高度プロフェッショナル制度とはどんな制度?
高度プロフェッショナル制度とは
「高度プロフェッショナル制度」とは、高度な専門知識を有し一定水準以上の年収を得る労働者について、労働基準法に定める労働時間規制の対象から除外する制度です。
働き方改革に伴い2019年4月の改正法施行により新たに導入されたものです。労働時間に関しては、下記の参考リンクをチェックしてみてください。
多様な働き方が浸透していく中で誕生した
多様な働き方が進んでいく中、「長時間労働」や「プレゼンティーズム」などを発生することをなくしていくために「働き方改革関連法」が生まれました。
高度プロフェッショナル制度に関しても、これらを防ぎ効率的に成果を挙げるために生まれた制度なのです。
今回は、この「プロフェッショナル制度」について紹介します。まず、どんな業種や業務が制度の対象となるのでしょうか。
高度プロフェッショナル制度の対象業務
金融商品の開発業務
金融商品とは、金融派生商品(金や原油、株式や債権などの減少件に依存して価値が変化する証券)及び同様の手法を用いた預貯金をいいます。
この取引のリスクを減らし、より効率的に利益を得るために専門知識でもって開発する業務です。
金融サービスの企画立案・構築業務は高度プロフェッショナル業務の対象とされていません。
金融商品のディーリング業務
「ディーリング」とは、金融用語の一つです。主に証券会社や銀行などで、自社資金を使用して株式や為替などの売買取引を行う業務のことを指します。
証券会社のディーラーや、資産運用を行う有価証券の取引を行う業務などが該当します。しかし、これらの業務の補助や金融機関の窓口業務などは対象に含まれていません。
アナリストの業務
有価証券市場の動向など、又は有価証券に関する価値の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言をする業務が対象となっています。
また、これらのデータ入力や整理を行う業務などは対象とされていません。「アナリスト」に関しては、下記の参考をチェックしてみてください。
コンサルタントの業務
顧客事業の運営に関する重要事項についての調査または分析及びこれに基づく当該事項に関する考案または助言の業務も該当します。
また、「企業」など法人に対してのコンサルティング業務が対象です。個人を相手としてコンサルティングは対象としていないほか、「調査・分析のみを行っている」「助言のみを行っていて、調査や分析をしていない」場合は対象となりません。
研究開発業務
新たな技術、商品または薬務の研究開発に係る業務が該当します。職場から作業手順やスケジュール等が管理されている場合は対象となりません。
このように、従来の定められた勤務時間内では成果を発揮しにくい業務を優先に対象となっています。次に、この高度プロフェッショナル制度を受けることでどのような効果があるのでしょうか。
高度プロフェッショナル制度のポイントとは?
労働時間ではなく、労働の成果に応じて賃金を支払う
高度プロフェッショナル制度は、労働時間も自由に決めることができます。したがって時間ではなく労働の成果に応じて賃金を支払うスタイルになります。
自分の仕事はもう終わっているのに、勤務時間終了まで職場に居ないといけない…というケースがなくなるのです。
反対に言えば企業から考えて、勤務時間の縛りがなくても成果が計算できる存在でいる必要があると言えるでしょう。
出勤・退勤時間を自由に決められる
上記のとおり、勤務時間を自由に決めることができます。そのため、朝の満員電車の時間を避けることや、作業状況に応じて勤務時間を調整することなども可能です。
よって自分の作業の進捗状況や、今後のスケジュールを自分で把握していなければいけないということになります。
仕事と私生活のバランス(ワークライフバランス)を保ちやすくなる
より効率的な働き方になり、長時間労働や休日出勤なども減ります。これにより、仕事と私生活のバランスを保ちやすくなるでしょう。
労働意欲が向上する
自分に適した生活や働き方をすることで、働くモチベーションを保ちやすくなり労働意欲が向上することが望まれます。
それでは、高度プロフェッショナル制度を受けるにはどのような条件が必要なのでしょうか。
高度プロフェッショナル制度の対象になるには?
一定の年収を受けていること
高度プロフェッショナル制度を受けるには、一定の年収額を受けている必要があります。
使用者(企業など)から受けている年収金額が1,075万円以上である必要があります。
高度の専門的知識を有し、職務が明確に定められていること
高度の専門的知識を有し、それを活かした職務であることが「労働者」と「使用者」との間の合意の上である必要があります。
特性を活かし、それが企業全体の求めるものだと認められているということです。
条件に該当するかどうか、労使委員会による決議がなされる
労働者の代表が半数を占めた中で「労使委員会」が設置されます。この委員会の決議により、高度プロフェッショナル制度に該当するかどうかの決議がなされます。
該当の項目をクリアし労働基準監督署に届け出たのち、本人の同意を得て制度導入が決まります。
参考:労使委員会 – 厚生労働省
参照:高度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説 – 厚生労働省
参照:高度プロフェッショナル制度について – 厚生労働省
障害者にも、個性の活かし方を知ればチャンスがある
「年収1075万円…」「労使委員会の決議…」など、自分には遠い存在のように感じてしまったかもしれません。確かに高い年収額を得るには相当な成果と長い期間を要することでしょう。対象業務も現時点では、関連の業種につくこと自体が難しいかもしれません。
しかし、障害者だからといって可能性が全くないというわけではありません。障害からなる特性を知り、強みとして活かすことができれば「専門的知識」として必要とされる可能性はあります。
そのきっかけのひとつに「カスタマイズ就業」があります。
カスタマイズ就業は、従来の「苦手なものを克服していく」福祉的要素の強い働き方ではありません。本来持っている強みを活かして活躍していくというスタイルなのです。
従来の障害者雇用よりも、自分らしさを大いに出すことができるチャンスになります。
Saladでも、このカスタマイズ就業を応援しています。また、長所を活かせる非公開求人をこちらで取り扱っております。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
高度プロフェッショナル制度は、まだ生まれたばかりの制度です。今後の働き方のニーズや動向によっては、制度の範囲や内容が変わることがあるかもしれません。
今後自分にもチャンスが来るかもしれない。そう意識しながら働き方改革の今後に注目してみましょう。