就労移行支援事業所に通うには、認定調査を受ける必要がある
就労移行支援事業所に通ってみたい
就職を考え、就労移行支援事業所に通ってみたいと考えている方もいるのではないでしょうか。この就労移行支援事業所は、『自分が希望している仕事のスキルを学べる』『就職に関する相談やサポートを受けられる』など、主に障害を持つ方の働くニーズにマッチした支援を受けることができる障害福祉サービス施設です。
かかりつけの病院から、友人や知り合いなどから「就労移行支援」の存在を知ったというケースもあるでしょう。そのようなタイミングで『就労移行支援事業所に通って就職したい!』と考えるケースもあるのではないでしょうか。
手続きの前に、これから事業所を探す場合はこちらの記事も参考にしてみてくださいね。
就労移行支援を利用するには、認定調査を受ける必要がある
さて、通いたい事業所も決まり『さあ、問い合わせてみようかな』と相談された方もいるかもしれません。その必要手続きの中に「認定調査を受ける」があったのではないでしょうか。事業所の利用には、お住まいの市区町村にて認定を受ける必要があるのです。
就労移行支援は、障害者総合福祉法(前:障害者自立支援法)に基づいた障害福祉サービスの一つです。このサービスを受けるためには、国から認定を受ける必要があります。サービスを受ける対象に該当するか否かを確認すること、それを市区町村が確認することのひとつに「認定調査」があるのです。
今回は、この認定調査について説明していきます。また、障害福祉サービスについてもう少し詳しく知りたいという方はこちらの記事で詳しく説明していますので、併せてチェックしておきましょう。
そもそも、『認定調査』とは?
まず、認定調査とは正式名を「障害支援区分認定調査」といいます。障害福祉サービスを受けるに該当するかどうかを市区町村職員、もしくは市区町村から委託された指定一般相談支援事業者の相談員などが行うものです。この相談員たちは、都道府県が行う特別な研修を修了した「認定調査員」として実施します。
就労移行支援など障害福祉サービスを受ける際の手続きとして、この認定調査員からの調査を受けるのです。
認定調査の内容
「認定調査」と聞くと、『何か難しい調査をするのかな』と不安に感じたかもしれません。各市区町村によって細かな様式は異なる場合がありますが、ここでは主に基本的に行われる調査について説明していきます。
①基本調査
市区町村の認定調査員から様々な質問を受けます。項目としては以下の通りで、おおむね1時間から2時間程度かかります。
【基本調査の項目】
・移動や動作に関する項目(12項目)
→座っていられるかどうか、歩けるかどうかなど
・身の回りの世話や日常生活などに関わる項目(16項目)
→食事や金銭管理、洗濯など
・意思疎通に関する項目(6項目)
→視力や聴力、文字の読み書きなど
・行動障害に関する項目(34項目)
→昼夜逆転の生活をする、徘徊をするなど
・特別な医療に関する項目(12項目)
→透析など、継続して行っている治療についてなど
この合計80項目について選択式のアンケートに沿って質問され、答える形式になっています。これは個々の障害特徴に当てはめたものではなく、障害を持つ方全般に向けたものです。そのため受ける際には思い当たらない部分もあるかもしれませんが、正直に現状を伝えていきましょう。
②特記事項
基本調査80項目に関連して、その回数や頻度などの具体的な状況や原因などの有無について調査を受けます。これは『障害福祉サービスを受ける必要がある』と認めるうえで大切になる項目です。くれぐれも事実を偽らず、正直に伝えるようにしましょう。
③医師意見書
サービスを受けたい方の主治医が、心身の状況や支援の必要性について具体的な状態を含めて記入するものです。これは医師が記入する書類になります。ですから就労移行支援に通いたいときは、一度かかりつけの医療機関に相談してみましょう。
④概況調査票
概況調査票は原則、認定調査員が基本調査などの中で記載するものです。
・外出の頻度や社会活動の状況に関する地域生活関連事項
・就労状況・希望などに関する事項
・日中活動関連事項
・介護者関連事項
・居住関連事項
・現在のサービス利用状況
これらを含めて、サービスを受けるに該当するかどうかが判断されるのです。
参考:【障害者総合支援法】認定調査とは具体的にどんな調査をするのですか。 – 横浜市 Q&Aよくある質問集
参考:障害支援区分の認定を含めた支給決定の在り方 – 厚生労働省
【認定調査を含む】就労移行支援利用までの手続きの流れ
①通いたい就労移行支援事業所、お住まいの市区町村に相談する
まずは『通いたい就労移行支援事業所』『お住まいの市区町村(障害福祉課など)』の2か所に、就労移行支援に通いたい旨を相談しましょう。順序はどちらからという決まりはありません。
就労移行支援事業所を利用する際には、事前にスタッフの方(主にサービス管理者など)と計画相談支援を行っていきます。そのときにスタッフの方が作成するものが「サービス利用等計画案」です。認定にはこの書類も必要になるため、手続きや流れについて不安であれば、先に就労移行支援事業所に相談してみるのが良いでしょう。
②申請書の提出
障害福祉サービスを受ける申請書を、市区町村の窓口に提出します。この際に、認定調査を実施する日程や場所についての話し合いが行われる可能性があります。また、認定調査実施まで期間がかかる可能性もあるので、注意しておきましょう。
③認定調査を行う
認定調査の場所は本人の障害内容に合わせ、聞き取りやすい環境で行われるケースが多いです。特にどこでも支障がない、という場合は主に市区町村の窓口にて実施することになります。
④支給決定を決める会議を行う
各市区町村で。支給決定を決める会議(判定)を行います。この期間は状況に応じて長いこともありますので、じっくり待ちましょう。
⑤支給決定・受給者証の交付
支給が決まって、晴れて受給者証の交付を受けられます。こののちに就労移行支援との利用契約を行い、通所可能となるのです。
就労移行支援の利用手続きに関してはこちらの記事でも詳しく紹介していますので、併せて参考にしてくださいね。
『就労移行支援』についてのお悩みは、Saladにご相談ください
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Saladでは、就労移行支援事業所に関する情報提供を行っております。こちらのページから、Saladが取材した事業所に関する情報を見ることができますので、ぜひチェックしてみてください。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
認定調査自体は、認定調査員の質問に応じて自分の状況を行うのみで、とてもシンプルなものです。しかし、その後すぐに認定が決まるケースは少なく、期間を要することもあるでしょう。そのようなときに、不安やストレスを感じてしまうかもしれません。
辛い時は事業所の方に相談しながら、じっくりと結果を待ちましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。男性。ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。自身も就労移行支援で1年間通所経験がある。認定調査から利用決定まで概ね2カ月ほどかかったため「利用できないのではないか」という強い不安に襲われたことがある。その際には事業所のスタッフに相談し、不安を緩和させていた。