続支援(A型・B型)の違い

について、障害をお持ちの方の視点から「雇用契約」「利用期間」「給料(工賃)」に整理してご紹介します。

参考:障害者総合支援法が施行されました |厚生労働省

就労移行支援とは?

就労移行支援で訓練し就職した人たち

就労移行支援は、一般企業への就職を希望する方に向けて、働くうえでのスキルや就職サポートの提供、そして就職後の職場定着を支援する福祉サービスです。

単に就職サポートを受けられるだけではなく、個別の支援計画に基づいて、一人ひとりの障害特性への自己理解を深めるプログラムやストレス対処を身につけるグループワークなどに参加できることが特徴です。プログラムの内容は事業所によって様々なので、利用を開始する前に事業所の見学や体験に参加するのが一般的です。

民間企業やNPO法人によって運営されていますが、利用には市区町村の窓口で手続きをおこなう必要があります。事業所や市区町村によっては、障害者手帳をお持ちでない方も利用することができます。

参考:就労移行支援事業 |厚生労働省

就労継続支援とは?

就労継続支援で働く男性

就労継続支援は、一般企業への就職が現時点では困難な方に向けて、障害特性などに配慮された職場環境で働く機会を提供する福祉サービスです。

就職をめざしてトレーニングを受ける就労移行支援と比べて、就労継続支援を利用する場合、事業所そのものが「職場」となり、軽作業や事務作業に従事することとなります。就労継続支援には「A型」と「B型」が存在し、雇用契約の有無や給料(工賃)に差があります。

参考:・就労移行支援及び就労継続支援(A型・B型)における適切なサービス提供の推進について(◆平成28年03月30日障障発第330001号)

雇用契約を結ぶ「就労継続支援A型」

就労継続支援A型では、事業所と利用者が雇用契約を結び、利用者が実務に携わります。

A型事業所でおこなう実務には、例えば
・商品の梱包・発送業務
・清掃業務
・データ入力業務
・カフェでの接客業務
などがあり、一般企業よりも比較的短時間の就業時間が設定されていることが多いです。

雇用契約を結ばない「就労継続支援B型」

就労継続支援B型では、事業所と利用者のあいだに雇用契約は結ばれません。そのため就業時間が比較的自由に定められることや、利用者に大きな負荷のかからない業務が用意されている点が特徴です。

就労移行支援および就労継続支援A型には「原則として65歳未満」という利用の年齢制限がありますが、B型事業所には年齢制限がありません。

就労移行支援と就労継続支援の利用料金は?

障害福祉サービスについてアドバイスする男性

就労移行支援・就労継続支援ともに、利用日数と前年の所得に応じて利用料金が発生します。

生活保護を受給している世帯や市町村民税が非課税の世帯の場合、負担する月額利用料金の上限が「0円」に設定されているため、利用料金の自己負担は必要ありません。前年に所得がある方にも、段階に応じて「9,300円」「37,200円」という上限が設定されているため、利用日数が多くても最大で37,200円の自己負担となります(自己負担額0円で利用されている方が多いです。)

参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」

就労移行支援と就労継続支援を利用できる期間は?

障害を持つ方が活躍する社会のイメージ

福祉サービスである就労移行支援と就労継続支援には利用期間のちがいがあります。

就労移行支援は原則として2年間

就労移行支援の場合は、利用期間が原則として2年間と定められており、利用者は2年以内に一般企業へ就職する必要があります。

期間が限られているため、例えば精神疾患の方が利用を開始する際には、ある程度症状が回復してからのほうが計画的な利用ができるでしょう。

就労継続支援には利用期間の定めがない

就労継続支援の場合には、A型・B型ともに利用期間の定めがありません。そのため、工賃という形で収入を得ながら、一人ひとりのペースで比較的長期間をかけて一般企業への就職をめざすことも可能です。

将来的に一般企業への就職を望む方の場合は、利用期限がない分、就労継続支援はあくまでも一般企業へのステップとして位置づけ、日々の活動に取り組む必要があります。

給料(工賃)があるのは就労継続支援A型・B型

障害を持ちながら働く女性

就労移行支援は就職するために必要な知識やスキルを身につける場であるため給料は支払われません(一部の事業所では例外あり)が、就労継続支援事業所は職場であるため、給料(工賃)が支払われます。

就労継続支援A型・B型の平均月収

就労継続支援A型では雇用契約を結ぶため、基本的には各都道府県の最低賃金以上の給料が支払われることとなります(平成29年度の平均月額は74,085円)。

B型事業所はA型事業所と比べて工賃の平均月額は低め(平成29年度の平均月額は15,603円)ですが、年齢制限もなく事業所数もA型事業所より多いため、より幅広い方にとって利用の選択肢となり得る福祉サービスです。

就労継続支援事業所A型、B型の違いについてはこちらの記事「就労継続支援とは。A型・B型事業所との違い、利用のメリットを紹介」でも解説していますので、ぜひチェックしてみてください。

参考:厚生労働省「平成29年度平均工賃(賃金)月額の実績について」

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まとめ

豊かな社会へ
いかがでしたでしょうか。

就労移行支援と就労継続支援A型・B型、合計3種類の福祉サービスのちがいを、「雇用契約」「利用期間」「給料(工賃)」というポイントから解説しました。

これらの福祉サービスをこれから利用しようと検討されている方にとっては、長期的な視野で利用するサービスを選ぶ大切さをお伝えします。

「工賃が出るから就労継続支援を利用しよう」「体調は悪いけど一刻も早く働きたいから就労移行支援を利用しよう」と、一部のメリットや短期的な目標をもとに事業所を選ぶのではなく、「長く安定して働き続けるためには、どのサービスを選べばよいだろうか」という長期的な視野に基づいて選択することをおすすめします。

そのほうが、何度も体調を崩して退職を繰り返すことを防ぎ、自分らしい働き方を実現できる可能性が高まるためです。一人では判断が難しい部分もあるため、ご家族や市区町村の窓口、相談支援事業所などに相談されることも検討してみてください。

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