ワークエンゲージメント向上で、健康管理につながる
ワークエンゲージメントとは
ワークエンゲージメントとは、従業員の『精神面での健康度を示す概念』です。「熱意」「没頭」「活力」の3つの要素が充実しており、かつバランスが取れている状態をいいます。近年、健康的に仕事を行う上で、このような『ポジティブな精神状態』を保って進めることが注目されているのです。
向上させ健康管理を意識することで、パフォーマンスも維持できる
これまでは体の健康に関しては注目されていましたが、こころの健康に関しては『気合い』『気のせい』などの言葉で処理されつつありました。しかし、うつ病などの精神障害が問題として出てきている背景もあり、近年はメンタルヘルスについても考えられるようになってきています。
さらには心の健康も大切に考えることが、仕事のパフォーマンス向上・維持にもつながると考えられるようになったのです。その指標のひとつが「ワークエンゲージメント」です。
これまでに勤めた職場での心理状態を振り返ってみた
さて、発達障害を持ちうつ病を経験してきた筆者ですが、これまでに3か所の職場を経験してきています。そこで今回は、この経験してきた職場ごとに「ワークエンゲージメント」はどうであったのか検証してみました。
①最初の職場…うつ発症直前
②2か所目の職場…障害者雇用
③現在の職場…テレワーク
この3か所での筆者の「活力」「没頭」「熱意」はどうであったか。この記事で、自身のワークエンゲージメントを確かめる参考になりましたら幸いです。
【ワークエンゲージメント】過去の職場での心理状態
ワークエンゲージメントでの3つの要素がこれまでの職場ではどうだったのか。心理状態を振り返ってみました。それぞれ項目ごとに紹介していきます(※ワークエンゲージメントの要件を満たしているものを○、満たしていないものを×と表記します)。
3つの要素についての詳細はこちら「ワークエンゲージメントとは。プレゼンティーズム予防にもつながる!」の記事または下記の参考リンクをチェックしてみてください。
①最初の職場(うつ発症直前)
まずはおよそ10年間務めた職場の「ワークエンゲージメント」はどうであったのか振り返ってみました。今回は10年間の中から「うつ病発症直前の時期」に焦点を当てていきます。
<最初の職場>
○仕事内容
事務関係。従業員の勤務管理や経費計算などがメイン。さらには苦手な自動車運転の仕事もあった。
【活力は?】
・自動車運転が苦手で、常に不安の中で仕事をしていた。→×
・仕事を精力的に進めていたが、上司に認められないために困っていた→×
・その日に行う仕事に追われて、成長や挑戦するゆとりがなかった→×
【没頭は?】
・仕事に対する幸福感はなく、生活手段として割り切っていた→×
・うつ病発症直前は、5分間ですら長く感じていた→×
【熱意は?】
・職場の状況を改善したいという思いがあった→○
・上記の思いが直属の上司には通用せず、すれ違いが増えた→×
常に「自動車運転が苦手」という負い目がある、ネガティブな心理状況の中で仕事を続けていました。最終的には信頼していた上司から「あいつは嘘ばかりつく」と周囲の前で言われたことをきっかけに意欲が崩壊し、うつ病発症につながりました。今から考えれば、「バーンアウト症候群」だったかもしれません。
②2ヵ所めの職場(障害者雇用)
次に、リハビリの末に障害者雇用として再就職した民間企業での心理状態を検証してみました。
<2か所目の職場>
○仕事内容
事務関係。内部書類や経費関係のチェックがメイン。障害者雇用での配慮を受けながら仕事をしている。
【活力は?】
・『障害者の地位を上げたい』という使命感を持っていた→○
・業務の課題をクリアするための方法を模索し、実行していた→○
・上司や周囲から「あなたには追いつけない」と言われることがあった→×
・仕事への意識が切れないことがあったが、楽しみではなく心配からであった→×
【没頭は?】
・仕事には集中していたが、動機は上記の使命感によるもので幸福感とは違っていた→×
・周囲の負の感情などの影響で、業務に意識を向けきれないことがあった→×
【熱意は?】
・職場の状況を改善したいという思いがあった→○
・業務上の担当者からは理解が得られたが、周囲の方からは理解されなかった→×
・筆者と周囲で「障害者(雇用)はこうであるべきだ」という考え方が異なっていた→×
筆者は「障害者『だから』できること」を意識していましたが、周囲は「障害者『でも』できること」に重きを置いていました。今考えてみると、根本的な考え方が一つずれるだけで、3つの要素が大きく変化することを感じています。
当時は職場に認められるため「ギリギリの状態に追い込んで力を発揮させる」という危険な状態を続けていました。
③現在
最後に、現在のテレワークでのライター業務について心理状態を見ていきましょう。
<現在の職場>
○仕事内容
ライター。主に在宅で仕事を行う「テレワーク」の業務。障害を持つ方の生活に役立つよう記事作成をしている。
【活力は?】
・『障害者の地位を上げたい』という使命感がそのまま業務に活かせる→○
・業務課題や目的を常に相談し、双方理解の上で仕事を進めるようにしている→○
・自宅での勤務のため、周囲の負の感情などの影響がない→○
・仕事中周囲に誰もいないため、達成感を得るために時間や労力を要する→×
【没頭は?】
・自分の意思で強制的に没頭するという方法ではなく、自然体で集中できている→○
【熱意は?】
・自分が描いている目標を形にできる実感がある→○
・業務の相手の方との理解の上で業務を行える、またはその機会がある→○
・障害者(雇用)に関しての考え方が(企業のコンセプトと)合っている→○
今は生活の中に仕事が浸透している感覚のため、自然体に近い状態です。そのため無理なく仕事をし続けることができています。今から考えると、過去の職場では「力むこと=頑張ること」と誤解していたかもしれません。
ワークエンゲージメント向上の方法に、『カスタマイズ就業』を検討してみよう
なぜ現在の仕事は3つの要素の「○」が多いのか。それは「自分が本来持つスキルで仕事を行っている」ことが大きいです。自分にないものを身につけよう、高めようとするとどうしても労力がかかります。特に発達障害を持っていることで苦手なことに直面すると、スムーズにスキルアップできないリスクも高いです。
このようなリスクを最小限にし、ワークエンゲージメントを充実させる働き方に『カスタマイズ就業』があります。これはこれまで障害者雇用の働き方において主流であった「苦手を克服させて、障害を持たない方と同様のことができるようにしていく」というスタイルではありません。
カスタマイズ就業は、筆者のように「本来障害を持つ方が持っている長所や関心のあることを活かして働く」スタイルなのです。そのため、パフォーマンスやスキルの向上の際にも最小限の労力で行える可能性が出てきます。
Saladでは、このようなカスタマイズ就業のチャンスのある非公開求人も取り扱っております。
「もっと活躍したい!」「自分の長所を活かして仕事をしたい!」と感じたら、Salad編集部までご相談ください。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
ワークエンゲージメントは、自分の心理状態を具体的な言葉として職場に説明する際にも役立ちます。3つの要素の項目を参考に、自分の「心の健康」をチェックしてみましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。HSP傾向も強い。