自己肯定感が低く、働く自信が持てない…
自己肯定感とは
「自己肯定感」とは、自分が自分であることを受け入れ、認められる感覚のことです。自分の価値を認めることや、自信の源になるエネルギーになります。
発達障害を持つ方は、自己肯定感が低くなりやすい
発達障害を持つ方は、この自己肯定感が低くなるリスクが高いです。
理由として、
・過去の失敗体験や叱責された経験を引きずりやすい
・周囲との違いから馬鹿にされる、非難される経験をしやすい
・大人になって発達障害に気づいた場合、自分の努力不足を意識する機会が長くなりやすい
このような事情により、自信を失いやすい問題がある場合も。
それでは自己肯定感が低い場合、職場ではどのような形で現れるのでしょうか。
自己肯定感が低いと、仕事ではこんな支障が起きる
①他人の言葉を素直に受け止められなくなる
他人の言葉を素直に受け止められなくなることが多いです。厳密にいうと『褒め言葉は悪く、批判や悪口はより悪く』捉えるようになるのです。
例えば、「君の真面目なところが素晴らしいよね」と言われたとしましょう。
そのようなときに自己肯定感が低くない人であれば、「真面目と思ってくれているんだな」と感じます。しかし自己肯定感が低い人の場合、無理やりにでも悪く捉えようとしてしまうのです。
「真面目と言っておいて、裏では堅物だと思っているに違いない」
「相手は何も褒めるところがなくて、適当に言ったに違いない」
など、自ら悪い方向へ考えてしまうことがあります。
②自分を信じられず、辛いときに挫けやすくなる
また他人を疑うだけでなく、自分自身も疑いの対象なのです。辛い時などに「できない」「もうだめだ」と思う可能性が高くなります。
これは自己肯定感の低さから、「自分はできるはずのない、ダメな人間」という思い込みを生んでしまうためです。
③疑い深くなり、他者を敵視しやすくなる
①と②が組み合わさった結果、「常に自分の惨めなところを見られないか、警戒する」状態になります。
そのため、「好意で」自分に近づいてきた方でも突き放したり、「あいつは恨んでいるに違いない」などの疑いを持ったりします。
相手からすれば「罪もなく恨まれている形」になるため、本当に恨まれてしまうケースにつながってしまうのです。
そうして実際に起きたネガティブな経験が、また自己肯定感を下げるという悲しい悪循環を呼んでしまいます。
さて、発達障害を持つ方が仕事で自己肯定感が低くする原因には、どのようなものがあるのでしょうか。
参考:自己肯定感が低すぎてつらい人のための処方箋 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
職場で自己肯定感が低くなる原因は?
周りのできていることが、できない
発達障害は、得意・苦手のムラが激しいことが特徴です。もちろん、そのムラを良い方に活かせているケースもあるでしょう。
しかしどれだけ得意なことを活かせていても、周囲と比較して明らかにできないことが一つでもあるとそれだけで全否定してしまうのです。
過去の失敗や叱責を引きずりやすい
自己肯定感が低い方は、実は「できない自分」「ダメな自分」でいることで落ち着きを得ようとしています。もちろん、できない自分でいたいとは思っていません。しかし、「できる自分」に変化することを拒む傾向があるのです。
そのため過去の失敗や叱責をいつまでも引きずり出して、「悪い自分」に居座ろうとしてしまう傾向があります。
「何とかしたい」意識と「ダメな自分で落ち着いていたい」思いの中で、苦しんでしまうのです。
自己肯定感を低める悪循環に陥っている
自己肯定感が低い方は、常に自分自身に「ダメ出し」をしています。実際に起きていることからそうでないことまで、「だからお前はダメなんだ」というきつい言葉を常にかけているのです。
このように
・自分の中がきつい言葉で展開されていること
・否定的な発想が多いこと
が原因で、他者にもきつい言葉や否定的な言葉をかけているケースが多くなります。
自分ではそれを自然なこととして話しているため、傷つけていても気づきにくいです。またそうして傷つけたことで嫌われても、発言の内容ではなく「自分がダメなせいだ」と原因をすり替えてしまう傾向があります。そうしてまた自分を否定する気持ちが強くなっていってしまうのです。
それでは、このような状態からどうやって自己肯定感を高め、自信を取り戻せばよいのでしょうか。
参考:「自己肯定感」が低い人に現れる”残念な症状” | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
自己肯定感を高め、働く自信を取り戻す対処法
1)過去の原因を変えることはできない
自分はできると認めるためにどうしても邪魔なこと、ネガティブの原因となる経験があるかもしれません。しかしその記憶を消そう、変えようとしているうちは自己肯定感が高まりません。
なぜならそのネガティブな過去を意識すること自体が、自己肯定感の低さにつながるからです。ですから自己肯定感を高めたいのであれば、その過去を「今に活かす」以外に方法はないと覚えておきましょう。
2)自分にしかできないことを見直してみる
発達障害を持つ方は、他の方よりも「できないこと」が目立ちやすいです。しかし、だからといって他の方にはできないことがないかといえば、そうではありません。これは完璧な人がいないのと同様に、完璧にできない人もいないのです。
ですから自分にしかできないことも必ずあります。自己肯定感が低いほどできていることへの意識は低く、自覚していないことが多いです。ですから「できること」が見つからなければ、普段問題なく行っているもののなかから探してみましょう。
3)苦手な業務について相談し、対処を見付けていく
苦手な業務については上司に相談し、具体的な対処を行いましょう。ここで大切なのは、「対処をしたことでどう変わったか」を覚えておくことです。良い変化を意識することで、自分へのネガティブな評価も緩和されていくからです。
4)考え方のくせを見つけ、事実とのズレを調節する
自分の心がけや意識を改善する方法に、「認知行動療法」という治療法があります。「治療法」といっても、自分一人でもできる方法です。
内容は日ごろ自分が陥りやすい「思考のくせ」を見つけ、そのくせを改善していきます。「どうせ自分はダメなんだ」と思うなら、「そもそもなぜ自分はダメなんだ?」と考えるということです。
こうして自分自身を客観的に見ることで、極端な思考をしにくくなります。それによって自分への言葉も穏やかなものになり、他者への言葉も同様に穏やかに変化していきます。
5)体調管理・服薬について見直してみる
健全な気持ちは、健全な体から生まれます。疲労や不安などを溜めている状態では、身を守るために警戒心や緊張が高まってしまうからです。このようなときに自信を持つゆとりを持つことは難しいでしょう。
ですから日ごろの睡眠環境や食事、服薬などについて医療機関と相談していきましょう。安定した精神状態を保つことで、自己肯定感を高めやすくなります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
一度低くなった自己肯定感を高め、自信を取り戻すことは覚悟を要する場合もあります。それまでずっと意識していたことを大きく変えるケースもあるでしょう。このような状況から、自信を取り戻す手段の一つに「環境を変える」方法があります。
「カスタマイズ就業」という働き方を聞いたことがありますか?従来の「苦手なことをできるようにする」ことでなく、「長所を活かして成長していく」ことを重きとしたスタイルです。
Saladでも、このような長所を活かせる非公開求人を取り扱っております。日々得意分野と向き合うことで、自然と自己肯定感を高められるチャンスかもしれないのです。
興味がありましたら、ぜひSalad編集部までご相談ください。
【筆者紹介】
Salad編集部員。30代男性。広汎性発達障害、ASD(自閉症スペクトラム)の診断を受けている。4歳から始まった自己肯定感の低さを改善するのに、35年かかっている。