高学歴で、大人の発達障害を持つ方がいる
得意分野で優秀な成績を修め、高学歴を持つ場合がある
発達障害を持つ方は、得意なこと・苦手なことのムラが激しいケースが多いです。そのため勉強などの学び、インプットすることに特化している方も多くいます。このような特性を活かして、高学歴を持つ方がいるのです。
社会人になり、仕事で悩むケースがある
学生時代までは持ち前の学力を活かして「できる部分」のみに焦点を当てて来れたかもしれません。しかしながら、社会人になってから仕事をするうえで発達障害の問題に直面するようになり、苦しむケースも出てきます。
成人までは障害に気づかず、大人になってから発達障害を自覚することはこのような事情からも起きているのです。
今回はこのように発達障害を持ち、高学歴の方が
・社会人になってから仕事のどんなタイミングで悩みやすいか
・勉強が得意、インプットが得意な特性など、仕事に活かすためにはどうすればよいのか
この2点についてお伝えします。
【発達障害】高学歴の方が仕事で悩みやすいタイミング
周囲との調整や連携を要するとき
学歴が高く知識の習得も早いことで、管理職などの「周囲とコミュニケーションをとり調整や連携を要する」機会が早く来る可能性があります。
従業員個人として能力は高くても、管理職になると下記のような力も求められます。
・周囲の状況やスケジュールなどを管理すること
・様々な意思や状況を集約してバランスをとること
・その他指示や依頼などを行うこと
これらは発達障害を持つ方にとって悩みやすい、苦手なことであるケースが多いです。どうしてうまくいかないのか原因が分からず、体調を崩してしまうリスクが高くなる恐れがあります。
周囲の嫉妬心が強いとき
「学歴が高い」という肩書を周囲が知ることで「すごい」という尊敬を持たれる機会もあるでしょう。しかしながら「偉そうにしている」「勉強ができるからって…」と周囲から嫉妬を受けるリスクも高まります。特にできないことに遭遇した際に「勉強ができる癖にそんなこともできないのか」と思われやすいのです。
本人はそれほど学歴を意識しなくても、周囲が強く意識をしていることでコミュニケーションがスムーズにいかず、ストレスを感じることがあります。
プライドが邪魔してしまうとき
これまで「能力が高い」ことを意識してきたものが、仕事を一から学ぶ上で「どうしてこんな人に頭を下げて学ばなければならないんだ」とプライドが邪魔してしまうケースもあります。
上記ほどの意識がなくても、自信やプライドゆえに一人で行おうとするなどの行動でうまく仕事が進まないケースが出てくることがあるのです。
これまで真剣に学んだスキルを活かせない悔しさがある
勉強した意味を見出だせない
特に社会人になるまでに学んできた項目とは全く異なる業種の仕事に就いたとき、「学んだ事を活かせない」ことに悩む機会が増えていきます。
頑張って学んできたのに、仕事で何も活かせていない絶望感を感じてしまうと、以降のモチベーションを上げるのに苦労するかもしれません。
筆者が勤めていた職場でも、障害者雇用で高学歴の社員がいました。英語が得意で、かつ仕事の知識も細かく書き込むような熱心な方でした。しかし、どちらも活かす場面が見つからず体調を崩してしまったのです。そのような事態を受け、心を痛めた経験があります。
仕事の知識を学べるのに、実務に活かせない
知識として学ぶことは得意なのに、
・うまくコミュニケーションが取れない
・自分の考えや言動を理解してもらえない
・学力をどう活かしたらよいか分からない
このような理由から力を発揮しきれないことで苦しんでいませんか?
次は高学歴を持つ方がどのようにして強み(学力)を活かせばよいのか、ヒントをお伝えします。
高学歴の方が強みを活かす対策は?
アウトプットを増やしてみる
これまでに学んだことや仕事での知識を、自分の中だけにしまっていませんか?勉強はテストで力を測ることができます。意識しなくてもテストでもって「アウトプットする機会」があったわけです。
しかし、仕事にそのようなテストはありません。仕事で力を測るにはインプットだけでなく、その知識を自身でアウトプットしていく工夫が必要になります。
今置かれている状況の中でどのような項目を活かせるか照らし合わせたうえで、上司などと相談していく必要があります。こちらの記事「目標管理の一種、OKRとは?障害者の業務スキル向上にも繋がる!」を参考にして、業務目標を共有してみましょう。
自分との違いを意識しすぎない
全く意識していなくても、周囲があなたとの「違い」を意識していることが多いかもしれません。ですからできる限り学歴を意識しすぎないよう注意することが必要です。
意識していなくても、無意識のうちに「他者との違い」を表現しているという可能性も考えられます。このような先入観や潜在意識を確認する方法の一つに「アンコンシャスバイアスを知る」ことがあります。
こちらの記事「アンコンシャスバイアスとは?職場で嫌われやすいときは要チェック!」を参考にして、自身の先入観や価値観を振り返ってみましょう。
関連記事:アンコンシャスバイアスから発達障害の自分ルールや思い込みを改善!
できないことについては、周囲の力を借りる
これまで「能力が高い」自分だけを意識してきたかもしれません。仕事でもって初めて「できない部分」「苦手な部分」に直面し、動揺していることがあるかもしれません。
しかしながら、どのような方にも苦手なことやできないことがあります。ですからできないことや苦手なことについて素直に受け止め、他者に力を借りることも「スキル」です。
対処の一つとして「アサーション」というコミュニケーション方法があります。これは「自分の意思も尊重しながら相手の気持ちも踏まえて表現する」方法です。こちらの記事「『アサーション』とは?意思表示が苦手な発達障害にもメリットあり!」を参考に、コミュニケーション方法を見直してみるのも良いかもしれません。
学歴だけに注目され、仕事がしづらい場合は新天地を検討してみよう
学歴に関係なく謙虚に仕事と向き合いたいのにも関わらず、周囲に学歴ばかり注目され仕事がしづらい…というケースも考えられます。さらにはこれまでに学んできたことと全く関係のない業務のために、不完全燃焼を感じていることがあるかもしれません。
そのようなときは「カスタマイズ就業」で、自分の良さを活かせる環境を検討してみるのも良いかもしれません。カスタマイズ就業には、今まで取り組んできたことを無理せず活かせるチャンスがあります。
「障害を持ちながら、自分の良さをもっと活かしたい」「学んできたことを活かしたい」と感じたら、Salad編集部までご相談ください。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
学歴だけに関わらず何か突出したものを持っていると、周囲の注目を受けやすいです。期待が大きい分、欠点にも注目が行きやすい問題があります。しかし、これまでに努力してきたことを無駄にしてしまうことは勿体ないことです。
自分自身を見つめ直して、本来の力を活かせるよう心掛けていきましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。学歴は高くないが職歴が特殊で注目されやすかったため、就職活動や次に勤めた職場などで偏見を受けた経験がある。