アビリンピックって何?実際に参加した人に、話を聞いてみた

アビリンピックとは?

(以下、KIPE甲府のメンバーさんが書いた記事です)

アビリンピックとは、”アビリンピック(全国障害者技能競技大会)”を指します。

これは《ability(技能)+Olympic》の造語で「アビリンピック」という呼称は、大会を親しみやすいものにするための愛称として使われています。その内容から、障がい者の技能五輪とも呼べる大会です。

実施機関はJEED(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)で、開催当初は主に身体障害者が製図・旋盤などの技能を競い、職業能力を人々に示そうとする大会でした。昭和47年(1972)に第1回大会が千葉県にて行われました。

アビリンピックは、障害のある人々が日頃培った技能を互いに競い合うことで、その職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々に障害のある人達に対する理解と認識を深めてもらい、その雇用の促進を図ることを目的として開催されています。1997年の第22回大会からは知的障害者、2006年の第29回大会からは精神障害者の参加が始まりました。平成30年現在38大会を数え、その競技内容は『機械・金属系』1種目、『建築・工芸系』5種目、『電子技術系』7種目、『情報技術系』7種目、『サービス・ファッション系』7種目等となっています。

第1回から第9回までは毎年度開催されましたが、昭和56年度に日本(東京)で第1回国際アビリンピックが開催されて以降は、原則として国際アビリンピックが開催される年度を除き、開催されることになりました。

更に最近では、併せて障害者ワークフェア(アビリンピックの一環として障害者雇用促進のための総合的な催し)が開催されています。

地区大会もある。

技能競技の22種目等や技能デモンストレーション2職種等で其々の職業能力を競います。近年の参加選手数は200人台後半から300人台前半と、増加傾向にあります。雇用とのつながりは数値化されていないものの、参加者には訓練施設などからにとどまらず、企業在籍者も少なくありません。

参加選手の選抜は全国大会の年に行われます。選抜の場は、都道府県に置かれているJEEDの支部が毎年実施している「アビリンピックの地区大会」です。成績優秀者が代表選手となり、全国大会前には自治体で結団式も行われます。大会の表彰は、金賞・銀賞・銅賞・努力賞の4カテゴリーです。

具体的にはどんな競技がある?

◆技能競技例としては以下の22種目等があります◆
※基本的に「競技課題A」という課題が、大会開催”前”に公開されます。更に「競技課題B」という大会”当日”に与えられる競技課題があります。更にAとBを兼ねている場合がある競技種目もあります。

①洋裁
②家具
③DTP
④機械CAD
⑤建築CAD
⑥電子機器組立
⑦義肢
⑧歯科技工
⑨ワード・プロセッサ
⑩データベース((知的障害者に限る)
⑪ホームページ
⑫フラワーアレンジメント(
⑬コンピュータプログラミング
⑭ビルクリーニング
⑮製品パッキング
⑯喫茶サービス
⑰オフィスアシスタント
⑱表計算
⑲パソコン操作(視覚障害者に限る)
⑳パソコンデータ入力(知的障害者に限る)
㉑縫製
㉒木工(知的障害者に限る)

◆技能デモンストレーションとして以下の2職種等があります◆
①ネイル施術(例:技能デモンストレーション ネイル施術『ベーシックマニキュア(競技時間例70分)』等。
②ベッドメイキング(例:競技課題=指示にそって用意された客室の清掃、整頓作業を行う。実演回数は1人1回で競技時間例は20分以内/参加者1名など。

※以上、競技種目・職種は参考までに表記させて頂きました。詳細については各大会ごとにご確認いただければ幸いです。

アビリンピックに参加する3つのメリット

〇技術の向上〇

他者の技術を実体感することによって、自身の現実レベルをリアルに認識することができる。具体的なマイナス面や目標がみえてくるので、レベルアップに活かせる。

〇拡がる視野〇

200から300人前後という多様な参加者やその関係者そして開催地の風土等々、競技以外にも多角的な刺激がある。

〇切磋琢磨〇

ライバルを意識することで良い競争心が湧き、努力の原動力にもなる。参加者同士の交流などもあり、結果互いに励ましあう関係に発展することもある。また大会は続くので、継続的な目標を掲げて挑戦することができる。

アビリンピック大会に参加してみて・・

これは実在の障害を持つ男性の例なのですが、彼はもともとパソコン操作に興味を持ってはいたものの、技術的にはまずまずという日常を送っていました。しかし或る日、同僚のアビリンピック参加というきっかけで全国規模の競技大会の存在を知り、大会に興味を持ち始めました。さらには自身も参加してみたいと思うようになり”全国を意識して技術を磨く”という現実的で高いレベルの目標を持つようになりました。

それからの彼は、仕事の後やプライベートの時間も惜しんで技術の研鑽に励みました。勉強とチャレンジの日々を経てその結果、勤め先ではパソコン初心者の指導や某社のホームページ作成・管理などを任されるようになりました。そのような流れの中で彼自身も大会出場という目的だけではなく、良い意味でライバルから刺激を受け、また新たに「人の上に立って仕事を進め、人や仕事をまとめていく」という、彼自身は本来得意でなかったコミュニケーションの課題へも意欲的に取り組むようになりました。

そして彼は今ではアビリンピックの競技種目内で上位に名を連ねるようにまでなりました。同じように大会上位に名を連ねているライバルたちに負けじ! そして職務上必要なコミュニケーション力の向上を目指すぞ! と彼は現在も日夜、技術と働くスキルに磨きをかけ続け奮闘の日々をおくっています。

まとめ、メリットがとても大きい

このアビリンピックですが、参加することで技術も向上し視野も拡がり人脈も拡がり、何より自分自身の大きな成長が期待できるようです。前述の彼は言い切っていました。

「アビリンピックにメリットあれど、デメリット無し。」力強い言葉でした。

アビリンピックは現在、各地方都市で開催されるようになりました。これは全国の事業主や市民一般に障害者の職業能力についての理解と関心を深めてもらうためです。そして今後も時流に合わせた競技種目が加わるなどしながら、障害者の職業技量や職業意識の向上・企業などの障害者への関心や理解等の大きな機会として、ますます発展していくでしょう。