摂食障害とは?
摂食障害の症状
摂食障害は必要な量食事を食べられない、食べ過ぎをコントロールできない、食べた物を故意に吐いてしまうなど、さまざまな症状があります。
摂食障害は症状や状況などによって細かく分類され、代表的なものに神経性やせ症、神経性過食症があります。
栄養不足や嘔吐などによる体の問題だけでなく、体重や体形への不満があったり、体重が増えることへの強い恐怖を持ったり、食べ物のことで頭がいっぱいになったりと心の問題も併発します。
10代から20代の若年者や女性に多い症状ですが、年齢や状況にかかわらず誰でもかかりうる病気です。
摂食障害の原因
研究が進められていますが、摂食障害の明らかな原因は不明です。
生物学的な要因、心理的な要因、社会的な要因などさまざまな要因が複雑にからみあっていると推測されています。
親子関係との明確な因果関係も不明なので、必要以上に「親の育て方が悪い」などと責めないようにしましょう。
新型コロナウイルス感染症流行化で、摂食障害の患者が増えているという報告もあります。
参考:〈摂食障害〉摂食障害とはどんな病気?(心の健康について)[京都府精神保健福祉総合センター]
参考:コロナ禍の子どもの心の実態調査 摂食障害の「神経性やせ症」が1.6倍に | 国立成育医療研究センター
摂食障害と仕事への影響
体力がなくなる
体重が減少して極端な低体重になると、体調不良が多くなり体力がなくなります。
体力がなくて仕事に支障が出たり、仕事中に体調が悪くなったりする場合があります。
仕事のストレスで症状が悪化する
摂食障害の症状がある人が仕事をするうえで困る点はいろいろあります。
仕事上のストレスや緊張で症状が悪化することです。
ストレスや緊張で過食(むちゃ食い)や嘔吐を行ってしまうケースもあり、職場で嘔吐すると職場の共用トイレが汚れる・詰まる・臭くなるなどのトラブルが起きる場合もあります。
仕事に集中できなくなる
無理に食事を減らして(食べることができずに)、頭の中が食べ物のことでいっぱいになってしまう症状もあります。
また、食べた後は必ず吐かなくてはいけないと強く思い込み、できないときに強いストレスを感じる場合もあります。
そのような状況では仕事に集中することは難しいでしょう。
仕事がつらい中では、仕事を休む・失う不安もストレスとなり、また症状がする悪循環に陥ってしまう可能性もあります。
摂食障害を治療しながら生活するには
摂食障害の治療
摂食障害の治療における薬物療法の効果ははっきりしていません。
抗うつ薬が過食嘔吐の症状に効果があるともいわれていますが、長期の影響は不明です。
また、薬物療法だけの完治は困難とされています。
食行動を改善し、過食や嘔吐を減らし、食や体形への偏った考えを改善し、職場や学校などで過ごしやすくすることが治療の目標になります。
摂食障害は病院に行くべき?
摂食障害によって将来的に体への重大な影響が出ることもあるので、できれば医療機関で受診・治療を行いましょう。
医療機関での治療を希望する場合は精神科や心療内科(子どもの場合は小児科や児童精神科)を受診します。
著しい低体重で衰弱が激しい場合や、行動の制限が必要な場合は入院治療をすることもありますが、そうでない場合は外来(通院)の治療が基本です。
摂食障害を治療しながら働くには
障害者雇用などで働いている場合
障害者雇用で働いている場合は、支援者や上司に職場で症状が悪化しないように合理的配慮を求めることができます。
支援者や上司に摂食障害の症状について理解してもらい、下記のようなことを配慮してもらえないか相談してみてはいかがでしょうか。
たとえば…
・無理に食事・会食に誘わないように、上司から職場のメンバーに共有してもらう
・一人で昼食(休憩)が取れるようにするなど、昼食(休憩)のとり方の自由度を高くしてもらう
・出勤時間を調整できるようにする
・通院のための休暇が取れるようにする
などです。
摂食障害への理解と合理的な配慮が受けられると安心して働くことができるのではないでしょうか?
症状を隠して働いている場合
一般就労で、摂食障害であることを職場の人に公表せずに働いている場合にできることもあるでしょう。
他の人と食事や会食ができない理由は「体調・病気によるものです」と言えばあまり深くは詮索されないでしょう。
(しつこく詮索されたり、一緒に食事するように強要されたりした場合はハラスメントになります。)
ただ、体調不良による遅刻・早退や欠勤が重なる場合や、職場の共有トイレでの嘔吐がある場合などは長期間隠し続けることは難しいでしょう。
上司、または会社の産業医や保険医などに相談することも検討しましょう。
参考:「合理的配慮」を知っていますか?」|障害者差別解消法リーフレット – 内閣府
参照:雇用の分野で障害者に対する差別が禁止され、合理的な配慮の提供が義務となりました|厚生労働省
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まとめ
一人でかかえこむよりも相談を
摂食障害の症状は、同居の家族や職場の人などに隠すのは難しい症状だと思います。
隠すこと自体もストレスになりますし、過食がある場合は食べ物を買うのにお金がかかるので、仕事を休んだりやめたりして治療をするのも不安になり、よけいに症状がひどくなる悪循環に陥ってしまう場合もあります。
「症状を自分でコントロールすることが難しい」ということを理解してもらえる医師・支援者や家族・友人などに相談できれば、それだけでも少し気持ちが楽になるのではないでしょうか。
「自分はたまに過食嘔吐があるだけだから……。」と思っている人も、将来、胃液にさらされた歯が歯科的な問題を起こしやすくなる症状も出てくるかもしれないので、受診を検討してみてください。