発達障害があるから恋愛・結婚できない?と不安になる前に

発達障害を持つ人の恋愛・結婚への関心について

交際中の二人
Yahoo!知恵袋で「発達障害」と検索すると「発達障害 仕事」などと並んで上位に「発達障害 結婚」というワードがサジェストで表示されます。

結婚に関する疑問が発達障害を持つ人の関心のある事項であることがうかがえます。

ただしこれは他のワード(ほかの障害や病気の名前)でも同じことが起きる場合があるので、発達障害を持つ方だけに特別に恋愛・結婚に関心が強い人が多いわけではないでしょう。

参考:NHK バリバラ|ジャンルトークアーカイブ|恋愛・性

恋愛や結婚に関心がある人は多い

結婚を喜ぶ二人

恋愛・結婚願望自体には特に問題はない

恋愛したい、結婚したいという希望は多くの人が持つものです。

前項でも述べましたが、恋愛・結婚願望はよくあるもので、特別変わったものではありません。

ただ、それ自体を「目的」としてしまうと混乱してしまうかもしれません。

恋愛・結婚の目的とは?

「恋人さえできれば幸せになるのに」

「結婚さえできれば幸せになるのに」

と考えていないでしょうか?

果たしてそうでしょうか?

結論から言うと「『恋愛・結婚=ゴール、幸せ』ではありません。」

それ自体が目的(=ゴール、幸せ)になってしまっている人は、その目標を達成した時に「何かが違う」「こんなはずではなかった……。」とがっかりしてしまうことになるかもしれません。

「自分にとってのゴール、幸せとは何か?」が重要です。

「恋愛・結婚=ゴール、幸せ」にすり替わってしまっていた人は、一度よく考えてみたほうが良いかもしれません。

参考:平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版): 子ども・子育て本部 – 内閣府

恋愛・結婚について具体的に考えてみよう

ペアシートに座って映画鑑賞する2人

恋愛・結婚すると実際どのようなことが起きるのか

漠然としたイメージだけではよくわからないと思いますので、恋愛・結婚するとどのようなことが起きるのか、より具体的に考えて想像してみるとよいでしょう。

まずはメリットとデメリットについて考えてみましょう。

参考:異性との距離感、トラブル:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト|NHK

恋愛するメリット

恋愛することで仕事を頑張れる2人

日常の生活が楽しくなる

相手からメールやLINEが届くだけでもうれしく思えたり、相手に会えるのを楽しみに仕事を頑張れたり、相手に関わることならささいな事でも喜びを感じられるようになる場合があります。

人を思いやる力を身につけやすくなる

相手を喜ばせたい、自分のことを良く思ってほしいという気持ちから、「相手がどう思うか」を考えた言動や行動をとるように心がけるようになりがちです。

仕事などへのモチベーションが高まる

恋愛することによってプライベートが充実し、仕事のオン・オフにもメリハリが強く感じられるようになります。

そのために恋愛をすることで仕事にも熱心に打ち込めるようになる場合があります

参考:男女が恋愛をする意味とは?恋をして付き合うメリット/デメリットを解説 | Smartlog

恋愛するデメリット

一人になりたい人

自分の自由にならない時間が増える

友人や趣味、一人の時間を大事にする傾向が強い場合は特に、今まで自分が自由に使えていた時間が減ると感じることが多くなることをデメリットに感じる可能性があります。

特に時間の過ごし方や予定を守ることなどにこだわりの強い場合は、そのことを心に留めておくとよいでしょう。

参考:こだわり、不安がつよい:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト|NHK

お金がかかる

一緒に食事をしたり、デートしたり、プレゼントを贈るなどで自分の自由に使えるお金が減ると感じる場合もあるでしょう。

お金をかけないで一緒に過ごす方法を考えたり、一人の時間を確保することを理解してもらうこともある程度は考えられますが、自分の要求を優先することが度を過ぎると関係を保てなくなることがあります

参考:すぐ別れるカップルの特徴と長続きカップルの“差”とは。長続きしない理由は貴方にある? | Smartlog

悩み事が増える可能性がある

相手は自分とは別の考えを持った人間ですので、当然意見が異なる場合やコミュニケーションがうまくいかない場合もあります

自分の意見を強引に押し付けたり、無理に相手に合わせすぎて疲弊したりといった極端な反応ばかりを続けないようにして、ストレスがたまるのを防ぎましょう

参考:恋愛をする意味とは?好きな人がいる日常のメリットとデメリット | タップルラボ | タップル マッチングアプリ・恋活サービス【公式】

結婚するメリット

家事を分担する家族

居場所(新しい自分の家庭)を作れる

帰る場所があること、ずっと一緒にいられることがうれしいと感じられるというメリットがあります。

家事や仕事を分担できる

一人の時は別々に行っていた家事などを分担して効率よく行うことができます

うまくできれば、コストも手間も一人分を2回行うよりも少なく済むでしょう。

生活費が減る

二人とも働いていれば収入は変わらずに生活費を分担したり、各種控除を受けることができたりして世帯全体の生活費を安くすることができます

家族が増えた場合はまた状況が変わりますが、消耗品や家賃、光熱費などは二人よりも一人暮らしの場合のほうが割高になるでしょう。

参考:【ホームメイト】ルームシェアのメリット | ルームシェアをお考えの方の賃貸お部屋探し | 賃貸マンション・アパート情報

結婚するデメリット

家事の負担が増えた人

家事の負担が増える

家事を分担して効率よく行えればよいのですが、どちらかが家事をせずに相手に押し付けてしまうと不満の原因になります

家事を相手に押し付けていることに気づかずに「やってもらって当然」「やるのが当たり前」などと思い込んで放置していると、後々取り返しのつかない事態を招きかねません。

参考:掃除が苦手な発達障害の夫の部屋がすっきり。コツはミニマル化(ESSE-online) – Yahoo!ニュース

人間関係が大変

相手の家族や親戚、友人などとの付き合いが負担になる場合があります

特に相手の父母、兄弟姉妹などにはとくに厳しい目で見られて、障害や健康状態についても「なぜここまで悪く言われたり思われたりしなければならないのだろう?」と思うこともあるでしょう

そういう時に相手に相談しても取り合ってもらえないなら、今後も家族よりも自分の味方になってくれる人とは考えにくいのではないでしょうか。

参考:「義両親」に関するQ&A – Yahoo!知恵袋

経済的な負担が増える・お金を自由に使えない

結婚前に双方とも自立した生活をしていて、結婚前と収入が変わらない場合で大きな買い物(家など)をしなければ極端に経済的に困りはしないと思われます。

それでも結婚前のように相手に相談なく世帯の収入を自分の好きに使うことはできなくなるかもしれません。

お金の管理について嘘偽りのない話ができない関係では、お金の問題が起きた際など、家庭を続けていくことは難しくなるでしょう。

また一方に経済的負担が集中するなど、家庭内の経済的暴力(DV)が起きないよう注意する必要があります。

参考:デートDVって? | 内閣府男女共同参画局
参考:発達障害の夫、カサンドラな妻:時事ドットコム

離婚について

結婚生活の危機にある、子供のいる家族

離婚についても知識はもっておくべき

結婚について真剣に検討するなら、離婚の制度についても知っておいてはいかがでしょうか。

離婚となった場合どのようなことが起きるのでしょうか?

離婚後の就職や恋愛にあたっての差別

就職の応募書類に婚姻歴の記載欄はありません(現在の状況のみ記します)。

またそれを理由に差別することも禁止されています。

その後の恋愛については、自分が恋愛する際に相手の婚姻歴を気にするかどうか考えてみてはいかがでしょうか?

おそらくいろいろな要素をみて判断するのであって、婚姻歴だけで判断するということはないのではないでしょうか?

参考:雇用における男女の均等な機会と待遇の確保のために |厚生労働省

離婚が難しい場合がある

結婚生活を続けるのが難しくなり離婚したいと思ってもすぐに離婚できない場合もあります

片方が離婚を希望しても、もう片方が同意しない場合は離婚調停となり、それでも解決しない場合は離婚裁判となり月1回のペースで審理が行われます。

どちらにしても相手の同意が得られない場合は時間と手間がかかると思ったほうがよいでしょう。

離婚は負担が大きい

離婚に関わる手続きなど自体の負担が大きいのも問題です。

一緒に住んでいた場合は子供の問題、引越し、結婚で改姓した人の場合は戸籍や銀行口座・免許証・各種身分証などの姓の変更手続きを行う必要があります。

ある程度関わりのある周囲の人には知らせる必要もあるでしょう。

費用がかかったり、精神的にも負担が大きいことの連続になったりするので疲弊してしまう可能性があります。

参考:夫婦・男女|法テラス

「〇〇さえすれば幸せになれる」ということではない

突然のパートナーとの死別でショックを受ける人

万能の解決策にはならない

ここまでお読みいただいて、恋愛や結婚は良い面ばかりではなく、さまざまな困難やリスクを抱えていること、またそれ自体がゴールではないことはご想像いただけたと思います。

「恋人ができれば幸せになれる」「結婚さえすれば幸せになれる」という考えは不確かなものであるといえるでしょう。

恋愛・結婚、あるいはパートナーは現在自分が抱えているトラブルをすべて解決してくれる万能の解決策とはなりません。

もしパートナーを経済的な不安・家事労働の苦手・孤独感などを解消するための手段や自分の支援者がわりにしようとしているのなら、自分に必要なものが恋愛・結婚なのかよく考えてみたほうが良いかもしれません。

まったく違った形の解決策が悩みを解決し、不安を軽減したり、生活を充実させてくれるのかもしれません

参考:発達障害サバイバルガイド | 書籍 | ダイヤモンド社
参考:障害福祉サービスの内容 |厚生労働省

突然の理不尽な別れ

また、お互い生きている以上、パートナーとの死別もありえます。

突然の理不尽な別れに大きな悲しみと向き合わなくてはいけない状況になるでしょう。

比較的年齢が若く、持病などがない場合でもないとは言い切れません。

筆者は30代ですが、現時点で友人2人が配偶者と死別しています。

そのような場合も含めて人間関係は永続的なものではありませんし、思い通りにはなりません

参考:死別の衝撃、遺族を襲う嵐のような感情 どう向き合う?:朝日新聞デジタル

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まとめ

恋愛・結婚を通して将来について考える人

繰り返しになりますが、「恋愛・結婚=ゴール、幸せ」ではありません。

「自分にとってのゴール、幸せとは何か?」が重要です。

まずは「なりたい自分」「やりたいこと」などの目指すゴールを思い描き、それに向けて自分で責任を持って判断できて、自立・自律を意識して行動していれば「恋愛・結婚できないから幸せになれない」「恋愛・結婚さえできれば幸せになれる」とは思わないでしょう。

そのうえで初めて他者と対等で健全な人間関係を築けるのではないでしょうか?

皆様がより充実した日々が送れるよう願っています。

【筆者紹介】
30代女性。離婚経験あり。20代でASD(自閉症スペクトラム障害)の診断を受けている。

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