個性は宝物! 自己分析で個性と強みを見つけよう
客観的な自己分析のために MBTIの就活への利用法
日本で一般的に「MBTI」と呼ばれているものは、性格タイプを16種類に分類する心理テストのことです。
性格タイプを知ることで自分の強みや価値観、そして働き方への適性などの個性より深く理解することができるといわれ、近年10代~20代の人を中心に流行しています。
就活や転職の場面で自分の強みを活かせる仕事を見つけ、長く続けられるキャリアを築くためには自己分析が重要です。
就活・転職では綿密な自己分析をもとに、志望の業種や職種を選択し、応募書類を作成し、面接や自己PRを行うことになります。
自分を客観的に判断し、言語化して人事担当者に伝えるのは難しいと思う人もいるでしょう。
どのように始めたらよいのかわからない人もいると思います。
そんなとき、自己分析のきっかけや手がかりとしてMBTIなどの心理テストを利用することもできます。
この記事では、心理テストの結果を具体的にどのように自己分析に生かしていくかを説明していきます。
心理テストと医学的な診断の違い
医師が行う心理検査は、精神疾患の有無や程度を診断するためのものです。
医師の診断は、様々な心理検査や臨床経験に基づいた科学的な知見に基づいています。
MBTIなどの心理テストは厳密な科学的な根拠に基づいているとは言えません。
MBTIに関する注意点: 医学的根拠
MBTIは性格診断・自己分析のツールとして人気を集めていますが、医学的な根拠に基づいた検査ではありません。
インターネット上での簡易的な診断は本物のMBTIではないから信用できないと主張する団体もありますが、MBTI自体が医学的根拠・科学的根拠に乏しいとされています。
あくまで流行の心理テストの一つととらえ、自己分析の理解を助ける要素として活用することで、自己分析に役立てていきましょう。
参考:Barnum Effect | Psychology of Self-Deception & Misattribution | Britannica
【注意】心理テストの結果を自己分析に活用する際のポイント
他の情報と組み合わせて判断する
心理テストはあくまでも一つの指標であり、絶対的な評価基準ではありません。
心理テストの結果だけでなく、他の情報(過去の経験、周囲からの評価など)も参考にしながら、自分自身を客観的に評価することが大切です。
医学的な診断と混同したり、結果を過度に信じることは避け、他人と比較したり、自分の価値を判断する材料にすることは避けましょう。
それらを踏まえた上で活用することで、自己分析に役立てていきましょう。
参考:心理テストとは | 大阪・京都こころの発達研究所 葉
参考:「自分を知るための手軽なテストとの付き合い方」|健康支援課スタッフブログ|京都外大オフィシャルブログ|京都外国語大学・京都外国語短期大学
自己分析で個性や自分らしさを再発見
【障害特性×自己分析】発達障害や精神障害の人にも役立つ
発達障害や精神障害の有無にかかわらず、自己分析を行うことで自分の強みを理解し、働きやすい環境を推測することができます。
自己分析のための手がかりとして、障害特性が参考になる場合があります。
障害の特性が”自分にもあてはまる”と思ったり、他の人からもそのように指摘されている場合は、自己分析のヒントになるといえるでしょう。
例えばADHDの特性として、多動性や注意散漫といった特性がある一方で、アイデアが豊富で創造性が高いという強みもある人が多いと言われています。
この特性は自分の強みを考える上でのヒントになる情報です。
「アイデアが豊富で創造性が高い」は面接で「あなたの長所を教えてください」と言われた時の回答にもなりますし、応募書類の自己紹介・自己PRの欄に記入する内容としても良いでしょう。
また、発達障害の特性の例として「時間や場所などの予定が変更になると不安になることがある」といわれています。
この特性は自分に合った環境を考えるためのヒントになります。
変化の少ない環境で自分のペースで働ける仕事はどんな仕事なのか?具体的に考えてみましょう。
たとえば内勤、在宅勤務など、外部からの刺激の少ない環境が適しているかもしれません。
【心理テスト】障害特性ではなく個性を自己分析する方法として利用する
【自己分析】強みを仕事にどう生かせるか考える
障害特性から自己分析の参考になる情報を得ることができることと方法は上に述べました。
同じように心理テストの結果も自己分析の参考になります。
例えば、ADHDの傾向がある人で、MBTIでは「直観(N)」が含まれているタイプに当てはまる人の場合で考えてみます。
つまりタイプ名にNが含まれているタイプのことなので、INTPタイプ・ENTPタイプ・INFJタイプなどがあてはまります。
さらにADHDの特性としてアイデアが豊富で創造性が高いというものがあげられましたが、自分でもその特性が当てはまると思うし、友人や教師などにもアイデアの豊富さをほめられた経験があるとします。
ADHDの特性としても、個人の経験による客観的な評価でも、自分のあてはまるMBTIのタイプの特徴としても「アイデアと創造性の豊かさ」が挙げられているなら、複数の根拠があることになるので、それは自分の個性の一つの側面として説得力のある情報と言えるでしょう。
この強みを仕事にどう生かせるか考えるために、この強みについてより詳しく分析してみましょう。
アイデアが豊かで創造性が高い個性について、詳しく分析する
MBTIにおいてもアイデアが豊富で創造性が高いとされるタイプはいくつかあり、一般的に「直観(N)」の機能を持つタイプに当てはまるといわれています。
「直観(N)」を持つタイプには、それぞれ具体的にどんな特徴があるのか見てみましょう。
INTPタイプ: 論理的な思考力と独創性を併せ持ち、新しい理論や概念を構築するのが得意です。
ENTPタイプ: 革新的なアイデアを次々と生み出し、それを実現するために行動を起こします。
INFJタイプ: 深い洞察力と創造性を持ち、理想的な未来を築くために尽力します。
ENFPタイプ: 可能性を信じ、熱意を持って新しいアイデアを広めていきます。
仕事でアイデアや創造性を活かせる場面を具体的に想定する
次に、自分のタイプの特徴がどの分野のどのような場面で強みや個性を発揮できそうなのか、具体的な例を挙げて考えてみましょう。
INTPタイプ: 新しいプログラミング言語を開発したり、哲学的な問題を深く掘り下げたりする
ENTPタイプ: スタートアップ企業を立ち上げたり、新しいビジネスモデルを考案したりする
INFJタイプ: 社会問題の解決策を考えたり、新しい芸術作品を生み出したりする
ENFPタイプ:新しいプロジェクトを立ち上げたり、人々を鼓舞するようなスピーチを行ったりする
人に伝わりやすい文章を作る【5W1H】
さらに、人事担当者にも詳細に説明できるように言葉で表してみましょう。
やり方の1つとして、5W1Hにあてはめて、できるだけ具体的な場面を想定する方法があります。
5W1Hとは、情報や物事を整理・伝達する際に考慮すべき6つの要素を指す言葉です。
5W1Hの6つの要素は次のとおりです。
When・Where・Who・What・Why・How
(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)
ビジネスの現場では、5W1Hを押さえたコミュニケーションを図ることで、過不足のない情報伝達を実現できます。
この5W1Hにあてはめて考えることで、場面を人に伝わりやすい形で具体的に説明することが可能です。
【自己PR文を作る】5W1Hを利用した言語化のプロセス
例として、自己PR文を5W1Hにあてはめて考えてみましょう。
(1)ESTJタイプの人が「計画性があり、効率的で、目標達成に強い意欲を持っている」という個性と関連付けて自己PR文を作る場合の例です。
自己PR:
「私は目標を設定し、それを達成することにやりがいを感じます。
目標達成のために必要なスキルを積極的に習得したり、諦めずに解決策を探したり、周囲の人々と協力したりして努力し、目標達成を通して組織に貢献することを目標としています。
また、計画を立てたり効率化を行ったりすることが得意です。
新規プロジェクトのリーダーになった際は、明確な目標を設定し、計画を立て、チームメンバーを指導し、プロジェクトを成功に導きたいと考えています。
また、定期的に進捗状況を確認し、必要に応じて計画を修正することで、プロジェクトの成功率を高めたいと考えています。」
この自己PRを5W1Hにあてはめて考えてみると、
When(いつ): 新規プロジェクトのリーダーになった時
Where(どこで): プロジェクトチーム
Who(誰が): ESTJ型の個性を持つリーダー
What(何を): プロジェクトの計画、目標設定、実行、管理、効率化
Why(なぜ): ESTJタイプの個性として、計画性があり、効率的で、目標達成に強い意欲を持っているため
How(どのように): 明確な目標を設定して達成に向けて効率的な計画を立てたり、チームメンバーを指導したりして
となります。
(2)次に、ESFPタイプの場合でを考えてみましょう。
「社交的で人を楽しませることが得意、新しいことに興味がある」という個性と関連付けて文章を作ります。
自己PR:
「私は新しいことに興味があり、社交的で人を楽しませることが得意です。
新商品の発表会では、デモンストレーションや体験型のイベントを企画し、顧客に商品の魅力を直接体験してもらうことで、購買意欲を高めたいと考えています。
また、顧客とのコミュニケーションを大切にし、彼らの意見を聞きながら、より良い商品開発に繋げたいと考えています。」
この自己PRを5W1Hにあてはめて考えてみると、
When(いつ): 新商品の発表会で
Where(どこで): 展示会会場
Who(誰が): ESFPタイプの個性を持つ営業担当
What(何を): 新商品のプレゼンテーション・顧客とのコミュニケーション
Why(なぜ): ESFPタイプの個性として、社交的で、人を楽しませることが得意で、新しいことに興味があるから
How(どのように): デモンストレーションや体験型のイベントを企画し、顧客の興味を引きつける
顧客とのコミュニケーションを大切にし、フィードバックを活かして改善につなげる
自己PRの例を挙げてみましたが、いかがでしょうか?
自分のタイプの個性を自己PRに関連付けるやり方について、イメージがつかめたでしょうか?
例文を読んで、自分が過去に取り組んで成功した経験や評価された場面と重なり、自己PRに使えるポイントを発見した人もいるのではないでしょうか?
「学生時代に似たような経験があった」とか、「あのときは上司がほめてくれた」とか、客観的な評価を思い出す手掛かりになる場合もあるでしょう。
他者からの評価や成功体験は客観的な要素であり、人事担当者にとっても耳を傾ける価値のある情報になります。
そのような経験を言語化してまとめることで、より印象深い自己PRの材料にすることができます。
このように自分について言語化するプロセスは、自己理解と、就活・転職時の自己アピールに役立つでしょう。
【自己分析】目的と注意点
心理テストはあくまで性格の一側面を示すものであり、すべてを完璧に言い当てる診断ではありません。
すべての創造的な人が何らかの「タイプ」に当てはまるわけではありません。
大切なのは自分の強みを理解し、それを活かせるような環境や仕事を選ぶのに役立てることです。
自己分析を通して個性や強みを理解し、仕事に活かすことで、より豊かな人生を送ることができるでしょう。
参考:The Creativity of ADHD | Scientific American
参考:5W1Hとは?5W2Hや5W3Hとの違いやビジネスでの活用方法を解説 | 株式会社Sprocket
【自己分析】就活・転職の悩み解決に生かす!
自己分析の結果を活用した職場選び
自分の個性に合う職場を見つけよう
自己分析の結果は、職場(仕事)を選ぶ際にも重要なヒントになります。
自己分析でわかる個性や特徴から、あなたに合う職場環境や求められるスキルを推測することができます。
例えば、内向的でじっくりと仕事を進めるのが得意な人は、研究職やプログラマーなど、一人で集中して取り組める仕事が合っているかもしれません。
一方、内向的な性格のため、接客や営業など、顧客とのコミュニケーションに多くの時間を割くことが予想される職種は、向いていないかもしれません。
また、外向的でコミュニケーション能力の高い人は、営業職や教育関係など、人と関わることが多い仕事に向いていると言われています。
一方、高いコミュニケーション能力を発揮できる機会のない仕事では、評価される機会を失ってモチベーションを維持するのが難しくなるかもしれません。
このように応募先として検討している求人の職場環境や求められる能力を調べて、できるだけ具体的に想像し、「向き」「不向き」の両方について考えてみましょう。
自己分析で作る、あなただけの強みシート
面接でも使える!強みシートの作り方
自己分析の結果をもとに、あなたの強みを具体的に書き出した「強みシート」を作成しましょう。
例えば「人の気持ちを深く理解できる」「複雑な問題を解決するのが得意」「未来の可能性を信じている」といったように、具体的な言葉で表現します。
さらに「応募する仕事(職種)では、どのような場面で強みを発揮できるのか」、具体的に考えられると、よりわかりやすく印象的に強みをアピールすることができます。
たとえば「人の気持ちを深く理解できることが強みです。お客様の悩みを解決するために、じっくりと話を聞き、最適な提案をすることができます。」といったように、具体的な状況(場面)の説明を加えてアピールすることで、面接官にあなたの印象を強く残すことができます。
この強みシートを活用することで、面接でもあなた独自の魅力を効果的に伝えることができます。
参考:発達障害者の強みを活かすための相談・支援ツールの開発|障害者職業総合センター NIVR
参考:資料3:既存ツールの概要|第1回精神障害者等の就労パスポート作成に関する検討会(資料)|厚生労働省 (PDF形式)
仕事・働き方に悩んでいたら。『Salad』が強みを活かす職のサポートをします
まとめ
障害特性だけにこだわらず、個性や強みを見つけよう
障害がある人にも強みはたくさんあります。
障害害特性だけで自分の価値や能力を決めつけたり、自分で能力の限界を設けてしまったりしてしまうのはもったいないと思いませんか?
障害とは関係ない、”あなた個人”にどんな個性や強み、魅力があるのか知りたいですよね。
自己分析はその強みを最大限に活かすためのヒントを与えてくれます。
自己分析を通して自分の強みや個性は何か研究することは、自分らしく働ける仕事を見つける手がかりになります。