【体験談】精神障害をもつ在宅ワークのメリット、デメリット

社会不安障害を持つことから、在宅ワークを選択した

私は社会不安障害という障害を抱えています。

社会不安障害は人前で発言するときなどに極度の緊張や手の震え、動悸などがあることから職場など社会生活に支障をきたします。

人前での緊張以外にも人によってさまざまな症状がありますが、私は上司や先輩など、自分と立場が違う相手と会話がうまくできないことから、職場に馴染めず転職を繰り返していました。職場の人とコミュニケーションが取れないというのは辛いものです。

コミュニケーションをとることは業務を行う上で必須ですし、なにより職場の人と仲良くできず孤立してしまうというのは精神的な落ち込みにもつながります。そんな私が選択した働き方が、在宅ワークです。今は障害のため通勤が難しい方や、何かしらの理由がありオフィスで働きづらい方の為に、在宅ワークの求人もでてきています。

そこで今回は、実際に在宅で働いている私が感じた、在宅ワークの良いところ&悪いところをご紹介します。

参考:不安障害|こころの病気について知る|ストレスとこころ|こころもメンテしよう ~若者を支えるメンタルヘルスサイト~|厚生労働省
参考:社交不安障害 | 医療法人東横会 心療内科 精神科 たわらクリニック

在宅ワークの良いところ

心地よく在宅ワークを行う女性

通勤の負担がない

通勤の負担がないのは在宅の強みです。

前職では2時間ほどかけて通勤していたため、通勤するだけでへとへとでした。朝起きて、服を着替え、メイクをして、髪を整え、満員電車に乗って出勤する。帰りは満員電車に疲れた体を揺らされながら帰宅。在宅ワークではそういった通勤の負担がありません。

例え勤務開始時間30分前に起きても問題なく、仕事が終わればその時間に解放されるので疲れた体で満員電車に乗らなくて済みます。また、オフィスで勤務しなくていいので、服装やメイク、髪形などに気を使わなくてよいのも精神的にかなり楽です。

好きな環境や場所で仕事ができる

パソコンとネットを使うことができれば、好きな環境や場所で仕事をすることが可能です。

今日は自宅で好きな音楽をかけながら仕事をしよう、今日はお気に入りのカフェで仕事をしようなど、その日の状況と気分に合わせて仕事をすることができます。毎日同じオフィスに出勤するという、これまでの働き方から解放されます。

さらに、ポケットWi-Fiなどを使えば、ネット回線も持ち運べるので本当にどこでも仕事をすることができ、自由度はかなり高くなります。

人間関係から解放される

退職や転職理由の原因としてもよくある人間関係から解放されることは、在宅ワーク最大のメリットではないでしょうか。

私のように、職場でコミュニケーションが取れず居づらさを感じる人はもちろん、上司や同僚とうまくいかない人も、人間関係のストレスがなくなることは精神的にも救われます。

高圧的な上司から怒られることも、仕事がよくできる同僚と比べられることもありません。在宅ワークでも場合によっては、時々職場の人と会って仕事をすることもあります。

しかし、毎日顔を合わせない分、適度な距離感を保つことができるのでストレスに感じることはありません。

自分のペースで仕事ができる

周りにたくさん人がいる職場環境だと、常に人の目を気にして仕事をしなくてはなりません。

例えば、1日8時間の勤務で、8時間集中力を切らさず仕事をすることができるという人は少ないと思います。集中力が切れてしまった時、周りに人がいる環境だとぼーっとしたり休憩したりしづらくなります。

用もないのにトイレに行くという人もいるのではないでしょうか。在宅ワークだと、集中力が切れてしまったり、少し疲れたときに、その場で少し休憩したり、手を休めることができます。

自分のペースで仕事ができるので、無理がないうえに自分の頭や体のリズムに合わせて効率よく仕事をすることができます。

在宅ワークの悪いところ

在宅勤務の時間管理に苦労する女性

孤独を感じる

在宅ワークは基本一人で仕事をするので、孤独を感じることがあります。

ずっと一人でいても大丈夫、家に誰かしらいるという人は問題ないかもしれません。しかし、今までは多少なりともコミュニケーションをとりながら仕事をしていた場合、誰とも関わらず1日の大半を過ごすというのはやはり寂しく感じます。

また、仕事のストレスや業務に関してなど気軽に話せる人もいなくなります。友人や家族から「職場の○○さんと今日こんな話をした」「職場の人とランチに行った」などといった話をきくと、羨ましく感じます。

わからない事があってもすぐに聞けない

オフィスではわからないことがあった時、同僚や先輩にすぐに質問することができますが、在宅ワークでは質問してもすぐに答えが返ってくるとは限りません。

そのため、わからないことがあった時にいちいち不安に感じているようでは仕事がうまく進められません。また、オフィスでは口頭で質問したり、実際に躓いている箇所(パソコンの画面など)を見せればよいため、相手にも伝わりやすいですが、在宅の場合はチャットなどを使い文章で伝えなければなりません。

わからない部分を文章にして質問するのは意外と難しく、経験が浅いうちは気軽に質問できないことにストレスを感じるかもしれません。

努力が伝わりづらい

仕事をしている姿を上司に見てもらうことができないので、頑張って仕事をしていたとしても努力が伝わりづらいというのがあります。

オフィスであれば、例えば仕事内容が難しく、結果としてうまく仕事が回らなかったとしても、頑張っている過程を評価してもらえることもあるかもしれません。しかし、在宅だとその努力が伝わりづらいため、一生懸命作業していても結果が伴わなければ「努力していない」あるいは「怠けてる」と思われてしまう可能性があります。

たとえ、職場の人にそう思われていなくても自分自身が「今日は仕事内容が難しく、頑張ったけどうまくいかなかったな」という日に、怠けていたと思われるのではないかと不安に感じる時もあります。

やる気が出にくい

在宅ワークでは決められたオフィスに出勤する必要がないため、仕事モードへの切り替えがしづらいというのがあります。

やる気のない日があっても、出勤し自分のデスクに座ればやる気が出てくるという人も多いのではないでしょうか。在宅では家で仕事ができるので、普段リラックスしているスペースで業務を開始しないといけません。

言ってしまえば、ベットやテレビ、スマホなど誘惑がたくさん転がっている環境で仕事をしなくてはならないのです。そういった環境の中でしっかり業務をこなすには、ある程度の自己管理能力が必要となります。

今思えば負担に感じていた通勤も、適度に体を動かすことで頭と体が活性化され、やる気の促進につながっていたように思います。

改善策

在宅ワークの改善策を考える女性

定期的に人と会う

孤独の改善策として、定期的に人と会うというのが挙げられます。

できれば一週間に一回くらいは、おしゃれをし、友人や恋人などと外出しましょう。習い事をしてみたり、社会人サークルに参加するなどコミュニティに参加するというのも手です。

家、昔からの友人や恋人、あと一つ自分の居場所があると、所属欲求が満たされ、人生に充実感が得られると思います。

一人で仕事をしていると「今日一言も言葉を発してないな…」という日があります。

そういう日が続くと精神的に参ってしまうので、定期的に人と会ったり、他のコミュニティに参加するなど適度に人と関わるようにしましょう。

臨機応変に仕事をする

業務上、わからないことがあってもすぐに質問の答えが返ってくるとは限りません。

私の場合わからないことがあった時は基本チャットで質問します。その場合すぐに答えが返ってくる場合もありますが、そうでない場合もあります。質問に対する返信が来るまで作業ができないという状況は、あまり効率的ではありません。

そんなときは、わからないところは思い切って飛ばしてできそうなことや、他にやるべきことがないかを探し作業することが大切です。
臨機応変に対応することで、時間を無駄にすることなく仕事をすることができます。業務が一区切りついていれば、飲み物を飲むなど一休みしつつ、できることを探すというのも良いと思います。

業務報告で出来たことを伝える

自分では頑張っていても、その姿を見てもらえないというのはなんとなくやりがいが損なわれる気もします。

努力が伝わりづらいという改善策として、その日仕事が終わった後に送る業務報告で、出来たことや頑張ったことを伝えるというのがあります。

私の場合、業務を始める前と終わった後に、連絡をすることになっていますが、他の在宅ワークでも業務開始時と終業時に報告するというところは多いと思います。
終業時の業務報告では、その日行った業務の結果報告だけでなく、改善手出来たこと、頑張ったことなどを伝えるのもアリです。

「○○の業務は難しく時間がかかりましたが、最後まで終わりました」「昨日より〇件多く入力作業をすることができました」などその日頑張ったなと思うことがあれば一言添えてみましょう。

場所を変えてみる

やる気が出ないというのは、仕事をしている人なら一度は感じたことがあると思います。

さらに、誘惑が多い家で作業ができるとなったらなおさらです。そんな時は、場所を変えて作業してみましょう。私も家でやる気が出ないときや、気分的に外に出たい時などは近くのカフェで作業したりしています。

家にいると、他に仕事をしている人はいませんが、カフェなどに行くとパソコンを開いて作業している人をちらほら見かけます。自分以外にも仕事をしている人がいると背筋が伸びますし、ベットやテレビなどの誘惑もないので必然的に作業しようという気になれます。

通勤ほどの負担はないけれど、着替えて、外に出て仕事をすると気持ちも引き締まり作業もはかどります。

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まとめ

就労移行支援事業所でトレーニングする人たち

いかがでしたでしょうか。

在宅で働いている私の体験談を踏まえて、在宅ワークの良いところ・悪いところをご紹介しました。ちなみに、私は在宅ワークを選んでよかったと思っています。人間関係が上手くいかないことで仕事が限られてしまったり、集団の中で孤立してしまうというのは辛いことです。

在宅ワークは良いところばかりではありませんが、悪いところも自分なりに改善することで、より自分らしく社会で活躍することができます。

在宅ワークを視野に入れている人は、自分に合っている働き方かよく検討し、強みを活かせる就労を目指していきましょう。

【筆者紹介】
Salad編集部員。精神障害者。人前での過度な緊張や不安や鬱などの症状あり。以前障害者雇用で接客(セラピスト)の仕事をしていた経験を持つ。

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