メンタルが弱い、強いは存在する?
うつ病発症などの際、『メンタルが弱い』と言われやすい
よくうつ病やパニック障害などの精神障害を発症する際、周囲から『気持ちが弱い』『メンタルが弱い』と言われやすいのではないでしょうか。
そうして職場など、周囲から『弱さ』を指摘されることで、ひどく落ち込んでしまうこともあったかもしれません。『仕事ができなかったのは自分の心の弱さのせいだ。もっと頑張れたはずだ』と責めることもあるでしょう。
メンタルに『強さ』は存在するのか疑問に感じる
ずっと我慢し続けてうつになった自分が『弱い』、周りに甘えながらも要領よく仕事を続けている人が『強い』のでしょうか。
そもそも、メンタルに『強い・弱い』は存在するのでしょうか?
その答えを紐解くワードとして、『メンタルタフネス』があります。
メンタルタフネスとはなに?
メンタルタフネスとは
『メンタルタフネス』とはストレス耐性を主とした、心の強さを現す言葉です。近年、精神的な耐性が仕事のパフォーマンスに大きく影響するとして、様々な企業が注目しているのです。
さて、このメンタルタフネスは『メンタルの強い・弱い』にどう関係してくるのでしょうか。ポイントを紹介します。
メンタルタフネスのポイント
メンタルタフネスは、主に3つのポイントによって考えられています。
把握可能感
『把握可能感』とは、自分の置かれている状況やこれから起こりうる状況を予測できたり、理解できたりする感覚です。
先に対する不安を抱えたまま生活しているのと、予定や行うべきことを理解した上で生活しているのとでは、心身へのダメージが大きく関わります。
自分における過去・現在・未来が理解できていることは、メンタルタフネスにおいて心の強さに大きく関わるとされているのです。
処理可能感
『処理可能感』とは、何とかなる、きっと大丈夫という感覚です。メンタルタフネスでは、良い意味で楽観的に捉えられることで、心身へのダメージが大きく変わるとされています。
有意味感
『有意味感』とは、日々の仕事や生活にやりがいや生きる意味が感じられることです。
例えば仕事が辛くても、『意味があること』『必要だと感じていること』と認識していれば心へのダメージは少なく、ストレスが活力になるケースもあります。
この意味が見出だせない場合、行っていることへの不安が加わります。また、意味のないことをやっていると感じることで、活力も得にくいです。
参考:メンタルタフネスとは? | 実績1200件以上のメンタルヘルス研修・メンタルタフネス研修【株式会社メンタルグロウ】
メンタルの強さは存在するが、弱い=精神障害とは限らない
心の強さは、置かれる環境や立場によって変化する
メンタルタフネスの特徴を紹介しました。共通して言えるのは、『心の強さは個人の力ではなく、環境や立場によって変化する』という点です。ですから個人に心の強さの差があるというよりは、その環境にマッチしたメンタルかどうかという方が大きいのではないでしょうか。
よって精神障害を発症したことと、メンタルの弱さは直結していないということです。正確な表現を考えると、今の職場で『自分の心の強さを発揮できなかった』という方が近いかもしれません。
ですからうつやパニック障害を発症したことで『自分はメンタルが弱いんだ…』と落ち込むことはありません。あなたにも心の強さは存在するのです。
筆者も心の強さの変化を感じてきた
これは筆者の話になりますが、筆者も最初に詰めた職場でうまくいかず、うつ病を発症したことがあります。この際に周囲からは「メンタルが弱い」「ガラスのメンタル」など指摘されたものです。
その時はひどく落ち込みましたが、環境を変えてみれば困難を乗り越えたり、切り開いたりすることも多くあります。「弱さと向き合う時間があったからこそ見えるもの」も多くあるのです。
下記の2件の関連記事は、筆者が周囲から「メンタルが弱い」と呼ばれていた当時の状況を紹介したものです。興味がありましたら併せてチェックしてみてください。
関連記事:【ワークエンゲージメント向上】職場での心理状態を振り返る体験談
関連記事:ASD男性、燃え尽き症候群・ワーカホリックの体験談。心理状態や対策は
では実際に現在の状況を打開するために、メンタルタフネスを高めるにはどんな工夫をすればよいのでしょうか。
メンタルタフネスを高めるコツ
自分なりのストレス対処法を身につける
メンタルタフネスは、「ストレスへの耐性」です。しかし、耐性を強くしようとしても難しいでしょう。さらにはストレスに強いと過信してプレッシャーを受けすぎ、燃え尽き症候群などを起こしてしまう可能性もあります。
ですから決して「ストレスと正面衝突する」だけが良いというわけではありません。コツとしては、
・休日に仕事を忘れるくらいに没頭できるものに取り組む
・簡単な旅行に出かける
・その他、心身を休める工夫をする
これらの対処を行い、「ストレスでのダメージを最小限にする」ことも重要なのではないでしょうか。
自己効力感を高める
メンタルタフネスを高めるコツとして、自己効力感(セルフエフィカシー)を高めることと考えられています。
自己効力感とは、自分の能力や力に対して自信を持てる感覚をいいます。
『自分はこんなことができる』
『自分にはこれができるかもしれない』
このような期待感や希望を持てることが、自信のもととなり心の強さにつながるのです。
カスタマイズ就業で、メンタルタフネスを高めるチャンス!
メンタルタフネスはお伝えしたように、『置かれている環境』で大きく変化します。また、自己効力感を得られるか否かという点でも環境が関わってくるでしょう。
もし今の職場で心の強さを発揮できなかったら、環境を見直してみる機会かもしれません。
そのヒントが『カスタマイズ就業』です。
カスタマイズ就業は、様々な障害を持つ方の本来持っている個性や長所を活かして、社会貢献につなげる新しい働き方です。
Saladでは、このカスタマイズ就業をもとに長所を活かせるチャンスとして非公開求人を取り扱っております。
『自分の強さを活かしたい!』と感じていたら、Salad編集部までご相談ください。
関連記事:【発達障害】ワーカホリックに注意。対策に、カスタマイズ就業も!
関連記事:【発達障害を持つ方の就職】あなたもできる「カスタマイズ就業」とは
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
世間でよく言われる『メンタル弱い』と、メンタルタフネスでのメンタルの強さの意味は異なります。もっと言えば、1ヶ所の環境で苦しんだことで「イコールメンタルが弱い」となるほど、人の精神は簡単に決めつけられないのではないでしょうか。
ですからあなたもメンタルタフネスを高めれば、十分に強い人間になれます。自分を責めすぎず、むしろ『弱さ』と向き合ってきた経験を活かして、1歩ずつ進んでいきましょう。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。うつ病を発症したことをきっかけに、かかりつけの病院で広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。HSP傾向も強く敏感なことから、職場の同僚から「ガラス(並みに壊れやすい)の貴公子」と呼ばれていたこともある。しかし環境を変えたのちは頼りにされる存在になるなど、心の持ちようの変化を感じている。