【発達障害】話す距離が近いと言われたら、パーソナルスペースを確認!

会話の距離が近いと言われる

パーソナルスペースを誤り、コミュニケーションがうまくいかなくなってしまった男女

人に話しかける際、距離が近いと言われる

障害者雇用などで仕事をする際、上司や先輩から指示を受けたり、分からないことについて聞きに行ったりすることがあります。

そのようなときに「近い!」「そんな近くなくても聞こえるよ!」など、相手と話す『距離』について指摘されたことはありませんか?

筆者も発達障害を持ち障害者雇用で働いていた時に、同じ発達障害をもつ社員が顔の近くまで近づいてきたことがありました。「どうして?」と驚いた記憶があります。

人との適切な距離感を測るのが苦手

発達障害を持つ方の中には、このような人との距離感を測るのが苦手なケースがあります。上記のような物理的な距離だけでなく、精神的な距離感を測ることも含むのです。過去に距離感について指摘を受け、どう話しかけたらよいか分からなくなった方もいるかもしれません。

参考:「大人の発達障害」どう対処? 自己診断は禁物|ヘルスUP|NIKKEI STYLE

さらには、物理的な距離感を誤っただけで相手を不快にさせ、関係悪化につながることもあります。この様な事態に備えて、覚えておいてほしい言葉が『パーソナルスペース』です。

パーソナルスペースを学んでみよう

パーソナルスペースのイメージ

パーソナルスペースとは

「パーソナルスペース」とは、他人に近づかれると不快に感じる空間のことです。パーソナルエリアや対人距離とも呼ばれます。一般的には女性よりも男性の方がこの空間が広い(=男性の方が、接近させない)とされていますが、その国の文化や個々の性格によっても変化していきます。

親密な相手ほど狭くなっていく

一般的には、パーソナルスペースは親密な相手ほど狭くなっていきます。気心知れた相手ほど、近くにいても不快に感じにくいということです。反対に、敵視している相手や、緊張を伴う相手に関しては広くなる(近寄らせない)と考えられています。

参考:パーソナルスペースとは | ハフポスト

【パーソナルスペース】対話の距離にはどんなものがあるの?

パーソナルスペースを知りたい女性
では、どのような距離が「近く」どのような距離が「遠い」のでしょうか。パーソナルスペースで考えられている距離感の分類について紹介していきます。これには諸説ありますので、興味のある方は自分でも調べてみるとよいでしょう。

パーソナルスペースにおける距離感の主な分類

密接距離

【近接相】
・最も短い距離。0~15センチ。
・ごく親しい人や激しく感情をぶつけ合うときなどのみ。
・視線を合わせることや体を触れ合うことなどが重要なコミュニケーションになる。

【遠方相】
・15センチから45センチ。
・頭、ひじ、腰などが触れることはない。しかし手で相手に触れることができる距離。
・この距離感から生理的な不快感を持つケースがある。
・ひそひそ話をする際の距離になる。
・満員電車で密着することで不快になりやすいのはこの影響である。

個体距離

【近接相】
・45センチから75センチほど。
どちらか一方の人が自分の手足を使って、相手の体に触れられる距離の限界。
・相手の表情が正確に見分けられる距離である。
・夫婦や恋人関係であれば普通だが、無関係の人同士がこの距離感にいると不快に感じることがある。
・50センチは、相手を説得する際に効果的な距離とも言われる。

【遠方相】
・75センチから1メートル20センチほど。
・両手を伸ばせば触れ合うことができる距離。体によって相手を支配する(捕まえるなど)ことの限界の距離。
・相手の表情を細かく見分けることができるので、個人的な関心ごとや私的な交渉によく使われる。

社会距離

【近接相】
・1メートル20センチから2メートル10センチほど。
・相手の体に触れること、相手の微妙な表情を見ることができない距離。
・職場の同僚との距離としてよく使われる。
・この距離から相手を見降ろすと威圧感があるとされている。

【遠方相】
・2メートル10センチから3メートル60センチほど。
・顔の細部は見えず相手の姿全体が見えやすくなる距離。
・仕事上の話し合いなど、形式的な人間関係の場でよく利用される。
・他人を気にしないで仕事に集中できる距離と考えられている。

公衆距離

【近接相】
・3メートル60センチから7メートル50センチほど。
・相手の様子が分からず、個人的な関係が成立しにくい(会話などに発展しにくい)。
・この距離では逃走反応が起きやすいとされ、「講演などを抜け出そうと感じる」など他の目につきにくくする心理が働きやすいとされている。

【遠方相】
・7メートル50センチ以上。
・普通の声やボリュームで話すとニュアンスが伝わりにくい。
・表情や細かい動きが伝わらないため、個人的なやり取りが困難になる距離。

参照:パーソナルスペース | 心理学 | Ofee

このように、精神的な関係や立場によって距離への感じ方が大きく変わるのが分かります。

ほかに「排他域」「会話域」というエリアもある

これらのほかに他者と会話するにあたりポイントになってくるのが「排他域」と「会話域」です。ポイントは下記のとおりです。

【排他域】
50センチ以下。絶対的に他人を入れたくない範囲。会話などはこの距離では行わない。

【会話域】
50センチから1メートル50センチほど。日常の会話が行われる距離。このエリアでは「会話しないといけないのかな…」「話しかけようとしているのかな…」といった距離圧力を受ける。すなわち、この距離感では「会話を要する距離」と言える。

発達障害を持ち、相手から『距離が近い』と言われたときは、特にこの「排他域」と「会話域」を意識してみるとよいかもしれません。

職場で会話する際に気を付けること

注意点を明確に示す厳しい顔をした男性

職場で仕事の話をするときに、社会距離、公衆距離を心がける

仕事で「距離が近い」と言われる時は、密接距離~個体距離の間まで距離を詰めてしまっているかもしれません。

「これぐらい近づかないと気づいてもらえない」「聞き取れないことがあったら嫌だから近づこう」という意識はありませんか?

このような不安から近づいてしまうことがあるかもしれません。しかし近過ぎても相手が不快になり「聞く耳」を持たなくなることにつながるのです。

ですから仕事ではできる限り社会距離と公衆距離を心がけるようにしましょう。

忙しい時など、相手に緊張感があるときは特に注意する

パーソナルスペースは上記のような基準はありますが、個人の性格や精神状態によっても変化してくるでしょう。特に忙しい時などは緊張状態でピリピリしやすいです。

このようなときに相手の不快な距離に踏み込んでしまうことで、きついことを言われてしまうかもしれません。

このような場面で話しかけるときは、

・少し普段より距離を置いて話しかけてみる
・「今声かけていいですか?」「今お伺いしてもよろしいでしょうか?」など、一言加えてから話しかけてみる

などを行い、相手の警戒や緊張を刺激しないようにしましょう。

参考:コミュニケーションの困りごと全般:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト|NHK

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まとめ

距離感をつかみ、女性同士で楽しく談笑
いかがでしたでしょうか。

中には「たかが距離感くらいで好き嫌いには影響しないのでは」と感じた方もいるかもしれません。しかし相性が悪いことや嫌われてしまうことの原因は、一つ目立った行為からではないケースもあります。このような些細な行動の積み重ねから、相手を不解任させてしまうこともあるのです。

もし特に悪いことをしていないのに嫌われる場合は、パーソナルスペースのような小さな行動を見直してみることが必要かもしれません。

【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。HSP傾向も強く、他者よりパーソナルスペースは広め。

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