チック症とトゥレット症とは
児童期から青年期に起きることが多い
チックとは本人の意思とは関係なく、突然体が動いたり声が出たりすることが一定期間続く障害で、通常児童期から青年期にみられます。
症状は大きく分けて動作性の症状(運動チック)と音声性の症状(音声チック)の2つに分けられます。さらに症状が継続する期間により1年以内に症状が消失する「一過性チック症」と1年以上持続する「慢性チック症」に分類され、多種類の運動チックと1種類以上の音声チックが1年以上続く場合は「トゥレット障害(トゥレット症候群)」とされます。
どのような症状が出るの?
運動チックには
- ・まばたき
- ・顔をしかめる
- ・口をゆがめる
- ・うなずく
- ・舌を突き出す
- ・首を左右に振る
- ・地団太を踏む
- ・飛び上がる
- ・肩をびくっとさせる
音声チックには
- ・せきばらい
- ・鼻や舌を鳴らす
- ・鼻をすする
- ・叫ぶ
- ・単語を繰り返す
- ・拍手
- ・ジャンプ
- ・四肢の屈伸
- ・その場ではふさわしくない言葉を繰り返す(汚言)
などの症状があります。
どのような問題があるの?
チック症・トゥレット症の当事者にとってつらいことは、症状は意に反して出るもので自分でコントロールできないということです。
症状が重いと外出することもままなりません。周囲の視線が気になって電車やバスに乗れなかったり、仕事をしたり買い物に行ったりするのが難しかったりと日常生活に大きな支障が出てしまいます。
参考:チック症、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群 | 小児期の発達障害や神経疾患の専門病院|瀬川記念小児神経学クリニック
参考:やりたくてやっているわけじゃない!大声が出たり、体が動いたり…意に反して起こるチック。正しい知識と理解で受け入れて〜NPO法人日本トゥレット協会 | JAMMIN(ジャミン)
大人のトゥレット症とは
大人になっても症状が続く場合もある
チック症の多くは成人までに治りますが、中には重症化し1年以上にわたり複数のチック症状が現れる場合があり、「トゥレット症」と診断されます。
トゥレット症の原因は解明されていませんが、脳の神経伝達がうまく働かないために起こると考えられており、服薬によって症状を緩和することはできますが完治はしないといわれています。
参考:意思とは無関係に大声や身体の動きが…好奇の眼差し、いじめに苦しむチック症・トゥレット症の当事者たち 【ABEMA TIMES】
参考【チック症・トゥレット症】「わざとじゃないのに」汚言や挙動に悩む当事者たち|ABEMA報道リアリティーショー アベプラ【公式】|youtube
チック症が大人になって再発することはある?
大人になってから再発する場合もある
チック症は多くが一過性で、数週から数ヶ月で消失しますが、再発を繰り返して長期間続くこともあります。
また、子どもの頃に症状があったけれど成長と共になくなり、20代後半になってからまた再発したというケースや、大人になってから発症したというケースもあります。
参考:チック|妹尾小児科
大人のチック症は病院に行ったほうがいいの?
病院、治療について
大人のチック症は病院にいったほうがよいのでしょうか?
もし本人が生活するうえで困っていなければ必ずしも受診の必要はありません。
日常生活や仕事などに支障が出て困り、治療を希望する場合は精神科・心療内科などへ相談しましょう。下記はNPO法人日本トゥレット協会によるトゥレット症候群が診察できる医療機関一覧の資料です。
大人のチック症への薬と治療について
薬物療法について
チック症の症状によっては薬物療法が選択されることがあることはお話ししました。
それではどんな場合にどんな薬が処方されるのでしょうか。
チック症の原因は解明されていないため、完治させる治療法はまだありません。
治療の基本は症状を理解してうまくつきあえるようにする家族ガイダンスや環境調整となります。
薬物治療が行われる場合、症状や併発症が人それぞれ異なるので一人ひとりその時々に合わせた薬が処方されます。
「この薬が効く」という事がチック症を持つ人全てに当てはまるわけではなく、人によって効果に差があります。さらに同じ人が同じ薬を服用した場合でも時期によって効果に差が出ることがあります。
他えば「去年はこの薬を服用していて調子が良かったのに急に効かなくなった」という事が起こるのです。しかし一方で薬があっていなくても症状が出ないときもあり、どういった条件で症状が出る・出ないのかもわかっていません。
薬物療法以外の治療について
環境調整、薬物療法以外の治療では、認知行動療法、歯科スプリント、脳深部刺激療法(DBS)などの治療法があります。脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation)とは、頭の中に埋め込んだ電極からの電気信号を活用して、脳の特定の部位の活動を抑えて重度のトゥレット症の症状を抑える効果を得るという治療法です。
参考:チック症、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群 | 小児期の発達障害や神経疾患の専門病院|瀬川記念小児神経学クリニック
参考:深部脳刺激療法(DBS)【名古屋市立大学病院 脳神経外科学 診療案内】脳神経外科学|名古屋市立大学 大学院 医学研究科 神経機能回復学
チック症・トゥレット症を持つ人の仕事の悩み
就労が難しい現実がある
職場の理解を得て就労している場合や、フリーランスで働いている、起業している場合もあります。
チック症・トゥレット症が重症の場合は外出さえままならずに日常生活にもさまざまな支障が出ます。
一方で周囲の理解が得られず、症状を「わざとやっている」と思われて学校や職場でも失礼と思われたり、不快に思われたりしてしまうことがあります。
症状が強いと公共交通機関を使って通勤することも難しく、また運動チックの症状が強いと文字を書くことやキーボードを打つことも難しい場合もあります。また就職にあたって応募書類を作成することが難しかったり、チックの症状を抑えて面接を受けることも非常に困難です。
就労支援を通して少しずつ自分のペースをつかんでいく場合もありますが、強迫症(OCD)やADHD、ASDなどの合併症状も抱えている場合が多いので、両方が負担となって就労に困難を抱える人も多いようです。
チック症・トゥレット症の症状で仕事に悩んでいる場合
カスタマイズ就業という働き方もある
チック症・トゥレット症により「周囲の目が気になって仕事に集中できない」「通勤やコミュニケーションなど仕事以外の問題で疲れ切ってしまい、働くことができない」などの問題で困っているが、自分の強みを生かして働きたい……。と考えいる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
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参考:NHK バリバラ | みんなのメッセージ | トゥレット症候群の方、困っていることや、伝えたいことをぜひお聞かせ下さい!
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まとめ
参考になりましたでしょうか? トゥレット症や併発するADHD、強迫症(OCD)などで日常生活や就労に困難を抱えている方やサポートする家族の方は、周囲の視線や心ない反応・言葉など、理解のないことが症状そのものにもましてつらいものとなっています。
症状が出ている間も、トゥレット症の方本人が誰よりも「周囲に迷惑をかけているのではないか」と強く思い、傷ついています。
トゥレット症のことを知っていただけたなら、公共の場などでトゥレット症の方を見かけた際はじろじろ見たり警戒したりせずに、自然に受け流していただければと思います。
※この記事は2020年11月の情報に基づいて執筆されました。