複数人との会話ができないことで悩むひとがいる
一対一の会話は問題なくできるケースもある
発達障害は、コミュニケーションに困難を感じやすい障害です。しかし、誰しもが会話ができないわけではありません。相談事や友人と二人で話すときは問題なく話せるという方も多いのではないでしょうか。中には発達障害を持っていても、一対一の交渉事に強いという方もいます。
しかし、複数人の中に入ると突然話せなくなる
しかし、そのような方でも4~5人の中での会話や、大勢のなかでの打ち合わせになると突然話せなくなるケースがあります。ここにも発達障害の特性が関係していることがあります。
今回は、
〇複数人との会話が苦手な理由
〇複数人との会話をする際の対策
をご紹介します。
相手が複数人になると、会話ができない原因
どのタイミングで話したら良いかわからない
複数人になると、話すタイミング(声を発するタイミング)が分からなくなることはありませんか?
一対一では、相手が話していないときに話せばよいのでシンプルです。しかし、相手が複数人になると難しくなり、「全員が話していないとき」というケースは少ないです。
結果、それまで待とうとしたり、一方的に話し過ぎてしまったりなどうまく話せないケースがあります。
テンポの速さに混乱する
一対一の時と比べて、複数人の話は会話のテンポが速いことが多いです。話題の変化、話し手の変化など移り変わりが目まぐるしく行われます。会議などを除き、あまり重大な話が行われるケースは少なく、内容も曖昧であることが多いです。
そのため本質(議題)が見えず理解に困ることや、話し手と聞き手を常に両方意識していないといけない「マルチタスク」に困るケースがあります。
自分の役割や話し手など、意識の向け方に困ってしまう
会議などで正式な進行役がいれば分かりやすいですが、普段の会話の中では話し手や役割がコロコロ変わります。普段の雑談では、会議のような明確な「司会」がいません。順番通りに発言するルールもありません。そのためグループの中で自分がどの役割なのか、意識をどこに向ければよいか明確でないことが多いです。
その場その場で見極めないといけないため、判断に困ってしまい何も話せなくなってしまうケースがあります。
雑談など、本質的でない会話が苦手
「雑談が苦手」という方は多いのではないでしょうか。複数人との会話の特徴は、「議題やテーマがない雑談が多い」ところです。会議などあらかじめ話すテーマが決まっていれば問題がなくても、普段の日常会話では何を話したらよいか分からなくなってしまいます。
「数ある話題の中から、どうしてその話題が出てくるのだろう?」と感じたことはありますか?雑談に根拠を求めてしまって、何も話せなくなってしまいます。
複数人との会話で、仕事をしやすくなることがある
複数人の会話は、特に職場では必要な場面に遭うことがあります。良く話すことで相談しやすくなる環境ができることもあります。お互いが心地よくコミュニケーションを取るためにどのようにすればよいのでしょうか。
【発達障害】複数人とのコミュニケーションのコツ
普段は聞き手に回り、話題を振られた時に話すようにする
話すタイミングが分からない、自分の役割が分からないなど、複数人との会話で迷った場合は聞き手に回ることがいちばんです。なぜなら話し過ぎは不快感を与えやすいですが、聞き過ぎで周囲を不快にさせることは少ないからです。
さらに意識の中で「聞く」役割のみに絞れば、会話のスピードに追い付きやすくなり、内容も整理しやすいです。ただし、ここでの「聞くこと」は「話さない」ことではなく、相手の話を受け取ることです。話すタイミングを待つことではありません。しっかりと相手の話に対して自分なりに考える必要があります。
もし話したい話題があるときは、「〇〇さんはどう?」など、話題を振られたときに話すようにしましょう。
雑談の意味を見直してみる
よく雑談の話題に困ったら天気や食べ物の話などをするとよい、と言われています。「天気なんて見ればわかるし、話す意味はあるの?」と感じるかも知れません。そもそも、雑談の話題そのものに明確な目的はありません。内容そのものに意味があるのではなく、雑談で何かの答えを導き出そうということでもありません。
とはいえ何のために話すのか、目的が分からないと不安になる方もいるのではないでしょうか。雑談の目的は、やり取りを繰り返すことで会話や意思の疎通をしやすくするために行われます。
突然本題や重大なことから話すと、相手が受け取りにくく誤解されるおそれがあります。また、雑談のリズムも崩れやすいです。だからこそ、一見意味のない「天気」の話などをするのです。雑談を繰り返すのは、大切な時でもスムーズに話せるようにするためと覚えておきましょう。
参考:発達障害24歳男性と「会話」が成立しないワケ | ボクらは「貧困強制社会」を生きている | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
問題がなければ、複数人で話す場を避けるようにしよう
どうしても辛い場合は、避けてもよい
ここまでいかに複数人との会話ができるようになるのかについてご紹介してきました。しかし、適応しようとし過ぎて体調が悪くなるようであれば、無理に複数人と会話をすることはありません。
もし相手から「複数人のなかでしかあなたに話すことがない」と言われたら、もともとそのような方は信頼してはいけません。本当に信頼できる方は、話す形式や人数で態度を変えず、個々に会話をしても応対してくれる方です。
確かに話せた方が周囲とやり取りしやすくなりますが、無理をしなくても信頼されることはできます。苦手な場合は、業務などで支障がない限り複数人で話す場を避けましょう。
大切な話は、個々で話すようにする
複数人の前で重大な話をするケースは少ないです。初めから話すことが決まっている場合や、大切な話をしたい場合は、個々で話すようにしましょう。
双方誤解をしないためにも、あなたが落ち着いて話せる環境をお願いすることも大切です。
参考:「発達障害」の妻との会話が驚くほどかみ合わない(鈴木 大介) | 現代ビジネス | 講談社
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
複数人との会話は他にも「陰口」や「仲間意識の強さ」から苦手とする方もいます。確かに工夫は必要ですが、今回触れたように無理に複数人の中に入る必要はありません。
他にも信頼を得る方法はたくさんありますし、グループの中に入らないと相手にしてもらえないような方たちは、信頼のおける方たちではないことが多いです。ですから、あなたなりの人の関わり方で信頼し合える方たちと向き合っていきましょう。
その方法のひとつとして、今回ご紹介した方法も参考にしてください。