発達障害と依存症は併発しやすい?原因と対策もまとめて紹介!

依存症とは?

依存症の悩みを抱える人

依存症とは何か

依存症とは、特定の何かに心を奪われ、やめたくてもやめられない状態になることです。依存症には「物質への依存」と「プロセスへの依存」と「人・関係への依存」の3種類があります。

「物質への依存」は薬物やアルコールといった依存性のある物質を原因とする依存症状です。「プロセスへの依存」は物質ではなく特定の行為や過程に熱中し、やめられなくなってしまう症状です。「人・関係への依存」は特定の人との人間関係へ依存し、ゆがんだ人間関係に執着することで人とのつながりを求める状態です。

共通していることは「繰り返す」「より強い刺激を求める」「やめようとしてもやめられない」「常に頭から離れない」などの特徴が次第に現れることです。

参考:依存症についてもっと知りたい方へ |厚生労働省

発達障害と依存症の関係

周囲の人々に誤解され人との関わりを避けがちな人

発達障害との関係について

アルコール薬物・ギャンブル・ゲーム・買い物・性などの依存症のベースには、発達障害がある場合が多いと言われています。

発達障害の中でADHDは衝動的な特性があり、依存症との合併が多いことが知られています。ADHDの特性と依存症の特性は見分けるのが難しいという問題もあるので、両者が同時に存在することを意識して検査を行う必要があります。

社会の中で生きづらさを感じている発達障害の人が、その生きづらさを紛らわせるための魔法の快楽や物質として依存対象にのめりこむことは珍しくありません。

しかし、徐々に依存対象がないと生活が立ち行かなくなり、それ以外のことでも喜びを感じることが難しくなるため、ますます依存対象が必要になりエスカレートしていきます。

依存症と発達障害の両方がある場合には、片方だけを先に治療するのではなく同時に両者に介入することがその後の経過が良いといわれています。

参考:依存症と重複しやすい発達障害 – 依存症対策全国センター

依存症の問題とは

金策に悩む人

依存症の問題とは何か?

依存症は何が問題なのでしょうか? 依存症の問題とは、だれかが困ることです。治療すべきかどうか、依存症かどうかを判断するのには、そのことによって本人か家族、周囲の人が苦痛を感じているかどうかが重要です

依存症によって問題が生じる理由は

  • ・食事や睡眠に支障をきたし、本人の健康を害する
  • ・仕事や学校を休みがちになり続かなくなる
  • ・嘘をついて家族との関係が悪化する(家族には依存を隠そうとする)
  • ・お金を工面するために隠れて借金をしたり、手段を選ばなくなる

などが主なものになります。

参考:「誤解だらけの依存症」依存症の理解を深めるための普及啓発事業|厚生労働省

依存の対象

ゲーム依存により生活に問題が生じている人

酒・薬物だけではない

依存症にはどのような種類があるのでしょうか。
有名なアルコール依存症や薬物依存症、ギャンブル依存症だけではありません。

物質依存では、

  • ・アルコール
  • ・違法薬物
  • ・脱法ハーブ
  • ・処方薬
  • ・市販薬

行為依存では、

  • ・ギャンブル
  • ・ゲーム
  • ・買い物
  • ・借金
  • ・浪費
  • ・窃盗症(クレプトマニア)
  • ・摂食障害
  • ・リストカットなどの自傷行為

人・関係への依存では、

  • ・性依存症
  • ・恋愛依存
  • ・共依存

などが主なものとして挙げられます。
依存の対象になるものは無限にあると言われています。

参考:依存症の種類と分類|依存症治療の専門病院 大石クリニック

クロス・アディクションとは

クロス・アディクションとは、2種類以上の依存症を持つ場合の事です。

アルコール依存と共依存、薬物依存と性依存、摂食障害と窃盗癖(クレプトマニア)のように高い確率で併発するクロス・アディクションも多く指摘されています。1つの依存症を抑えたために、新たな別の対象に依存し始める場合もあります。

参考:クロス・アディクション | JUST | NPO法人 日本トラウマ・サバイバーズ・ユニオン

依存症の原因とは

依存症の原因について考える人

心や意志が弱いからではない

なぜやめられなくなってしまうのでしょうか?

それは自分の意志でやめられない病気になってしまっているからです。自分でコントロールできない理由には、脳の仕組みが大きく関わっています。

人は不安や緊張を和らげたり嫌な事を忘れたりするためにある特定の行為をすることがあります。その行為を繰り返しているうちに、特定の行動をコントロールする脳の機能が弱くなり自分の意志ではやめられなくなってしまうのです。

以前は依存症になる人は意志が弱いように思われたり、教育や報道でも心の問題であるかのように伝えられたりすることがありました。

しかし根性が足りない、意志が弱いといった問題ではなく、依存症は条件さえそろえば誰もがなる可能性がある病気です。

参考:依存症って、自業自得なの?|依存症の理解を深めよう。回復を応援し受け入れる社会へ

依存症は治るのか

自宅にひきこもり、依存症が治るのか悩む人

回復することは可能

依存症は治るのでしょうか。

さまざまな助けを借りながら、依存対象に頼らない生き方をしていくことは可能です。脳を依存症になる以前の状態に戻すことは難しいと言われています。

しかし、正しい知識を得て、周囲の理解とさまざまな助けを借りながら回復に向かっていくことはできます。

やめつづける生活を続ければ、問題のない社会生活を送ることも可能になります。
やめつづけるためには、依存対象をどのように避けるか、依存対象(お酒やギャンブル、行為など)をしている時間以外の時間をどのように増やすかなどが大事です。

参考:4.依存症は治るの?|アルコール、薬物、ギャンブルなどをやめたくてもやめられないなら...それは「依存症」という病気かも。 | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

依存症の対策

専門医の助言をうける依存症患者

責めたり、やめると約束させることは意味がない

依存症は実は誰でもなる可能性があり、本人の意思でやめることができない病気です。

しかし本人は「自分が病気である」と気づいていないため、気持ちでコントロールしてやめようとして何度も失敗します。周囲の人々がいくら精神論で責めたり、やめることを約束させたりしても、問題は解決しません。むしろ状況は悪化します。

本人が問題があることを受け入れて自覚するには時間がかかる場合も多いため、まずは周囲が専門の機関に相談して適切なサポートの仕方を知ることから始めるのがよいでしょう。

専門家に相談するべき理由

依存症は脳の病気なので、周囲の人や家族だけでなんとかしようとしても、解決することができず、かえって問題を悪化させてしまうこともあります

地域の保健所や精神保健福祉センターに相談したり、自助グループや家族会に参加することで、依存症患者本人への対応の仕方や、家族のストレスの軽減のしかたなどについて知識を得ることができます。相談するにあたっては最初から本人を連れていけなくても大丈夫です。

現状を連絡することで、適切な対処法をアドバイスしてもらうことができます。家族だけ、自分だけで抱え込まずに専門家の力を借りましょう。

参考:依存症の理解を深めよう。回復を応援し受け入れる社会へ|厚生労働省

自分が依存症かもしれないとき

依存症の自助グループ

自助グループに参加することの重要性

「自分は依存症かもしれない……。」「やめられなくて困っている」という場合はどうすればよいのでしょうか。

自分一人の力では解決できないことはわかっていても、家族や周囲の人、公的機関には相談しにくい場合もあるのではないでしょうか。自助グループは参加に際して身元や本名を名乗る必要のないものもあります。

「自分のこの程度の悩みで自助グループに参加していいのだろうか?」と不安に思うかもしれませんが、少しでも「そのことで苦しんでいる」と思っているのであれば参加資格は十分です。現在はオンライン形式のものもあります。

また、当事者以外でも参加できるオープンミーティングや、依存症当事者による講演会なども行われているので、そういったものを聴くことからはじめるのもよいかもしれません。どうか一人で抱え込まずに、いろいろな形で助けを借りることを検討してみてください

参考:相談窓口・支援機関|これって“依存症”? ―“やめたいのにやめられない”あなたへ―|NHK福祉ポータル ハートネット
参考:依存症等の当事者または家族向け、オンライン自助グループの開催情報 — とどけるプロジェクト
参考:自助グループ 一覧|特定非営利活動法人アスク

依存症で仕事に復帰しにくい……と悩む人へ

就労移行支援事業所で快適に過ごす人々

就労移行支援事業所に相談しよう

依存症から回復し、元通りに近い生活が送れるようになってきたら、就労を考えることも多いでしょう。

依存症からの回復を目指す方の復職や再就職には、安心できる回復施設や自助グループとのつながりを保ち、適切なカウンセリングを受ながら働く練習から始めることが重要になります。「働く練習」として就労移行支援事業所の利用を検討してみてはいかがでしょうか?

就労移行支援は様々な障害を持つ方が自分らしく働けるように、情報提供やスキルアップの訓練を受けられる施設です。また、働く訓練のみでなく日常生活を過ごすために必要な習慣や心がけなども知ることができる事業所もあります。

また、事業所では他のメンバーの方の関わりや体調に関する不安など、生活に関わることを相談することもできます。再就職後の職場での人とのかかわり方など(飲酒の誘いの断り方など)も学ぶことができるでしょう。

就労移行支援は事業所によって強い職種、サービス内容も様々です。事業所のサービス内容はビジネスマナーや履歴書の書き方だけではありません。もちろん、これらを身につけたい場合は大切なポイントになります。

しかしそれのみしか学べない事業所の場合、利用期間である2年はとても勿体ないと言えるでしょう。ですからあらかじめ見学や体験利用なども活用して、自分のニーズに合う事業所を選んでいく心がけが大切です。

『どんな支援スタイルがあるの?』など支援内容について詳しく知りたいときはこちらの記事「就労移行支援事業所の探し方。『支援内容(スタイル)』について紹介」をチェックしてみてください。

Saladでは独自に取材した就労移行支援事業所のご案内のほかにも、就労移行支援事業所に関するさまざまな情報提供を行っております。

ほかにも気になること、相談したいことなどありましたら、お気軽にSalad編集部までご連絡ください。

参考:依存症から回復して社会復帰、新たな人生をクリエイトする若者 | アディクションラボ
参考:リワーク支援(復職支援)|依存症治療の専門病院 大石クリニック

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まとめ

いろいろな人のつながりのイメージ
いかがでしたでしょうか。依存症に限らず、一人で抱え込まずに専門家に相談したり、周囲の力を借りることで負担が軽くなることがあります。

お悩みがあればぜひ、相談することを検討してみてください。もし相談先に迷っていたら、Salad編集部までご相談ください。

※この記事は2020年11月の情報に基づいて執筆されました。
 

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