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目次

1.中小企業にとって、障害者雇用の義務とは
2.法律違反となる基準とは
3.いつから行なわないといけないの?
4.人数はどのくらい雇用すべき?
5.罰則や罰金もあるって聞いたけど?
6.障害者雇用が企業にもたらすメリットがある
7.具体的に、自社に合う人を採用するためにどうすればいい?
8.採用し入社する前に、行うこと
9.入社後に、行うこと
10.助成金申請
11.無料求人に興味ある方はこちらから!
12.お客様の声

中小企業にとって、障害者雇用の義務とは

厚生労働省が管轄する障害者雇用率制度において、雇用義務の要件は以下です。

従業員数が、45.5人以上となった法人は、障害者手帳を有する従業員を最低でも1人以上は雇わないといけません。民間企業の法定雇用率は2019年4月現在で2.2%です。法定雇用率は、障害者雇用促進法43条第1項で定められています。

義務として、障害者の雇用を行わなければならないと定められてはいます。ただ、企業にとって障害者雇用は方法によっては「面倒さ」よりも「メリット」が上回る可能性があります。

参照:厚生労働省(障害者の雇用)

法律違反となる基準とは

2点あります。

◎法定雇用率を満たしていない場合

従業員数に対し、下記の表を基に算出した「障害者手帳を有する従業員」の雇用率を満たしていないことは、違反となってしまいます。この雇用率に含まれるためには、「障害者手帳」を有する必要があり、障害があると病院で診断を受けた方で「障害者手帳」を持っていない方は、障害者雇用とはなりません。

◎障害者に対し、差別的な扱いを行なっている場合

雇用主・事業主は、障害を有する方と、そうでない方との区別なく、均等に機会を与えばければならないとしています。採用を行う際にも、障害者の申し出と特性によって適切な処置を行う(合理的配慮)義務があるとされています。

違反となる細かな基準が定められているわけではないようですが、障害者雇用において、
・人事制度で明確に区別し、キャリアパスに限界を設ける決まりとする
・採用活動において、特性配慮や申し出を受け付けないと明言する。または、文書として公開する。
これらの行為を行うと、違反となる可能性がありますので注意しましょう。

参考:合理的配慮を行うには、カスタマイズ就業という方法がある

いつから行なわないといけないの?

従業員数が45.5人を超えた年度から障害者雇用の義務が発生します。採用活動を行ったからといって、すぐに自社に合う候補者を採用できるとは限りません。義務が発生することが見込めているのであれば、その時点から採用活動を開始すべきでしょう。

人数はどのくらい雇用すべき?

企業の中期経営計画のなかの、人員計画から従業員数の拡大のペースを把握し、法定雇用率を満たすための障害者雇用数を逆算してください。

罰則や罰金もあるって聞いたけど?

障害者雇用納付金制度があります。

この制度は、罰則や罰金を意味するものではなく、障害者を多く雇用する企業の経済的な負担を軽減して、企業間の負担の公平の実現、ひいては国内全体の障害者雇用の水準向上を目的としています。

納付義務は、
・法定雇用率を達成できていない、常用従業員数100名以上の企業
が対象となっています。45.5人から100人未満の企業は、障害者雇用を行う努力義務が発生しており、納付義務は発生していない状態です。

納付金は、
・法定雇用率に満たない人数1名ごとに、月5万円
となっています。

この対象企業から納付金が徴収され、法定雇用率を達成している企業に、調整金や報奨金が支払われる仕組みです。

法定雇用率を満たすことは、最低限達成すべき

以下に、メリットとデメリットを記載致しますが、障害者と呼ばれる方の中にも優秀な方がいます。50名近く従業員を抱える企業であれば、障害者を有効活用できる役割は必ず存在します。法定雇用率を満たすことは、様々な観点から必ず達成しておくべきことだと言えます。

障害者雇用が企業にもたらすメリットがある

1)組織強化、生産性向上

組織の生産性の向上が実現できます。

意外に思われるかもしれませんが、障害を持つ方を雇用すると組織全体の生産性を向上させることができます。強みを活かし弱みを工夫する業務設計を真剣に捉える契機となり、それぞれの強みにシナジーを効かせる組織構造に成長するきっかけとなりえます。

具体的には、カスタマイズ就業という方法があり、この手段を障害者雇用以外にも応用させるなどし組織の生産性向上に昇華することができます。

2)企業ブランド(CSR)の強化

企業にとって、ブランド価値の向上は企業の継続的成長の生命線とも言えます。ブランディングとは、「顧客:潜在層含む」と「企業に所属する従業員」が企業に対し実感する価値を高め、ブランドに対する感情移入の度合いを高めることです。ブランディングを行なっていくことで、ブランド価値が向上し、企業が継続して成長していくことにつながっていきます。

企業のブランドは、企業が有するリソース(商材や資産)を活用し、「よりよい社会の姿」いわゆるビジョンに共感する人々を増やしていくことで、価値が高まります。それだけでなく、認知が確固たるものとなりビジネスを行いやすくなります。

CSR(corporate social responsibility)という言葉を、日本語訳すると、「企業の社会的責任」となります。貴社の企業ビジョンは、企業の社会的責任を成し得るものでしょうか。もしそうであるならば、人材の活用において「障害を有する方」の活躍の場の創出は、ビジョンの実現に大きく寄与するものであると同時に、ブランディングと上手く組み合わせていくことで、よりビジネスを行いやすい状態を作ることができます。

3)商圏の拡大

貴社のビジネスにおいて、対象となる顧客ターゲットのなかに「障害を有する方」が含まれている可能性は、実は非常に高いです。

障害者手帳を有する方は、平成28年度の調査において約930万人となっており、年々の調査で増えています。平成31年度の日本の人口は約1億2600万人ですので、日本人口における13%は障害者手帳を有していることになります。また、障害を持つと診断された方のうち障害者手帳を取得しないと判断された方や、障害を有する方の家族は、この「930万人」に含まれないため、障害者を活かすというブランディングにおける商圏(マーケット)は実はかなり大きく広いといえます。

参照:内閣府 調査資料
参照:総務省 統計局 人口推計

具体的に、自社に合う人を採用するためにどうすればいい?

大きく6つあります。

1)ハローワーク

最もオーソドックスな方法です。

メリットとして、無料であることと、多くの就労希望者が利用していること、専門の支援員が在籍していることが挙げられます。

デメリットとして、条件(給料や勤務時間)マッチングが起こりやすく社風や人物面でのミスマッチとなりやすいこと、応募時に必ず対応(採用対象者でなくとも)しなければならなく業務負荷が高まること、人材採用・活用ノウハウを自社で貯められている企業でないと障害者の適切な役割創出が難しいこと、応募を待つしかなく直接アプローチする手段がないことなどが挙げられます。

2)求人広告媒体

求人広告会社に、広告掲載料を支払い応募を集める方法です。

メリットとして、障害者専門の求人広告会社であれば、広く応募を募ることが可能、ということが挙げられます。

デメリットとして、採用できなかったとしてもコストがかかることと、応募を待つしかなく直接アプローチする手段がないこと、人材採用・活用ノウハウを自社で貯められている企業でないと障害者の適切な役割創出が難しいことなどが挙げられます。

3)人材紹介会社

人材紹介会社に、候補者を紹介してもらう方法です。

メリットとして、条件(給料や勤務時間)マッチングではない社風や人物面での適性をしっかり測ってくれること、成功報酬型で採用できなかった時にはコストが発生しないということが挙げられます。

デメリットとして、他の手段に比べて報酬がとても高いことが挙げられます。

4)自社サイト

自社サイトで応募を募る方法です。

メリットは、企業理念や企業ビジョンに共感する候補者を集めやすくなること、コストが一切かからないことが挙げられます。

デメリットは、かなり知名度の高い会社でないと候補者集めが難しいことと、人材採用・活用ノウハウを自社で貯められている企業でないと障害者の適切な役割創出が難しいことが挙げられます。

5)就労移行支援事業所

就労移行支援事業所に通う利用者を採用する方法です。

メリットは、障害を有する方の役割創出に向けたアドバイスや定着支援を受けることができること、条件(給料や勤務時間)マッチングではない社風や人物面での適性をしっかり測ってくれること、コストが一切発生しないこと(稀に上記人材紹介事業を行なっている就労移行支援事業所があり、その場合はコストが発生)が挙げられます。

デメリットは、就労移行支援事業所により特徴がかなり異なるため、それぞれの事業所とコミュニケーションを深める必要があることが挙げられます。

6)ノウドー の活用

障害者採用における、新しい採用手段です。就労移行支援事業所の採用手段におけるデメリット(それぞれの特徴が掴みづらい)を解消し、求人を無料掲載(採用できても無料)できる機能があります。

紹介ページ

採用し入社する前に、行うこと

1)受け入れ準備、プランニング

受け入れ準備と役割創出のための業務設計プランニングが重要です。

◎所属することになる部門への説明、協力の取り付け
部門に対しては、戦力としての雇用となる業務設計プランニングを行なった上で説明できるとベストです。ただ、そこができないようであれば、産み出された価値は部門の評価とし、コストや業務負荷は経営側で引き受けるなどのインセンティブを用意する工夫が必要になってきます。

参考:業務設計について
参考:人事向けコラム

2)雇用形態について

障害者手帳を有する方の雇用において、正社員、契約社員、パート、どのような雇用形態においても必要な労働時間(最低でも週20時間以上)を満たせば、障害者雇用となります。

本人の希望を叶えられる勤務形態かつ、企業としてリスクを減らすこのとできる雇用形態をまずは選択すべきでしょう。

3)給与、労働時間の想定

前述した法定雇用率の達成に向け、労働時間については条件通知書に明記するようにしましょう。

それに伴い、選考時において、働くことのできる労働時間や本人の合理的配慮に伴う勤務内容により、提示する給与額が個別に異なる(雇用締結前)ことも説明しておく必要があります。就労希望者が求人票に示された労働条件や勤務内容を満たせない働き方を希望する一方で、その求人票に示された給与額が提示されないと不満というケースが頻発しています。

企業ブランドの維持という側面から、事業主側が就労希望者の知識不足を補完する動きをとりリスクヘッジを行なっていくことが重要です。この準備と運用は、顧問社労士か、障害者雇用における専門家に相談し進めていくと、それほど業務負荷がかかることではありません。

入社後に、行うこと

1)所属部門の受け入れ体制構築

受け入れ準備、業務設計のプランニングをおこなったのちに、「採用者の特性理解・要望の実現」を取り入れたうえで、実際の受け入れ体制を構築することが肝要です。

2)業務フォロー、人事制度設計

就労移行支援事業所の利用者を採用した場合に、定着支援を受けることができます。業務のフォローを行う際に、定着支援と連動して行うと効果的です。人事制度については、評価点に合わせて絶対評価の仕組みを整えるとさらに効果的です。

例(青線が健常者、緑線が障害者。それぞれの要素(例としてプログラミング等)に対する能力値の高低を表しています)

3)助成金申請

「特定求職者雇用開発助成金」という制度があります。

発達障害や難治性疾患の人をハローワーク経由で雇用し、配慮事項の報告などをした場合、大企業で最大100万円(助成期間は1年半)、中小企業で最大240万円(助成期間は3年)が分割して支給されます。

特定求職者雇用開発助成金の参考図

この制度には「特定就職困難者コース」や「障害者初回雇用コース」などもあります。それ以外の主な助成金は、次のとおりです。

◎トライアル雇用助成金:「お試し」の雇用をした場合。
◎障害者雇用安定助成金:(障害者職場定着支援コース)休暇や勤務時間をフレキシブルにしたり、支援員を置いたりするなど、障害特性に合わせて対応をした場合。他のコースも複数あり、詳細な要件が定められています。
◎障害者作業施設設置等助成金:障害特性に合わせて作業を行いやすいように施設を整えた場合。
◎障害者福祉施設設置等助成金:障害者が利用できるよう配慮して福利厚生施設を整備した場合。
参照:特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

また、東京都の所在地で雇用する場合、上記の国の助成金と併せて東京都の助成金も活用することができます。

東京都の助成金の支給金額表

国の助成金と、東京都の助成金を合算すると、最大で420万円となる可能性があります。
参照:東京都障害者安定雇用奨励金
参考:社員が障害者認定を受けた場合に、助成金の対象となるか

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求人を出して、就労移行支援事業所にPRする手段があります。
カスタマイズ就業を実施したい意欲を有することが掲載の条件です。

ご質問やご要望は、こちらからお願いします。

お客様の声

事例1

ノウドー経由で『C-WORK』を運営するシティコンピュータ株式会社に入社した障害を持つ方は、Tさんです。

2019年6月1日にTさんが入社され、半年経過した際の企業の方(笹山さん、大谷さん)、Tさんご本人に対するインタビュー内容です。